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LIVE A LIVE(switch版)の感想

 SFC時代の名作RPGは大概プレイしましたが?みたいな顔しておいてLIVE A LIVEはノータッチのmarioです。でも考えてみたらFF4も聖剣3も天外ZEROも新桃も遊んでないのに大概も何もないな!
そもそもカウントの仕方でブレるにせよRPGだけで150本以上あるんですね(27本しかプレイしてませんでした)。

 さて、LIVE A LIVEですが、これほどの有名作ですからある程度の知識はあります。あの世で俺に侘び続けろとかそれは…気の毒に…とか森部のじーさんの奥義と!とか。ううn定番のセリフばっかりでゲームのことなんにも知らないな?とりあえず購入の動機は以下の通り。
・オムニバスが性に合いそう
・元がSFC時代のRPGだから飽きる(概ね30時間)前にクリアできそう
・レイのCV.

現代編

 ではサクッとクリアできそうなやつからはじめましょうか。技をラーニングしながら6人+各編のボスであるオディオっぽい名前のやつを倒せばいいんですよね?

 まず感じたのはHD2D背景の美しさ。お話は高原が部屋でトレーニングに励むシーンからスタートするんですが、窓の外の夜景が実にキレイ。オブジェクトもドットが細かく動くし、こりゃ確かに名作のリメイクをもっと見たくなるわ……と一人で納得。シナリオボス決着後も背景で水面に反射する朝日が非常に印象的。
 そして、基本的にボイスはゲームテンポを阻害するから反対派なんですが、高原の声にはびっくりしましたね。この格闘家の声、凄い聞き覚えがあるというか……関智一じゃねーか!そりゃイメージにばっちりハマるわ!

 攻略は森部(痛打・浴びせ蹴り)→ハン(カウンター)→他って感じで。シナリオボス含め殆どの試合は楽だったんですが、イヤウケアだけ3敗しました。大激怒岩盤割りを覚えようとして食らって即死→締めつけ3HITで即死→締めつけ3HITで即死……なんでホイホイ出してくる通常技が必殺の一撃なんだよ!結局隠し技は諦めました、仕方ないね。

原始編

 オムニバス形式あるあるで「過去から未来に向かって順番に辿る」ってのがあると思うんですけど、LIVE A LIVEも2割くらいの人がこの原始編からスタートしてるんじゃないでしょうか。……その割にクセ強いっつうか難易度高くない!?いきなり村を追放されて最初のエンカがナウマンゾウ×2サーベルタイガー×2ミニマンモス×2だったんですけどマジで死ぬかと思ったわ。
 えっこれマジでどうにもならないな、と思ったので攻略ページをちょろっと覗いて手持ちのアイテムで装備を合成。……これ、やり直したら最初の村で素材無限に貰えたのね。あと作るのが面倒な割に数を要求される「かわひも」も長老の部屋で取れたのね……まあイベントまた見るのが怠いからこのまま進めますけど。

 そう。原始編最大の問題は「イベントが多い割にテンポが激悪」ってところなんですよ。言葉を廃してアイコンとジェスチャーだけでお話を進めるという意欲は買うけども、お陰で演出過剰になってて時間がかかる&Aボタンでメッセージ送りが出来ないということは進行を止めることも出来ないということで、画面に集中してないといけないのが辛い。ちょっとコーヒー淹れてくるかってのも無理だからね。

 幸い、お話なんて何も分からなくても画面右下のレーダーで次に行く場所が示されてるから進行不能にはならずに済んだ。このレーダー、敵の位置も表示されるし行った場所は色が変わるしでかなりの優れものですね。

 主人公と相棒はおねショタの竿役で出てきたら菩薩のmarioが仁王になりそうなゴブリンぶりだが、まあ「土人」が差別ではなく事実の指摘になっちゃう感じだし仕方ない。それでもEDであからさまな濡れ場を入れるのはちょっと……。技も原作原画の小林よしのりに引っ張られすぎな下品さで、純粋な野生児というよりは下賤な蛮族にしか見えないのがなんとも。

