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【CUBA】 雨のなかのサルサ

キューバを訪れたときのこと

その日は夜からサルサパーティーに参加する予定になっていた。

でも、首都ハバナ市内を観光し

船に戻ろうかというタイミングで
突然の豪雨と雷に襲われた。

とりあえず近くの店に避難したものの

雨は止むどころか増して行き、
雷はどんどんひどくなっていく。

当然夜からのパーティーも中止だよね

と話しつつも、

予定通り決行されるときのことも考えて
雷雨のなか帰路につくことにした。

そして、

大雨の中、すぐ近くを攻撃してくるような
雷に身の危険を感じつつ

池のようになった水溜りを避けながら

船を目指し、全速力で走って帰った。

「命辛々」と言ってもいい状態で船に戻ると、

パーティーは野外から急遽屋内に移動して

予定通り行われるという情報が入ってきた。

しかし、集合後も

「まだ、準備ができてないから」

という理由で、結構な時間バスの中で待たされ、予定時刻より大分遅れやっと会場に入ることができた。

でも、急遽変更された屋内には
人が入り切れず
室内は人で溢れかえっていた。

おまけに『THE ラテン!』なノリ
というのもあって、

準備も整っておらず

会場内は座る席もままならないまま、
大勢の人が待ちぼうけをくっていた。

しばらくすると奥の別の部屋で
演奏は始まったようだったけれど、
その部屋もすでに人で溢れて入れないし、
踊るにも、スペースもほとんどないという状態。

演奏が行われている部屋に入れない人たちは、
遠くに微かに音楽が聴こえるかどうかという状態で、会場は殺伐として

クレームなのか、
スタッフと話し込む人の姿が
何箇所かで見受けられ、
スタッフの人も明らかに大変そう。

これなら船に帰ったほうがマシだ。
と訴える人も多かったようで、

スタッフが急遽バスを出す手配をし、
そのバスに乗って
多くの人が船へ帰って行った。

親子参加の私達は、
この状況どうなの?!
と戸惑いつつも、とりあえず残ることにし、

そして、気がつくと
会場に溢れてた人は
半分くらいに減っていった。

そんな、まさにカオスな状況でも、
どんなところでも楽しむ若者パワーは健在で

ふと外を見ると、雨が降りしきる中
雨に濡れながら輪になって
踊る若者たちの姿が目に入った。

そんな状況だけれど、
喜びと楽しさを発散するような
こちらまで楽しさが伝わってくるような
その表情や姿がとても美しくて
思わず目を奪われると同時に、

どんな状況でも楽しめるってほんと、最強だな!

と感心した。

子どもたちも

仲のいいお兄ちゃんお姉ちゃんが一緒に踊ってくれたりして
その場を楽しみ始めて、
私達も楽しい時間を過ごすことができた。

その翌日、そのツアーは

参加者の皆さまを十分に楽しませることができなかった。

という理由で、全額返金されることになった。

怒っていた年配の人とは対象的に
若者たちは

「え、あんなに楽しんだのにただでいいの?」

「ラッキー♪」

無邪気に喜んでいた。


まったく同じ状況でも、
こうも違った捉え方になるんだな

と若者たちの
その場の状況を難なく受け入れて
どんな時も、楽しもうとするし
実際に楽しくしてしまう

「若さ」ともいえる美しいそのパワーに

何か気付かされるものがあった
ハバナでの夜の出来事だった。

〈「ブエナビスタソシアルクラブ」みたいな光景が街の至る所に溢れていたキューバ。社会主義の概念を変えてくれた素敵な国〉

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