📗【文書版】📗礼拝メッセージ「岩の上に建てた家」　2024年8月11日

📗昨日の礼拝メッセージのテキスト版もここに掲載いたします⬇️
📗礼拝メッセージ「岩の上に建てた家」　2024年8月11日
 
新約聖書　マタイの福音書第7章24～29節
 
24　ですから、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。
25雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家を襲っても、家は倒れませんでした。岩の上に土台が据えられていたからです。
26また、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行わない者はみな、砂の上に自分の家を建てた愚かな人にたとえることができます。
27雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家に打ちつけると、倒れてしまいました。しかもその倒れ方はひどいものでした。」
28　イエスがこれらのことばを語り終えられると、群衆はその教えに驚いた。
29イエスが、彼らの律法学者たちのようにではなく、権威ある者として教えられたからである。
 
主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。
この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。
 
　皆さん、地震は大丈夫だったでしょうか？8日ですから三日前ですね。宮崎県で震度6弱で、マグニチュード7.1ですね。高知市もこれで少し揺れたと思います。私もその時ここにおりまして、かすかにゆれたかな、という感じだったんですね。
　そから神奈川県で震度5弱、津波の心配なし、オホーツク海南部でマグニチュード6.8の深発地震、北海道～東北で震度３、津波の心配なしというのもありますね。
　今回の九州の地震で南海トラフ大規模地震が発生する可能性が普段より高まっているという話もあり、―海水浴場閉鎖などの過剰ともみえなくもない反応もありますが―高まっている状態でも、Ｍ8級の地震が一週間以内に発生する可能性はわずか0.5％ということですので、必要以上にあせらず、うろたえない形で災害対策をして、何より、主なる神さまに信頼して安心の生活を送っていただければと思います。
　また、これに乗じて、政府が、独裁が可能になる「緊急事態条項」を改憲とセットで入れ込んでくる可能性がありますので、どっちかというと、こういうのにこそ警戒した方がいいと思いますね。（＊また交通機関は制限するのに原発は止めない。これも危険なのではないかと思います）
 
　それで地震の話とも少し関係あるんですけれども、大阪の夢洲(ゆめしま)で行なわれようと準備が進められている「大阪・関西万博」の問題点について、皆さんどのくらいご存じでしょうか？もうメタンガスの爆発であるとか、もう山ほど、まぁ問題のデパートくらい問題が多いんですけれども、今日は、開催地である夢洲の軟弱地盤のことに絞ってお話したいと思うんですね。
　
　夢洲というのは、咲洲(さきしま)、舞洲(まいしま)と並んで、大阪湾に浮かぶ人工島なんですね。今からお話する内容は、大阪市民ネットワーク代表の藤永のぶよさんという方が話していらっしゃった内容ですが、今回の万博と、将来のＩＲ・カジノの開催予定地である夢洲は、もともと

ゴミの埋め立て地なんですね。ここの水面より下の砂や粘土などの層に、巨大なお弁当箱みたいなのを入れていて、そこにゴミを入れて行くわけですね。そうしますと、ゴミの埋め立て地としては非常に都合がいいんです。地盤がゆるゆるなので、ゴミを入れるとズブズブズブズブ沈んでくれる、と。そうすると、また余分にゴミを入れれるようになるので、便利な場所なんですね。
　しかし、ここを、別の用途に使うとなると、もう全く違う話になって来るんですね。つまり万博をしたり、カジノビルを建てるとなると、軟弱地盤が大問題になってくるんです。
 
　こちらの画像をご覧ください。1982年から約40年間でどれだけ沈んでいるか、2021年の段階で、4.75ｍ沈下ということは、二階建ての家ぐらいの高さがまるまる沈むくらいなんですね。そして、翌年2022年には、なんと亡失(ぼうしつ)。

