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仕事中に飲酒してはいけない?

社則なんてものは一度も見たことがないが、
恐らく禁止されてると思うし、
禁止されてなかったとしても良識ある人はあえて勤務時間中にアルコールを摂取しようとは思わないであろう。

私は一度だけ(多分)飲んだことがある。


5年程前、仕事の昼休憩のときだった。

仕事中、当時の会社に対する不信感が爆発して、『もう退職してやる!』と決意して休憩に出た。
本来1時間休憩だが、『もう知らん!1時間以上休憩してやる!』と、ずっと気になっていたお店でランチを食べることに。
大通りから1本入った小道にあるためか、当時新型コロナウイルスによる不要不出の外出がしづらかった為か、店内には女性二人組の先客しかいなかった。

ランチメニューは前菜のサラダ、お肉を使ったメイン、パエリア、食後にミニアイスというちょっとしたコースになっていて、それで当時800円だった。
『破格!!』
さらに、メニューの下のほうにグラスワインの文字があるのを見つけて、当時エミリーインパリにハマっていた私は迷わず注文した。


アメリカ シカゴからパリに転勤になった主人公エミリーが、フランスとの文化の違いに戸惑いながら奔走するサクセスストーリー。意地悪な同僚フランス人に向かって『ランチの時にワイン飲むから!C'est la vieでしょ!』と吐き捨ててランチへ向かうシーンが好き。


この日のことは本当によく覚えていて、
先客の女性二人組が、
『こないだ旦那に白髪抜いてほしいって言われたんだけど、間違えて黒い毛を抜いちゃったらすごい怒られた』
という話をしていたのを、アルコールのせいで少しポーッとしている頭でおもしろいなーと思いながら聞いていたこととか。
店内のボードに合法ハーブサラダと書いてあるのが目に入って、“絶対食べに来よう”って思ったこととか。





ゆっくり食べたつもりだったけど、料理がすべて美味しくてあっという間に食べ終わてしまった。
本当はもっとゆっくりしたいけど、仕事戻らなきゃ~とお会計をして店を出たところ店主の方が外に出てきてくれて声を掛けてくれた。

『豚肉苦手でしたか?』

当時お腹が弱く、油物を避けていた私はメインに入っていた豚肉を避けて食べていた。
それに気が付いて声を掛けてくれたようだった。

『そうなんです、豚肉の油が合わなくて。残しちゃって申し訳ないです』

『そうでしたか。注文の時に言ってくれれば違うものをお出しすることもできますので、次回以降はお声がけ下さい』

『ありがとうございます。また来ます!』


心が荒んで世の中が的に見えてしまっていた時に、
すごくあったかい気持ちにしてもらった。


その日はアルコールと店主の方の優しい心遣いのおかげで少しテンションが上がり、
不機嫌を出すことなく仕事をすることができ、
その2か月ほど後に、決意通り会社を辞めた。

今でも時々そのお店に行きたくなって予約を試みてはいるものの、
なかなか予約の取れない繁盛店になっている。




タイトルについて。
仕事中の飲酒は良くないけど、
それによって救われることもあるというのが、
30歳の私の持つ意見です。


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