メトロイドフュージョンの感想

 FF4のEDを迎えて、まあ面白かったんだけど随分と不自由なゲームだな、バランス悪いな、もっと言ってしまえば粗削りだなと感じたので、今度は完成度の高そうなゲーム、さらに言うなら数字をゴチャゴチャ認識せずに済む爽快アクションがやりたい……と思いつつ3DS弄ってたら3DSアンバサダー特典で貰ったGBAのVCが目に付いたのでコレで。

 実はこのゲーム、twilog見る限りは10年前の8月に一回クリアしてる筈なんですが全く記憶に残ってないんですよね。白昼夢だったのかと思いつつプレイ開始したもののやっぱり身に覚えがない。まあ新鮮な気持ちで楽しめるのはいいことです。

 1年前にプレイしたスーパーメトロイドは鬼のように難しかったけど、不満はUIと独特の操作性と難易度に集中しててゲームの完成度は高くて楽しめたんですよね。未知の惑星にたった一人で潜入していく孤独と不安、会話劇を用いずにシステムとプレイヤーの操作で物語を演出する潔さと巧みさ。そしてどんなに「これ詰みだろ!はー、クソクソ!」と思ってても必ず突破口が用意されてるところや「無理無理、こっちは初心者だぞ」と思った操作も繰り返すことで何とかなる(若干の欺瞞。NintendoOnlineの巻き戻し機能をアホほど使ったので)ところは流石の任天堂を感じました。

そしてこのフュージョン、ちょっと触っただけでスーパーとの違いをだいぶ実感したので以下に並べていきましょう。


○操作性の劇的な変化

 驚いたことに、ボタンが減ったにも関わらずスーパーメトロイドで感じたUIの不満が完全に解消されている。セレクトボタンで武器をカチカチ切り替える手法から、通常⇔丸まり状態ごとに攻撃ボタンとRボタン、それら長押しの組み合わせ攻撃を切り替えられ、それらが少しずつ解放されていくから混乱も無い。
 ダッシュボタンの廃止でスピードブースター発動も分かりやすくなってるし、ミサイルとスーパーミサイルの統合、冷凍攻撃を武器切り替えではなく追加効果にしたのも良かった。いちいち装備画面を開いて機能を切り替えてたX-Rayスコープを廃止したりスーツの機能を選択式から追加式にしたり、煩雑だと感じていた不満はほぼ解消している。

 装備面だけでなく、上下方向への攻撃が十字キーとの組み合わせでより直感的に出せるようになってるのもいい。Lボタンと上下キーの組み合わせで斜め方向に銃口の向きを固定しながら動くこともできる。この辺はスーパーの斜め撃ちがLで斜め下、Rで斜め上とかいう意味の分からなさだったから改善されて嬉しい。
 独特の浮遊感で無茶苦茶にクセ強く感じたジャンプもかなり一般的なアクションゲームのそれに近づいた。

 総じて今作はサムスが思ったように動かないということが無く、アクションの失敗は自分の操作ミスと受け入れられる下地が整っていると感じます。

○ゲームデザインの劇的な変化

 これは好き好きなのだけど、指令を受ける→指定されたエリア(セクター)で指令を達成する→次の指令を受けるの流れでゲームが進行し、指令の目標地点に到達したりボスを倒したりで新しい装備能力が解放されていくスタイル。
 余計な寄り道はかなり念入りに潰されていて、緊急指令!指定エリアへ急げ!の場合は指定エリア以外への連絡通路が遮断されてたり、新しい能力を使えばあの道の向こうへ行けるかも?って箇所もしかるべき時が来るまで戻れなくなってたりというケースがかなり多い。
 正直、途中からは寄り道してミサイルやエネルギータンクを探すより指令に従った方がいいな、と道中の怪しい場所メモを放棄してました。自分が今どのドアを開けられるか(セキュリティレベルの確認)や部屋同士の繋がり、アイテムが隠されている部屋はアイテムを取得したかどうかも人目で分かるようになってるからメモ自体あまり要らないかも知れないというのもあったし。っていうかアイテム取得の未既さえ判別できなかったスーパーはちょっと……。
 
 あと、次に何をすべきかはマップとともにいつでも確認できるから、たとえ長期間放置してたとしてもミッションを忘れてウロウロする、ということも起きづらそう。
 スーパーメトロイドは本当にぽーんと身一つで放り出されるし「次に何をしろ」って導線も薄いから生粋の探索好きやシーケンスブレイクを愛する人たちには歓迎されただろうけど、メトロイドヴァニアなんて言葉が無かった時期のゲームなので難しくて投げたって人もいそうなんですよね。その意味で初めて触る探索型ACTならフュージョンは親切だと思います(GBAだから対象年齢がそもそも低そうだし)。

○変わらず劇的なストーリーテリング

 寄生した生物の命を奪いそれに擬態する謎の生命体Xに襲われたサムスは生死の境をさまよったが、実はかつて倒したメトロイドがXの天敵で、メトロイドから抽出したワクチンによって一命を取り留め、逆にXを吸収する能力をも身に着けた。
 ……という設定の時点でご都合主義感が山盛りなのはまあ目を瞑ろう。

 サムスがとある宇宙ステーションへの潜入捜査を命じられる本作はとにかくホラー・サスペンス色が濃い。
 指令を与えてくるコンピューター『アダム』とバックにいる連邦政府はどこまで信用できたものだか知れないし、見えない何者かの手によってコロニー内の施設が次々に破壊されるし、ボイラーが異常発熱してタイムリミットまでに冷却装置を作動させないとコロニー爆発ってピンチや、安全なはずのステージ移動中にエレベータが突然の停止など気を抜けないイベントばかり。
 特に印象的なのは最強状態のサムスに擬態したSA-Xと呼ばれる個体。プレイヤーより速くプレイヤーより強く、戦ったら勝ち目は無い。こちらとしては物陰で縮こまっていたり、偶然鉢合わせたら全力で逃走からの壁の向こうに隠れてやり過ごしたり……こうなると実際メトロイドって、「ダッシュだ!ジャンプだ!宇宙の賞金稼ぎサムス・アランとなり迷路の奥に潜む悪の宇宙人をやっつけろ!痛快探索アクションゲーム堂々発売!」というよりSF風味のホラーゲームだよな、って感じですね。

○他に感じたこと

 「やさしい」ではじめたのもあって序盤はぜんぜんピンチにならずボスも一発突破、簡単にメトロイドが楽しめるいいゲームだなーと思ってたんですが、ステーション全体の電力がダウンしてクモ型のボスを倒したあたりから難易度曲線がギュインと上昇。
 SA-Xからの逃走は5回失敗して最後は攻略ページ見ちゃったし、一度嵌ると脱出不可能なラフレシアみたいなボス(ジャンプ連打で出られそうなんだけどどう頑張っても無理だった)に3敗、ナイトメアに2敗でこの辺りは明確に壁だった感。そこから先はガーゴイル(氷漬けの翼竜?)とかSA-Xとの決戦とかラストの恐竜型エイリアンとかまったく苦戦しなかったので意図的なものだとは思うけど、のんびり遊んでたら冷や水をぶっかけられましたね。

アダム・マルコビッチとサムス・アランの関係性LOVEなのでOther Mとドレッドもいずれやりたい。というかOther M移植しません?

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