つまり、どれぐらい沈んだか測る機械が沈んでしもうて、どっか行ってしもうた、というくらい沈むんですね。
 
　そして、地盤の固さを調べるのに、専門用語で、Ｎ値(えぬち)というのがあるそうですね。これが、

　ハンマーを落として、何回落とせば30ｃｍ沈むかで計るそうですが、夢洲の場合、たったの5回で30ｃｍ沈むということで、Ｎ値5ということになるそうですが、だいたい高層マンションを建てるにはＮ値50以上(10倍ですね)の固さがあった方がいい、木造の戸建て住宅でもＮ値20ほどあった方がいいということで、Ｎ値10以下だと地震の時などに液状化の危険があるわけですね。
　Ｎ値5というのは、どれぐらいかと言ってみれば、ちょっと固めの砂場くらいの堅さしか無いそうですが、こういうところだと、杭が打てないので、一部のメディアで言われている通り、パビリオンはプレハブでやるわけです。杭を打たない「浮き工法」というものでプレハブを置く形でやるそうですが、しかも2階建てが限界。3階建てのプレハブだと沈んでしまう。
　
　しかももう一つの懸念が、夢洲などの人工島付近は台風の銀座みたいなところがありまして、さらに、さえぎるものがない。ですから風が凄い強い。強い風が吹いて来て、咲洲では自動車が飛ばされたそうですね。夢洲でも、もうすでに巨大なコンテナが飛ばされていて、海に浮いていたっていう話なんですね。だから大阪市民ネットワークの藤永のぶよさんは、台風が来たら、パビリオンのプレハブも、二億円のトイレもピュウピュウ飛ぶんじゃないかとおっしゃっていました。
 
　さらに南海トラフの地震の話とからめて言いますと、もし開催期間中に南海トラフの大地震が起こった時に、津波が来ないと言っているんですが、それは土を盛ってかさ上げしていてその高さまで来ないと言っているだけなので、実際はごみ土ごみ土で高くなっているだけだから　津波が来たら流れさるって言うんですね。
　そして、もし流されなくても、夢洲からの出口は、1本の橋と1本のトンネルしかないので、避難計画としては、最大で15万人取り残されて、一日に5万人くらいを大型客船で運ぶということですが、津波が来たらそもそも大型客船が使えなくなる可能性があるので、災害が起こった時の防災計画も非常にずさんなものだと言えるでしょう。
　大阪は、もともと1800年前、海の中だったそうですね。唯一、中央区に、上町(うえまち)台地というのがありますが、そこが、地下150ｍまで堅い岩盤だそうで、藤永さんが言うには、秀吉は建築に関して愚かな人ではなく、賢い人で、そこらへんがよく分かっていて、その上町台地の堅い岩盤に、大阪城を建てたんだそうですね。
　それで何が申し上げたいかというと、何かを建てるには、場所が大事、そして土台が大事、それは結局、災害、危険への備えになるということですね。
　それでもうお気づきになっているかと思いますけれども、今までの話は、イエス様のたとえを、現代日本に置き換えたわけですね。イエス様のたとえは非常にシンプルで分かりやすい。イエス様のお父さんのヨセフさんは大工さんでしたし、30歳まで大工仕事をしておられたイエス様ならではのたとえだとも言うこともできるでしょう。
　
　ただこれは、山上の説教の一部ですから、集まっていた弟子たちや群衆たちに、イエス様が建築について教えられたわけではないことは明らかですね。ここで言われている家とは教会のことをたとえている、という解釈もあるんですが、その解釈についても後で触れることになると思いますが、ここはまず、私たちの人生のことを建築にたとえて言ってくださっている、という言い方ができるでしょう。
　ではイエス様が今日語ってくださっている災害というのは何だろうか？ということなんですね。25節をもう一度お読みしますと、
 
