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イーサリアムが叶えるやさしい世界

突然だがイーサリアムと聞くと何を思い浮かべるだろうか?「ブロックチェーン上にある仮想通貨」や「ビットコインの次に出てきた投機対象」と思われる方が多いだろう。昨今のNFTブームの基盤がイーサリアムであることや取引チャート上のイーサリアム上昇のグラフなどを目にすることが多く私自身がまさに、そのような見方をしていた。だが、世界を見回すとイーサリアムは全く違う認識で受け止められ、サービスが作られている。

イーサリアム・ファウンデーションのエグゼクティブ・ディレクター宮口あやさんに世界のイーサリアム動向をClubhouseで伺う機会をいただいた。イーサリアム・ファウンデーションとしてUNICEFとともに開発途上国向けのサービスを展開し、技術面でもスケーラビリティー&プライバシー問題を解決する動きをダイナミックにそれこそ世界中を動かしながら進めている宮口あやさんのお話を聞いているとイーサリアムを通貨・投機目的としてしか見てないと既存の価値観の中でしか生きられない人間になってしまう危機を感じた。ここではClubhouseでの会話とイーサリアム・ファウンデーションの発信メッセージの中から、多くの方に伝えたいイーサリアムの価値を文章に残していく。これから起きてくる世界変革をダイナミックに感じたい方には是非読んで欲しい。

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■イーサリアムはクリエイティブなアイディアを実現させるコンピューター

まず印象に残ったのはイーサリアムを「通貨」としてみるのではなく「コンピューター」として見て欲しいという宮口あやさんの言葉だ。
コンピューター上で様々なインターネットサービスが生まれ多くの人々が活用するように、イーサリアム上ではその特徴を活かした分散型+スマートコントラクトを活かしクリエイティブなアイディアが実際のサービスとして生まれてきている。

例えばイーサリアム・ファウンデーションがUNICEFと組んで作ったソリューション『CryptoFund(クリプトファンド)』では世界各国から膨大なお金が集まるUNICEFのお金の流れを透明化し、発展途上国が必要とするソリューションに適切にお金が回るような仕組みが生まれている。何がすごいかというとサイトにアクセスすると誰でもUNICEFのお金の流れが見えるようになっているのだ。「寄付したお金がどのように使われているのかわからない」ので寄付に戸惑っていた人もこのような透明な仕組みがあれば寄付に積極的になれる。また、このサイトを見ると世界のどこで何が困っていてどのようなスタートアップやソリューションが提供されているのか?把握することができる。

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このような仕組みを日本に置き換えてみると、税金の流れを透明化する使い方ができたら素敵だと思った。居住自治体に、国に、個人としても法人としても税金を納めているものとして自分の税金がどのようなプロジェクトに生かされているのか?トラッキングできる仕組みがあればもう国の施策などにもやもやせずにいられるのではないかと思った。また自分の医療データが内科外科呼吸器科などの様々な科や複数病院をまたいだとしてもちゃんとトラックできるような仕組みがあるとより安心につながる。

さて、話をイーサリアム・ファウンデーションの取り組みに戻そう。宮口あやさんは「開発途上国はクリエイティブの宝庫」と語り、そのクリエイティブなアイディアを実現させるためにUNICEFと組んでいるプロジェクトの例を教えてくれた。

一つ目は『GIGA Initiative(ギガ・イニシアチブ)』というもので世界中の学校をインターネットに接続する壮大なプロジェクトだ。学校単位で参画できインターネットにつながるための契約や課金なども包含されるので取りこぼしなくあらゆる学校が参画できる。二つ目はケニアの農業向け保険『Etherisc(イーサリスク)』だ。干ばつや洪水などの被害により損害を受けた際に保険が下りる仕組みを提供している。ケニアでは個人農家が多いのだが、イーサリアムのスマートコントラクトを活用して個々人の農業者に保険が下りるようになる。

■「トップダウン」ではなく「コーディネーション」でコミュニティの花を咲かせる

宮口あやさんはSDGsの17項目全てがイーサリアムを活かして解決目標を達成しうる力があると語る。しかも今まで国連のような地球規模の動きには国単位でしか参加できてなかったのだがイーサリアムがあると個人や企業単位でも地球貢献する仕組みが作れるという(まさに上述のGIGA InitiativeやEtheriscが良い例だ)。

だがイーサリアム自身が地球レベルのプロジェクトを行うのに大量の電力を消費していたら意味がない。また、人々が安心して使えるような分散型でありつつプライバシーにも配慮されている仕組みである必要がある。このスケーラビリティーとプライバシーを守るための新しいバージョンも「イーサリアム 2.0」として2021年末ごろに登場予定であると宮口あやさんは言う。イーサリアム・ファウンデーションはNPOであり、個人のボランタリーの開発者を束ねるコミュニティーなので、企業のようなトップダウンのスケジュール計画やプロジェクトマネジメントを行うものではなく、世の中が求めるものと技術スペックのマッチングをコーディネーションする立場なのだが、よくぞここまで注目されているインフラをコーディネーションとサポートのみで大きく動かしてらっしゃると感心する。
「庭師(ガーデナー)の気持ちでコミュニティを支援してます。」と軽やかに宮口あやさんは言うが、昨今のコロナパンデミックでトップダウンだけではなかなか人が動けないときに横のつながりを意識しながら全体として良い方向を目指していくイーサリアム・ファウンデーションのコミュニティ運営方法に学ぶべきことは多数あるように感じている。

■一人ひとりの抱える課題にも寄り添うイーサリアム

宮口あやさんに日本の事例も教えてもらった。それはLGBT向けのサービスを提供する『Famiee(ファミー)』だ。同性愛者の方々の「パートナーシップ証明書」を発行するものなのだが、なぜイーサリアムを使ったのかという理由が美しい。Famieeを開発するメンバーがいなくなったとしてもブロックチェーン上に半永久たちに自分たちのパートナー証明が残せることが大事であると判断しイーサリアムを使っているというのである。ブロックチェーンやイーサリアムを使って何かをやる、という技術有きの発想ではなく自分たちが求めるものがイーサリアムだったというものだ。Famieeの思想を聞くと、私自身も生まれてきてから様々な方々とのコミュニケーションを通じてここまで生きてきているのだが、この生きてきている証としてもイーサリアムを使うことができるのではないか?と妄想する。また、ブランドなどの材料の産出地やその労働力、輸送についてなどのトレーサビリティーの透明性も求められる中、信頼できるブランドをつくる仕組みとしても使うことができるのではないか?とも妄想する。

この妄想の途中で気づいた。
宮口あやさんが言う通りイーサリアムはクリエイティブなアイディアを実現させるコンピューターだ。既存の仕組みやサービスでは物足りないものを補う最強のクリエイティブなプラットフォームとも言えるだろう。

2021年4月からイーサリアム・ファウンデーションでフェロー制度というものもできている。世の中を変える仕組みを作っている「人」を応援する仕組みだ。いままで国や国連などの大きな規模でしか実現できないと思っていた仕組みをイーサリアムおよびイーサリアム・ファウンデーションが応援してくれる。

自分だったらどうやって活用したいか?妄想するのが楽しくなる。イーサリアムを通貨・投機対象として見るだけではなく活用方法を考える人が一人でも多くでてきてくれたら世の中はより住みやすくなるだろう。私もイーサリアム妄想力を高めていきたい。

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この内容はポリネーターズレイディオ#51 とイーサリアム・ファウンデーションYouTubeでの宮口あやさんのお言葉を借りて発信しております。あやさん、ありがとうございます。


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