ファミコン探偵倶楽部2作品の感想

 プレイしたのはSwitch版ではなく3DSのバーチャルコンソールです。というかSwitchでリメイクされてたなんて知らなかった。
 なお、2作品ともクリア済みです。後ろに立つ少女はディスクシステム版を友達の家で見て、自分でもニンテンドーパワー書き換え版をクリア、消えた後継者もGBAのファミコンミニで出た移植版を。
 ただ、恐ろしいことに消えた後継者の方はストーリーをなんにも覚えてないんですよね。後ろに立つ少女の方はオチだけなら当時のプレイヤーで忘れる人もいないでしょうが。

消えた後継者

 総当たりで解ける系のコマンド選択式アドベンチャーですね。この手のシステムは行動ごとに時間経過をさせて○日以内に事件を解決しないとゲームオーバーとか特定の選択肢で即死とか仕込んであるタイプもあるんですが、ファミ探はそういう意地悪無しのオーソドックスなつくり(途中で数箇所、文字入力が求められるけど間違ってもペナルティ無し)。
 ゲームオーバーの危険はないものの、じゃあこのゲームの難易度調整はどうやってるのかというと、序盤からもう登場人物が多すぎることに尽きる。こうなると「聞く」対象も多いから時間が取られるし、反応が変わらなくなるまで選択肢を選び続けるADVの基本に則って進めると2~3ページに渡って同じメッセージを繰り返し聞かされてテンポが辛い。表示速度の変更もできないしスキップなんてものが当然この時代にあるはずもなく。
 ただし導線は丁寧だし意地悪な引っ掛けもなし、1日の終りに捜査のまとめと翌日の方針をモノローグでまとめてくれるのは助かった。

 お話で気になったのは主人公の協力者兼コメディリリーフの熊田先生と、ウザ絡みしてくるギャグキャラの丙吉が浮きまくってること。当時のフィクションにおける「探偵」がそういうものだとはいえ警察が少年探偵に頼りきりだったり鑑識がホイホイ結果を教えてくれるのはうーん。

 ゲームとしては前述の通り選択候補が多いのに上下がループしてないのが駄目。話や人物同士の関係はかなり複雑なのに、バックログや相関図が無いのも困る。まあこの辺は88年のゲームだから許そう。
 依頼人が度重なる殺人事件を前にすべてを諦めてしまうところで、通常は中断用のコマンドである「そうさやめる」を選ぶと「あなたが希望を捨てるなら僕は捜査を降りさせてもらいます」とハッパを掛けることに繋がったり、普段は被害者の写真や証拠品を「みせる」コマンドを、警戒心むき出しの相手に「みせる→やさしさ」することで懐に入るなど、コマンド選択式アドベンチャー特有のギミックも良かった。
(まあこの手の手法は「なにかとれ→ふく」がレジェンド過ぎますが)

 問題点を挙げるとすれば2点。
 ひとつは、崖に打ち上げられたあずさの死体を調べる場面。8bitの悲しさか遠景だとグラフィックはどうしても粗くならざるを得ず、手がどこかも分かりづらいのに指をカーソルで選択しなければならないのには頭を抱えた。5分くらいここで詰まってた気がする。
 もう一つはそもそもこのゲームの存在そのもの。空木探偵事務の助手をしながら失踪した両親を追う主人公の物語は大団円を迎えるし、「消えた後継者」ってサブタイはきれいに回収されるし、事務所に戻ればあゆみちゃんが推理を手伝ってくれる。
……ファミコン探偵倶楽部シリーズの一作目だよこれ?空木さんって誰?事務所にいる女の子は何者なの?冒頭いきなり記憶喪失になってる主人公の身の上についても重ねてきた物語や伏線がないから、当時のプレイヤーはなんのこっちゃって思ってたんじゃないですかね……。

後ろに立つ少女

 統一感とか連続性という点でディスク版を買っても良かったんですが、あゆみちゃんが可愛いからSFC版をプレイ。束ねた髪を横に流すあのヘアスタイル、色気があっていいですよね。任天堂ヒロイン勢では一番好きですよあゆみちゃん。Switch版だと皆口裕子voiceで主人公(名前入力可)と若い者同士の清い関係を楽しめるんでしょ、こんなのもうラブプラスだよ。

 前作から進化したところは、待望の人物相関図導入。新しく増えた選択項目が強調表示されたり、相変わらず登場人物は多いものの選択できる項目を無意味に増やすことは避けてたり、それ以上の情報が得られない項目を選択したときは1ページどころか大体1センテンスでやりとりが終わる。前作で長文をちょくちょく読まされていただけにテンポの改善が凄くて、実質2日でクリアしてしまった。当然、SFCになったことでグラフィックも大幅進化(ただし、終盤に真犯人が正体を表すシーンの恐ろしさは思い出補正込みでディスクシステム版が一番)。

 ニンテンドーパワーでのリメイクまで10年もあったのに変わらねえ~と思ったのは選択肢の上下がループしてないところとか、ギャグ担当のキャラがやっぱり浮いてるところとか、私立探偵が警察の捜査に介入できるだけの権力を持ってるところ。
あと殺人事件のあった高校に部外者が侵入して先生から事情聴取するシナリオは今だと無理があるだろうし、オカマを揶揄するような要素があるのはLGBTが煩そうだし、ツッパリ番長キャラが出てくるのも時代を感じさせる。

 EDテーマは高校の頃から聴き続けてる超名曲なので久しぶりに実機で聴けて良かった。消えた後継者も後ろに立つ少女も、全体的に音楽・演出には恵まれてましたね。

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