西部編

 個人的に最高のRPGは「病気の母親のため街の近くの洞窟で薬草を摘んでくる」レベルの1タウン1ダンジョンの15分でクリア可能なものなので、短くまとまってる西部編は最高でしたね。
 しかも大好きな西部劇(BTTFは3派)の世界観で哀しげなフォークロアの調べをバックにお尋ね者と賞金稼ぎがサルーンで剣呑な雰囲気になったり「背中合わせで5歩」の決闘にタンブルウィードが華を添えたり終始ニヤニヤしながら面白おかしくプレイしました。罠仕掛けフェーズも初見で建物を隈なく探して時間が余ったくらいでしたし。

←に転がっていくタンブルウィードが最高

 ただ、ボス戦はガトリングガン→部下の攻撃でキッドがあっさり死亡したためマッド・ドッグが一人で頑張る羽目になった。そしてそのマッド・ドッグもラストバトルでえらくあっさり死ぬ無常観。なんとなく2人の決着は語られずにお互いが銃口を向けるシーンで『劇終』になる雰囲気を感じてたので肩透かしというか、なんかフラグ立て忘れか?って感じ。
 プレイ後はテンション上がりすぎたので思わず「ベル☆スタア強盗団」を読み直しました。伊藤明弘のガンアクションはやっぱりいいね。

功夫編

 レイはちょっと高めの声だと明らかに上田麗奈なんだけど、ハマり役って感じはしなかったので評価に困る。演者とキャラクターを同一視する悪癖(本当に悪癖)に悩まされる身としてはガラの悪い演技を聞くたび心が辛くなりますよ。役者を追うのに向いてない。

オディワン・リーを銅鑼に叩きつけるところもベタで最高

 ゲームとしては、老師が序盤めちゃめちゃに強いのに、弟子がだんだん追いついてきて最終的にちょっと力物足りなくなる調整は上手い。ただ復讐パートに入ってからはいくらなんでも戦闘が多すぎませんかね……。流石にウンザリした。
 ストーリーは分かりやすく燃える展開。捻りがないというよりは、小さくまとめようとするとどうしても起承転結ではなく序破急タイプの展開になっちゃうのだろうね。意外なところではサモが事前の予想よりマイルドなキャラで、ユンは幕間のイベントからスタッフが想定してる継承者なんだろうなって気はした。

 レイの場合、老狐の舞が使いやすいのに加えて蛇形拳の射程が2あるので戦いやすかった。ただ他は上下か斜めに1マスしかない技が多くて、最終編に居場所が作れるかやや不安。

幕末編

 へー、隠れ蓑術を駆使して敵の城に単身乗り込むのね、メタルギアみたいなもん?と思いながらプレイはじめたら確かにこれはメタルギア。というかおぼろ丸が弱すぎるんですけど。
 メイン技が2種の斬撃と火属性の魔法しかないのに敵の侍は斬撃耐性持ちで、炎をばらまくと自分もダメージを受ける。しかも攻撃力が低くて3~4回殴らないと倒せないのに低HPのせいで敵の攻撃を受けると半分近く減る。
 話にならない……ということで侍は徹底的に避けて弱そうな商人とか人魂を狩ってレベルを上げてたんですが、レベル7で「忍法夢幻蝶」を覚えたら世界が変わりました。長射程・高威力で多段ヒットする技とかどう考えても強いでしょ。最後までこの術一本で押し切りました。

 それにしても……ずっと同じ城の中をウロウロするだけなんですがとにかく広くて部屋も隠し通路も多く、仕掛け満載の屋根裏や何層にも渡る地下室、お堀には脈絡なく超強い錦鯉が放し飼いされてたりとこの話だけボリュームとか作り込みがすごくありません?

 そういえば屋根裏で唐突に親子忍者が現れて父忍者の方が唐突に死んだのなんだったんだと思ったけど、謎の親子が脈絡なく登場するシーンって西部編でもありましたね。これまさかすべての話に登場してる?

