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悪魔城伝説・グラント考

悪魔城伝説のグラントは本当に「渋い」キャラだと思います。
宿命のヴァンパイアハンターとか悲劇の貴公子のような派手さはないけれど、地味に素晴らしいキャラクターですよね。

https://www49.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/29966.html
こちらの記事にも書いてある事ですが、特別な力も宿命も持たないただの人間の善性と勇気を象徴するキャラだと思います。

グラントは職業や宿命や血筋により吸血鬼と戦わなくてはならない役割を持っている訳ではなく、何なら逃げたって全然良かったのに故国を守るために戦ったキャラクターです。悪魔城伝説の世界においての一般人が、ただ震えて英雄を待つばかりの無力な人々ばかりでは無かったのを証明するキャラでもありますし、グラントのおかげで、主人公であるベルモンド一族を疎んでいたと言う理由でプレイヤーに悪い印象を与えがちな「悪魔城伝説の世界に住む人々」の中にも、勇敢で善良な者が存在したと証明できます。
グラントと言うキャラクターがいるから、悪魔城伝説は特別な力を持つ選ばれし者だけの物語では無いと言えるのだと思います。

と言っても、プレイヤーとしてのグラントは超常的な能力持っていますけどね(笑)!ぶっちゃけラルフより使いやすかったので、グラントを仲間にしてからはラルフ一回も使いませんでした(笑)。

ただいかんせんその魅力が渋いので、悪魔城伝説の物語を他媒体で再構築する時はハブられやすいんだろうなあと思います。話数や容量が無限にあるなら別ですが、悪魔城伝説の場合はラルフとサイファのラブストーリーやラルフとアルカードの狩る者狩られる者の関係、アルカードと父親の関係と言う派手で重要な要素も多いですから……
そして、悪魔城伝説の物語をメディア化する際にグラントをメインキャラにすると、グラントに関わる人間達や、『人間達の世界』を描かなければならなくなります。そうでないと『グラント』と言うキャラに深みが出ないし感情移入もしにくいからです。
ラルフ、サイファ、アルカードの三人だけなら「悪魔城」の中だけで、「吸血鬼と吸血鬼を狩るもの(と、身内)」だけで話を終わらすことができますが、グラントは吸血鬼狩人でも無いし、一言で説明がつくようなラスボスとの強い縁がある訳でもない。グラントは人間の強さを象徴するキャラですが、あまりにも強すぎると主人公や魔王の息子の影が薄くなるし、反対に弱すぎると今度は三人の引き立て役みたいになってしまいます。
「悪魔城伝説」を、聖なる勇者ラルフと悲劇の貴公子アルカード、ヒロインのサイファの物語のような、選ばれし特別な者たちの運命の物語と表現したいなら、グラントはいないほうがいいんですよね; 彼は運命に選ばれた訳でも宿命だから仕方なくでもなく『自分の意思で』立ち上がったのですから。


ちなみに私は悪魔城伝説は「アウトサイダー達の物語」だと思っています。
運命や宿命に選ばれし正義の勇者の物語ではなく、人々から疎まれ群れからはみ出し、闇ですらない日陰に生きる者たちの物語。だからこそグラントは悪魔城伝説の主人公の一人なのだと思います。

悪魔城伝説……渋いですよね……!(*^^*)





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