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30歳、ピアスを開ける


大学時代の友人が失恋した。

失恋と言ってもそんなに重たいものではなく(重いか否かは私が判断することではないが)、
4~5ヵ月付き合った彼氏となかなか距離が縮まらず会っても気を遣うし楽しくない、一人の時間が減って疲れる、だから別れようと思ったという。
最後の方は会う予定をドタキャンされたり、段々返信の頻度も落ちてるから向うも同じ気持ちかも。という感じだったらしい。
あるとき体調不良を理由に『明日会えなくなった』と言われ、
それに対し『お大事に。仕事無理しないようにね』と返したがずっと返信が無かったそうだ。
彼女はケロッとしていたが、私は自分が同じことをされたら、と想像して少し怒りと悲しみが湧いてきてしまった。

彼女は元々恋愛脳ではないし何かに執着するタイプでもないので、そんなにダメージは受けてないだろうなとは思ったが、
女性はホルモンバランスの影響で、普段は全く気にしないようなことが異常に気になってしまったり、それが自信喪失に繋がってしまうことがある。
もし彼女が落ち込んでしまったら嫌だなと思って、
『じゃあ気晴らしに、一緒にピアス開けよう!』
と誘ってみたら
『いいよー』
と、彼女らしいテンションの低そうな返事が返ってきた。
支離滅裂な展開かもしれないが、元々彼女がピアスを開けたがっていたこと、恋の終わりが何かの始まりと思ってくれたらいいなと思ったことが理由で、言わば 私流の励ましなのである。


彼女とは大学入学の時からの付き合いなので、気付かぬうちに10年以上の付き合いとなっていたわけだが、
私がしんどかったときにはいつも彼女を頼っていたなと思う。
前職で事業部が移動になり、新しい環境と新しい人間関係で思うように立ち回りが出来ていない中、次々に役職についていく同期を悔しい思いで見ていた苦しい時期に、
お客様からの些細なクレームに対して、当時の店長に辛辣な言葉を言われ、心がポキッと折れてしまったとき。
長く交際していた相手と喧嘩してもう無理そう、と不満と不安が爆発したとき。
いつも彼女に『こんなことがあった。どう思う?』と長文のLINEを送りつけた。(電話だと泣いているのがバレるので)
夜型人間の彼女は即レスをくれて、
『それはいやだったね』と共感して慰めてくれたり、
『相手は○○だったのかもね』と冷静な視点で分析してくれたりして、
少しずつ私の感情爆弾を鎮火させてくれた。
『仕事を辞めてもこんな男と別れても、彼女がいてくれるから一人になることはない』と思わせてくれたのだった。


ちなみに、私は片耳だけピアスを2個開いている。
母はそういった素行に厳しかったので、バレないようにするには片耳ずつ開けるしかなかったのである。
ただ、着けたいピアスがあったわけでもなく、ピアスが開いているというステータスが欲しかっただけの私は片耳だけで満足してしまい、それから今までもう片方は開けることなく30歳になった。
高校生の時はピアッサーでセルフで開けたけど、今となってはそんな怖い事できないのでいそいそと病院を探している所だ。


無事にピアスを開けて、無事に穴が安定したら、
三十路記念と称して、友人とお揃いのピアスでも買ってみようかな。

おばあちゃんになったら一緒に軟骨とか開けちゃう?
私は有りだよ。



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