近未来編

 最初、ホラーゲームみたいな「暗闇から双眸だけが覗く」演出でびっくりした。で、主人公のアキラ、最初から範囲攻撃持ってるのは優秀なんだけどちょっとチンピラすぎない?子供に何を頼んで妙子のへそくりを盗み出そうとしてた理由が全く語られないから単に倫理観が終わってる主人公って印象しか残らない。
 倫理観といえば博士は博士で「子供が飼ってるミドリガメの具合が悪い」→「液体生命にしてサイボーグに注入すればずっと生きていられる!」って発想に至る……ならマッド・サイエンティストで済むけど、一足飛びにその結論を押し付けてくるのは狂人なのよ。

 ↑で疑問に感じたアキラの意図といい、近未来編は全体的に説明不足が目立つのが気になった。ブリキ大王とは一体何なのか。なぜ古代バビロニアの遺物を博士が所有していたのか。なんで博士は(ピンチになる前に)それを動かそうとしていたのか。無法松が食べたマタンゴとは一体どんなもの、なぜそれを摂取すると超能力が使えるのか。そもそもアキラだけがなぜ普通に超能力を使えるのか。
 おそらく純粋に詰め込み過ぎなんだと思う。少なくとも病弱な妹とタロイモはまるまるカットできた筈。

 独自のアクションとしてAのボタンで会話、Yボタンで心を読む事ができるという設定も、今ひとつ活かしきれていないと感じた。ストーリー中盤で無法松が研究所に向かったことを知るところと、無言の研究員の心からパスワードを読み取るところくらいか。単純に情報収集のテンポが悪くなっただけのような……。

 研究所で液体人間を倒したあと飛び散るシーンのショッキングさや池全体が液体人間だったという事実、ボスを倒したあとで沈んでいく悪人たち、無法松とアキラの過去、尋常じゃない色気のある妙子さんのドットなど眼を見張るようなシーンも多いだけに、ブラッシュアップ不足じゃない?ってところが目に付いてしまった。

 あと無法松ってグレンラガンのカミナのパクリだよね?ね?(時を超える言いがかり)

ゲームやるまで「松」はアキラの子分だと思ってた

SF編

 これ全シナリオ思ってたんだけど、デフォルトネームでプレイしようとしてるのに名前入力画面から直接決定できずに、編集→何も入力しない→決定とやらないといけないのすごく面倒。いや、このシナリオは個人の部屋に入るたびに名前入力を求められるからつい気になって。というかこのシーケンス要る?

 シナリオそのものは調和を使命とするAIが争ってばかりの人間こそ悪と判断して排除に乗り出すっていうコッテコテのテーマながら、檻から逃げ出した謎の生命体(ベヒーモス)の存在がうまくミスリードになってて面白かった。途中まで完全に、ベヒーモスがこれみたいに電子媒体をジャックできる能力持ちだと思ってたもの。

 スタンドアロンのゲーム機から回線を繋いでメインコンピューターに侵入する展開は「シュガー・ラッシュ」っぽさも感じつつ、キャプテン・スクウェアのタイトル画面をキャンセルして『KILL YOU…』になるところはかっこいい。EDではオイオイオイ案件だと思った伍長がちゃんと生き残ってるのも意外性があって、コーヒーを飲んでくれるラストもいいね。意識してるんだろうけど全体的に洋画っぽい。

序盤の伏線をしっかり回収した名シナリオ

中世編

 キャッチコピーは「あの世で俺に侘び続けるRPG」で有名な中世編。いやそれはともかく上記の台詞やオルステッド、ストレイボウの名前は未プレイの自分でも知ってるほどだし、恐らくオルステッドは主人公でありながら周りを蹴落として栄光を手に入れようとする悪役。裏工作をプレイヤーの知らないところで行う「信用できない語り手」の手法をRPGに取り入れた斬新さが当時ウケたんだろうなー、と思ってました。
 話の結末は、すべてを悟ったストレイボウが死の間際に無念の叫びを挙げ、それによってプレイヤーも一連の事件の黒幕は自分が操作していたオルステッドだと知るという。今まで青を基調としていたシステムメニューが中世編だけ赤いのも、オルステッドが全く喋らない(故意にプレイヤーの感情移入を誘っている)のも、実は主人公こそ悪だったというどんでん返しへの準備なんですよね。

 ……って一人で納得してたのがバカみたいというか、オルステッドぜんぜん悪くないしストレイボウが純度100%の逆恨みで情けないことこの上ない。「姫を救いに行った筈の勇者が最終的に魔王になってしまう」って粗筋だけ聞いて『アスピック』じゃんと言いたいところだけど、捻くれたストレイボウと頭のおかしな姫様のせいで理不尽感が強くなっててそれとも違う。そもそも魔王(じゃなかった)は何だったの?