25雨が降って洪水が押し寄せ、風が吹いてその家を襲っても、家は倒れませんでした。岩の上に土台が据えられていたからです。
 
　これは災害のイメージで、パレスチナ地方でのワジという水無し川の雨季に起こる氾濫のことだと指摘する人があります。風が吹いてとありますので、暴風雨のようなことを想像しても良いでしょう。この地方の人で、砂の上に家を建てる人はいません。きちんと堅い岩盤の上に建てておかないと倒れてしまうことになります。土台がしっかりしていないからですね。
　そしてこの雨とか風とか洪水というのは何をたとえているか、先ほど「人生の海の嵐に」という歌をご一緒に歌いました。そういうふうに、人生に襲い掛かる嵐のような試練や困難、と取ることもできますが、旧約聖書の伝統からしますと、これは神のさばき、特に終末の審判というのを意味する、と取った方がよさそうです。これは山上の説教の前後の文脈からも言えることでして、「狭い門から入りなさい」からも言えるように、終末論的な話をイエス様はずっとしてくださっているわけですね。ですからここも、終末論的な話であると取るのが一番適切だということになります。
　そして、世の終わりというのは、今日かも明日かもしれないんですけれども、私たちが生きている間には来ない可能性もあります。ですから、世の終わり、というだけではなくて、個人の終末、つまり、地上の生涯の終わり、と考えるのが、このみことばを自分のこととして受け止めることの一つの伝統でもありますね。
　そのように、自分の死というものときちんと向き合って、それに向けて、自分の人生という家を備えておく、人生の土台は何ですか？という話になっていくわけですね。
　でこの今日主から神のことばとして共に聞きましたみことばは、よく教会の特別な初心者の集い、初めての方などを特にお招きする礼拝などでテーマの聖句とされてメッセージがなされる箇所の一つだと思います。
　あなたの人生の土台は何ですか？価値観の揺れ動く時代の中で、変わらない確かな土台をあなたの人生に据えてみませんか？というアピールを近所の方にして、人々を招く、ということがよくあるでしょう。
　それは確かにそうなんですね。多くの人が、お金や能力や社会的地位、周りの人々の評価、世間の空気、そういったものを人生の土台にして生きているでしょう。そうしますとですね、確かに人生の危機が襲ってきた時に、あるいは、自分の生涯の終わりという最大の危機が襲ってきた時に、太刀打ちできない。だから、どんな嵐にも、死という人生最大の敵の前でも、揺るがない土台というものを、持ちましょう、あなたもイエス様を信じてみませんか。というメッセージですね。これはとっても分かりやすい。
 
　ところで、この24節のみことばをもう一度お読みしますと、
 
24　ですから、わたしのこれらのことばを聞いて、それを行う者はみな、岩の上に自分の家を建てた賢い人にたとえることができます。
 
　と言われているんですね。そうすると、堅い、岩盤の上に建てた人生というのは、「わたしの―つまりイエス様の―ことばを聞いて、それを行なう者」と言われているわけです。
　そうなると、解釈の方向が分かれて来るんですね。一つは、やはり「有言実行」という話になってくる説教・メッセージがあるんですね。イエス様のことばを聞くだけじゃだめなんだ、と。
　私のこれまでの罪を告白し、心からの悔い改めをしました。イエス様の十字架は私の罪のゆるしのためだったと口で告白して信じて洗礼を受けました。イエス様が死人の中から復活なさったことを信じています。それだけじゃダメで、やはりここで言われているように、行ないが無いとダメなんだ。私は信じています、と言うだけでは、本物のクリスチャンとは言えませんし、それでは人生の土台を堅い岩盤の上に据えて家を建てたことにはなりませんよ。イエス様の山上の説教の教えを、一つでも二つでも実践して行こうではありませんか。というメッセージですね。
　これはある意味である人にとっては励まされるメッセージかもしれないんですね。新たな目標をもらったみたいで、「よーし頑張ろう！」という気持ちになるかもしれません。けれどもその解釈は、間違っていると思うんですね。なぜならイエス様が、山上の説教でずうーーーーーっと批判しておられることは何か、ということなんですね。
　何だったか覚えていらっしゃるでしょうか？まさに、パリサイ人律法学者たちの律法主義ですね。口伝律法などの口伝えの律法などを新たに一杯作ってですね、それらを守ることによって、つまり行ないによって、救われる、としてきた人たちを、その教えを、ずうっと一貫して批判しておられるわけです。前回の15節で「偽預言者たちに用心しなさい」とイエス様がおっしゃったのは、まさにそういう「行ないによって救われる」と教えた神から語れとも言われていない内容、人間の教えに過ぎないものを神のことばであるかのように語る人々を偽預言者と批判しておられたわけですね。
　トゥルナイゼンという神学者がいまして、山上の説教を、「信仰だけじゃなくて行ないをね」というふうに、道徳的に解釈することに反対をしています。たとえばこういうふうに言っているんです。
 
