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1型糖尿病年金裁判傍聴 2018年12月12日

1型糖尿病年金裁判を傍聴しました。その後の集会にも参加しましたが、知らなかったことばかり

まず糖尿病と一言で言うけれど1型と2型は原因も症状も全く異なった病気で2型が生活習慣病(コレ自体問題で、やはり持って生まれた体質も大きく影響するので不摂生のためだけとは言えませんが)と言われ自己責任と言われがちなのに対して、1型はインシュリンを作ることができなくなってしまうという状態。したがってインシュリンの適切な補給が命綱

呼吸をできなくなれば死ぬというのはわかりやすいけれど、同様にインシュリンがなくなれば1日あるいは2日で死亡する。このことがなかなかわかっていただけないことが大きな障壁となっている。いわばジャグリングしながら命綱無しで綱渡りしているのが1型糖尿病の日常という表現を院内集会でなさった方がいらっしゃるけれど、人によって病態や障害は違うとはいえ原告の西田さんの場合は血糖値のコントロールが非常に困難で、低血糖で意識不明ということも稀ではないという。またインシュリンを適切に補給するための医療器具医療費も自己負担が大きい

そうであるけれど1型糖尿病に対する理解は、医師の間でも広がっていない。例えば2014年に厚生労働大臣は2型の糖尿病と混同した対策を答弁しており全く的はずれだった。医師免許のある技官がついているというのに。

1型糖尿病の年金については3級の基準しかなく、したがって予め障害基礎年金から排除されていると言ってもいい状態である。20歳未満で発症した場合は特別児童扶養手当の対象となり、世帯の所得保障を行っているが、20歳になればこれは切られ、しかも同じ趣旨の障害年金は出されない。大阪では従前特別扶養手当の対象者はほぼ自動的に障害年金が取れていたが、先の制度改革で切られた人が多く出ており、大阪でまず1型糖尿病年金裁判が始まった。

原告の西田さんのように意識不明の昏倒などが月1回以上あれば、てんかんという病名なら、当然1級の障害年金受給の可能性もあるのに、1型糖尿病という病名故に障害年金から排除されてしまっている。

行政手続きとしても該当しませんの一言の通知のみでありその理由も述べられておらず、手続き法においても問題がある

これは精神保健福祉法の強制入院についても精神医療審査会の決定は入院継続が適当というのみでなんの具体的理由も付されていないのと通じると考えるべきでしょう

2017年11月の心神喪失者等医療観察法廃止集会において池原さんは障害者差別禁止法のもたらしたものは公的福祉の後退と合理的配慮ということでの民間事業への責任転嫁という問題を指摘しています。
権利条約と逆行する日本の精神医療福祉
池原さんのパワポ 講演ビデオ ほか関連資料は以下
https://acppd.org/a/932

障害者基本法はその障害の定義として社会モデルに基づく広い定義をとっており、障害者差別解消法や雇用促進法はその定義に沿って運用されることになっていますが、障害者総合支援法や障害年金は未だ狭い医学モデルに基づき多くの障害者を切り捨てている実態を見ると、やはり差別解消法の問題点、民間に公的福祉の責任を転換するという池原さんの指摘に納得せざるをえません

なお池原さんはさらに、社会モデルではなくて障害者権利条約は人権モデルを取り、その問題の解決、自由権と社会権の不可分性、相互依存性を打ち立てているという新たな地平を切り開いたとしていますが

次回は3月13日(水)11時に東京地方裁判所103号法廷






精神障害者権利主張センター・絆 会員 世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク理事