オルステッドが君に謝る道理は無くない?

 攻略としては幕末編の序盤で位置取りの大切さを実感したのでうまく立ち回ることが出来たし、そもそも味方が多くみんな強くてオルステッドも使いやすい。というかディレイ無しで連発できる範囲攻撃の「インケイジ」が強すぎる。

最終編(オルステッド)

 オルステッド可哀想すぎるから救ってあげたくて、オルステッド、レイ、高原、サンダウンでPT組もうかなとはじめたら、そういう話ではなかった。
 各編ボスって自分が操作すると(確定で先手取れるし方向変えにターン使わないし)こんなに強いんだなって。ただ、それでもガマ变化だけは1回負けました。忍法夢幻蝶が強すぎる。
 オチは救いがないというか虚しいというか、言うなれば「待った!」からの逆転勝利で「我々こそが真の勝者なのだ!」は無理筋じゃないかなって。せめて悪役が勝利した世界が迎える悲劇的な結末くらいは見たかった。

最終編(心山拳師範)

 はじめてすぐにキーアイテムが手に入って、やろうと思えばまっすぐラスボスの居城まで乗り込めるけど、好みに応じて仲間や最強武器を集めたりレベル上げてねって割り切ったつくり。ラスボス(の第一形態)がアホかってくらい強かったから、まっすぐ進めてたらまあ歯が立たなかったろうけど。

 メインメンバーは技が豊富で画龍天聖の陣が便利な心山拳師範、タンクしつつ浴びせ蹴りの高原、ハリケンショットの火力が尋常じゃないサンダウン、あとは回復にキューブを入れたけど、最後の枠は夢幻蝶や手裏剣の火力が高いおぼろ丸やHP高めで高火力技もちのポゴでもよかったかも。アキラは最後まで攻撃範囲が広い割に弱くて使いづらかった。

 ロックマンばりのシナリオボス連戦、各シナリオの最終決戦に至る流れをもう一度繰り返すから冗長さがハンパじゃない。各シナリオの名台詞は一回きりだから「おおっ」ってなるのであって、アンコールされても……サニーブライアンのダービーみたいなもんで。
 戦いもシナリオボス戦をやり直すだけで、仲間がいないという状況ではあるにせよレベルが上ってるぶん、全く苦戦しなかった。アキラに至っては戦うのがブリキ大王だから個別シナリオのときとシチュエーションが完全に同じだしね。

 この最終編、一番困ったのは誰も目的を提示してくれないところ。恐らく「魔王オディオに召喚された7人が元の世界に戻るため、力を合わせて魔王をやっつける」なのだけど、「元の世界にもどるため」って部分は最後まで触れられなかったから自分の妄想かもしれない。なんとなく7人が出会って、敵ではない=味方という認識で手を組んでる。オディオもオディオで、どうやら中世編の世界は滅ぼしたようなのになんで別の世界に手を出す=別の世界を認識できている、のかよく分からない。
 しかも結局オルステッドは救われない上に、主人公の説教をくらって改心することもなく、「自分を倒してもいずれ第2第3のオディオ(odio=憎しみを抱く者)が現れるだろう」って台詞で消えるのがみっともない。
 各世界のオディオが負けたあとの「我々とお前たち、どこが違うというのだ!」って嘆きといい、個人的には『情けないRPGのラスボス』として記憶に残りそう。

 テーマ曲のアレンジメロディーで送るEDはドット芸も無茶苦茶に気合入ってて、目も耳も楽しい。原作に思い入れのない自分でも満足度の高いHD-2D化だったし、ここまでやってもらえるならスクエニお得意のリメイク商法も大歓迎。エストポリスの版権を今持ってるのってスクエニですよね?

気づいた点

書くスペースが無かった。
・一部のザコが強い(イシュタール、マスタードラゴン、ピスタチオ、グラングラスなど)
・必ず逃げられるのはとても快適
・レベルアップの恩恵が大きいから困ったら稼いだ方が良い
・チェッカーバトル+行動順固定+待機時間+回復・補助行動にも範囲があるシステムのすべてがパーティーバトルと相性悪すぎる。

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