【教会はイエスから与えられた言葉を、すなわち山上の説教を自分で成就すべき律法として読むゆえに、もはや、塩でも、光でも、山の上の町でもなくなってしまっている】
 
　こういうふうに言うんですね。痛烈な皮肉だと思います。
 
【そのため、その教会の教えによって建てられた家は、堅固な家ではなく、砂の上に建てた家になってしまっている】
 
　とまで警告しているんですね。それはその通りでしょう。なぜなら、それだと結局、自分のお金や、能力や、努力や、世間からの評判といった、ゆれうごく砂のようなものの上に人生を建てることと何も変わらないからですね。みことばを実践することはとても大事な素晴らしいことではあっても、それを人生の土台にするなら、やはり律法主義なんですね。
 
　またある神学者が、こういうことを言っています。
 
【律法主義的な話とは、みことばを与えたまま、人間をひとりぼっちに捨てて置くものなのである。】
　
　そしてそのことばを受けて、ある牧師先生がこう言うんですね。
 
【同じ言葉どころか、それは、いづれも「み言葉」、神の言葉と呼ばれる正しい言葉であるかもしれない。けれども、律法主義的な言葉とは、その正しい神の言葉を与えたまま、人間を一人ぼっちにしてしまうような語り方だと言います。
道徳の言葉っていうのは、そういうものだと思います。私も10代のころ、人間関係に挫折し、ひきこもりのようになった時、教会の門を叩く前に、ある格言集を読みました。そこには、人と人とがうまくやっていくための大切な知恵が記されていました。気持ちが沈んだ時の気の持ちようも載っていました。そこに書かれているどの言葉も正しく素晴らしいと思いました。けれども、その正しい言葉を読むのはとてもつらいことでした。正しいと分かっていても、それを行うことができない者だから、自分は苦境に陥っていたからです。】
 
　と。これは大事なことだと思いますね。そもそも鬱や燃え尽き症候群になった、あるいはなりそうになっている時というのは、頑張りすぎてエネルギーが尽きてそうなっているわけです。そこに道徳のことばが来るというのは―これは律法主義の言葉とほぼ同じなので言い換えだと言ってもいいと思いますが―残酷な事なんです。「いやそれができないから鬱になっているんでしょ」と言いたくなりますけれども、道徳のことばは高い理想をかかげます。実践すべきことのリストを提供してくれます。けれど、その道徳のことばが発するメタメッセージといって、一つ裏のメッセージはですね、これができるあなたはマル、できないあなたはバツ、って言っているわけです。あなたはそれができないの？じゃあできるように自助努力で頑張んなさいよ、と突き放すことばなんですね。律法学者のメタメッセージっていつもそれだったわけですね。だから、
　
【律法主義的な話とは、みことばを与えたまま、人間をひとりぼっちに捨てて置くものなのである。】
 
　わけですね。
　ところが、イエス様の山上の説教がここで終わりますけれども、話が終わった時の様子をマタイが記します。
 
28　イエスがこれらのことばを語り終えられると、群衆はその教えに驚いた。
29イエスが、彼らの律法学者たちのようにではなく、権威ある者として教えられたからである。
 
