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戦争と精神障害者 国立武蔵病院の歴史

以下15年ほど前の日記から

医療観察法下の特別施設のつくられようとしている国立病院のうち、私の知る限り国立武蔵と千葉の下総療養所はもともと軍隊の病院であり、今でいう戦争によるPTSDの兵隊や、覚せい剤(もともと戦争のために特攻隊に飲ませたり、軍需工場の労働者につかうために作られたものです)の依存の兵隊のために作られた精神病院です。
(注 岡田靖雄ドクターより、下総についてはまず頭部外傷の兵士のために作られた病院であると誤りの指摘を頂きました。精神病院として最初から発足したわけではありません。)

そして今自衛隊がイラクに派兵されたとき、これらの病院に保安処分施設が作られようとしています。

心神喪失者等医療観察法は何のためか誰のためなのかを明らかにしていると思います。

戦争中の精神病院での大量の餓死者、そしてPTSDの「未復員兵」として戦後も一貫して閉鎖病棟に収容され続けた元日本兵(未復員兵)、朝鮮人軍属、こうした精神障害者と戦争の問題について、いまだ何もできていない私たちが生み出した状況でもあります。私たちはついに裕仁の戦争責任を問うことができなかったわけですし。

関連資料 『精神医療』より(現代書館 フォービギナーシリーズ)
PDFファイルをダウンロード
http://nagano.dee.cc/begiwar.pdf
文献
戦争中の餓死者について
私説松沢病院史 / 岡田靖雄. -- 岩崎学術出版社, 1981.6
 ここには松沢病院誤爆計画まであったとかかれています。
 つまり戦争中に動物園で猛獣を毒殺したのと同じで、本土決戦の際に    精神障害者が何かしては困るから殺してしまえということです。
 
声なき虐殺 / 塚崎直樹. -- BOC出版部, 1983.12
 ここには中宮病院で人体実験で殺されたという遺族の証言もあります。

兵士のPTSDについて
さすらいの<未復員> / 吉永春子. -- 筑摩書房, 1987.7
  これは国立武蔵の未復員兵についてのドキュメンタリーを作ったディレクターの書いた本で、国立武蔵の未復員兵を扱っています。戦争中に発病して武蔵に入院させられ、そのまま未復員という扱いで戦後ずっと入院させられていた方たちのことを書いています。
 武蔵家族会であった渓 さゆりさんの以下の歌集(詳細な注によりこの国の反保安処分闘争史にもなっています)にも彼らに関する歌があります。
「火」以後 / 渓さゆり. -- 六法出版社, 1994.8

精神障害者権利主張センター・絆 会員 世界精神医療ユーザーサバイバーネットワーク理事