　これは、マタイの時代の読者たちにとっては、多少不自然な書き方なんですね。「彼らの律法学者たちのようにではなく、権威ある者として教えられたからである。」と言っても、この時代のユダヤ人にとって、権威ある者とは、まず律法学者なんですね。いやあの先生方は本当に夜も昼も朝も熱心に聖書を読んで研究して、いやあの先生方はその道の権威だから、あの先生方の言うことを聞いておけば間違いないと。彼らは実際に真面目な生活をして愛のわざにも励んでいましたらから、尊敬されていたわけですね。その道の権威なんだと。ところが、イエス様の語り方は、そういう種類の権威とは全く違っていたんだよ、とマタイは平然と書くわけですね。
　つまり、律法学者たちの、神のことばを道徳にすり替えて、その道徳となった律法を守れない人を、「守れない？じゃあもっと自助努力をしてくださいね」といった、突き放してひとりぼっちにするような権威では無い。まったく違うところから出て来る権威だと。
　それは、イエス様が、律法学者たちが色んなラビ・ユダヤ教の教師たちの言葉を引用しながら語るのに対して、イエス様は引用もしないで、権威そのものであるお方、つまり神ご自身からのことばであるかのように語られたから、そのことばに、その語られるお姿に、それほどの迫力と真実があったから、ということもあるでしょうけれども、もう一つあると思うのは、イエス様が、人を決して突き放してひとりぼっちにはしないお方であった、ということが大きいのではないかと思うんです。それをなんとなく群衆は感じ取った。
　イエス様は、飼い主のない羊のように弱り果てて倒れている群衆をご覧になって、はらわた痛めるほどに深くあわれまれた、と聖書には書いてある。そして大勢の人の病を触れて癒しておやりになって、汚れた病と言われて触るのもご法度と言われた旧約聖書に規定された病の人も抱いてお癒しになった、その慈しみ深いお姿に、何にもまさる圧倒的な説得力を感じていたのだと思う。それが、彼らが感じとった権威なのではないかと思うんです。有無を言わさない何か、というのは、本当はそういうふうに、深い愛と犠牲に裏打ちされたところから出て来る。弟子たちや群衆は、神の前に立たせられる一種の恐れをも、そこに感じていたに違いありません。
　その愛の権威をもって、主イエスは私たちにお語りになります。「どうかあなたは、倒れないでほしい」けれども、それはやはり、無理なんです。どうしたって私たちは、もろい砂の上に、家を建ててしまいがちだからです。けれども、そんな私たちが倒れないために、主イエスが代わりに倒れてくださったのです。それもひどい倒れ方でした。どこでそれが起こったか？あの十字架の上です。「その倒れ方はひどいものでした」これは神のさばきが徹底してることを表していることばです。徹底した神のさばきを、あのゴルゴタの十字架で受けてくださった。そして「あなたをゆるした、完全にゆるした」と言ってくださった。そして三日目に復活なさって、私たちと共に歩き、「あなたがたとえ何もできなくても、わたしはそばにいるよ。だからあなたは、倒れることはない！」そう権威をもって、宣言してくださっている。「あなたを決してひとりぼっちにはしない」と宣言してくださっています。
　その福音のことばを、聞いて、行なうように、私たちは招かれている。そこには、道徳のことばのように、突き放されることの無い、慰めを土台とした共同体が生まれる
　その慰めとはどういうものか、と言えば、心の底から魂の底からほっとすることだと親しみやすい日本語に言い換えて「ほっとチャーチ」とつけましたけれども、このほっとする、というのは、慰められる、の言い換えなんですね。この慰められる、あるいは慰め合う、というのは、病気やケガをした時や色んな苦労があった時に、「大変だったね」と慰め合う、ということも素晴らしいことで、ぜひあった方がいいんですけれども、実はそれよりもずっと深い慰めでして、それがどういう慰めかということは、クリスマス前後によく読まれる、おとめマリアと親戚のエリザベツの話によく現れています。
 
　マリアは神のことばであるイエス様をその胎に宿しました。そして親類のエリザベツは、その胎に、のちの預言者であるバプテスマのヨハネをその身に宿しました。神のことばを、共に宿して、共に神の約束を待ち望み喜びあう群れ、これがまさに、教会の原型だ、とよく言われるんです。
　ですから教会の礼拝の―特にプログラムも含めて―大事なことはここなんです。ここに集中するんです。説教も含めて全プログラムが、神との出会い、に導かれるように祈りつつ組まれる。そして、神の現臨が現れて下さるように、そして聞かれる神のことばである説教と、見える神のことばである聖餐も含めて、神のことばの約束を共に喜ぶ、その喜びがあふれて、人々を招くようになる、そういう群れとして、私たちは、主イエスというしっかりとした揺るがない隅の親石・救いの岩の上に、築かれているのです。
 
お祈りをいたします。
恵みとあわれみに富みたもう、私たちの主イエス・キリストの父なる御神
揺るがない堅い岩の上に建てられた家というのは、どういうことであるかということを、深く教えてくださってありがとうございます。どのような私たちの側の努力も、ゆるがない土台にはなりません。砂地なのです。けれども、「どうかあなたは倒れないでほしい」と言われる主イエスの愛と情熱と権威が、ついにご自身を神のさばきという大嵐に十字架の上で遭わせ、私たちの代わりに倒れられました。それもひどい倒れようでした。しかし主は、三日目に復活なさり、私たちの道徳のことばでなく、死をも貫くまことの慰めとなってくださいました。主イエス・キリストという土台が、私たちの人生も、教会も、生かし続けてくださることを信じて感謝いたします。主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。

#万博 #軟弱地盤