サグレス(Sagres)の感想
大航海時代3が現行機で遊べる日を心待ちにしてたら突然クローンゲームがリリースされたでござるの巻。
大航海時代が好きなので
「今までの人生で一番ハマったゲームは?」という質問は、ゲーム好きなら一度は仲間内で話題にしたことがありますよね。自分の場合はエルミナージュ?ロマサガ?メタルマックス?かまいたちの夜?色々考えた末に出す答えは、大航海時代ONLINEか大航海時代3になるかもしれません。遊んだ時間が一番長いのは起きてから寝るまでPCの前から動かなかったONLINEの方ですが、多感な高校時代に「PCゲームってすごい!」という強烈な体験を叩きつけてくれた大航海時代3も捨てがたい。
ただ大航海時代シリーズ全体で考えると、大航海時代前夜の15世紀からスタートして、海上だけでなく陸上移動もできてストーリー皆無の自由度に全振り、未知の発見と異文化の征服に重きを置いた3ってめちゃめちゃ異端児なんですよね。名作の誉れ高い2と移植されまくってる4はどちらも複数主人公で16~17世紀が舞台の物語重視な作品なので、3の路線はマニアック過ぎてウケなかったのかなと残念な思いがあります。
で、先日ふとIndieWorld(switchの新作Indieゲーム紹介映像)を見てたんですよね。ああSCHiM-スキム-の発売日決まったのかとか、性格診断ゲームは7 days to End with youのLIZARDRY制作じゃんとか。そしてひときわ自分の目を引いたのがこのサグレス(Sagres)でした。
ヘーRPGツクールみたいなグラだな。史実の航海モノやるんだ。発見物にヒラルダの塔って、大航海時代3ぶりに聞いたな。ん、陸上移動可能なの?図書館でヒントを得て契約を結んで発見に向かう……?パズルやミニゲームに挑戦する発見物ってこれ……。スキルの最大ランクが3で医学とか科学とかウイグル語があるってさあ、やってんなあ!明らかにやってんだろ!大航海時代3だこれ!歓喜とともにDL。
実際のところ大航海時代3に似てるの?
以下、プレイして気づいた大航海時代3との相違点を並べてみました。
・アルメイダやコロンのようなライバル冒険者は存在しない。
・主人公の名前と国籍はポルトガル固定。
・職業や役職の概念がない。
・契約相手はリスボンのギルドのみ(後半はどこからでも契約できる)。
・船種は4つのみで、艦隊を組むことはできない。
・結婚引退の要素なし。
・宿屋で長期休養して当地の言語を覚えられる要素はオミット。
・旅を続けることで対応した言語を含むスキルが成長するようになった。
・積荷と物資の容量が別々になった。
・どこの街でもセーブ可能。
・海戦陸戦ともにじゃんけん形式に統一。
・海上で方向キーを押していないときは時間がストップ。
・船の性能はカスタマイズ可能。
・仲間になる航海士はランダム移動なしで特定の街に常駐。
・発見物のありそうな場所はフィールドで視認可。
・草原、砂漠、山など地形が分かりやすくなった。
・契約先に発見物を提出する必要はない。
・一部発見物にパッシブ(獲得名声UPや逃走率UP)が付いた。
・一発ゲームオーバーのミニゲームが無い。
・ミニゲームは新作が多く、難易度は全体的に軟化。
・イスラム圏の都市潜入時のターバンは持ってるだけで自動成功。
・物資が底をついて行き倒れても、最後に立ち寄った街に戻されるだけ。
こうやってズラッと並べると結構違う点が多いように見えます?
逆にこれ以外はまるきり一緒なんですよ。大きな街の図書館で本からヒントを得てスポンサーと契約を結び出航→発見→報告して名声とお金を得るというというゲームの基本ルールが完全に一致。
特に大航海時代3の大きな特徴である陸上移動に関しては、ベイルートから上陸してシナイ半島でペトラを発見しその足でバグダッドやイスファハンまで足を延ばしたり、アレキサンドリアからナイルを遡りエチオピアやヴィクトリア湖に至ったり、他のシリーズだとイタリア半島をぐるり一周する必要があるジェノヴァ→ヴェネツィアが一瞬だったり、やろうと思えばシルクロードを延々進んで陸路で北京に辿り着いたり。
音楽やグラフィックといった雰囲気を彩る要素は全然違うけど、やりたい放題感、ゲームの本質的な面白さはまったく変わらない。戦闘やそれに伴う艦隊運用がバッサリ簡略化されているけれど、これは低価格ゲームとしての選択と集中でしょうね。
もちろん約30年の歳月を経てよりユーザー寄りになった要素もあって、中でもマップチップが導入され地形が分かりやすくなったことで、ヨーロッパの東側は一面の草原だからそりゃモンゴル軍もどんどん攻めてくるだろうなとかアフリカ中部は案外ジャングル多いなとかインド北部から中国までは険しい山と砂漠ばっかりで玄奘の苦労が偲ばれるとか、内陸部を歩いてるときのワクワクがスゴい。
元ゲーム(もうこう言っちゃうが)のプレイヤーなら誰もが歯ぎしりしたであろう失敗したら一発アウトのミニゲームが無くなったこと、どこでもセーブできること、物資が尽きても出発した街に戻されるだけ(デスルーラさえ選択肢に入る)なこと、イスラム圏の街に入るたびに運試しの「異教徒は入れぬ!」が無くなってターバン持ってればフリーバスになったこと、スポンサーと契約してると発見物を取り上げられちゃうからアイテムが入手できる発見物は契約せずに見つけるセオリーが不要になったこと、発見物の場所がわかりやすくなったことあたりは明確に良くなったと思います。
で、ここまで褒めまくってきたけど、流石に発見物の多くが3と一緒なのは言い訳不能だと思うんですよ。モン・サン・ミッシェルやストーンヘンジみたいな外せない定番はともかく、サットン=フーの兜なんて他のゲームじゃまず見ないものまで。
あとは物資の消費が多かったり航海中に船員の不満が溜まりやすい仕様なので適度に街を中継する必要があるのは面倒かも(これは調理室の導入と、子爵で解禁される高速補給でほぼ問題なくなった)。
まあ大量の宝石とちょっとの水だけ積んで、道中の物資は釣った魚と雨水のみ、疲労は料理で回復しながらカリカット-リスボンを無寄港航海とかやってたDOLがイカれてるんですけどね。
プレイの振り返り
4/21
プレイ開始。チュートリアルが丁寧かつテンポよくて驚いた。消息を絶った父を追って海へ……ってのは定番の流れだけど、入り込みやすいですね。
とりあえず、ヒントを得るためには言語・前提発見物・技能が揃っている必要があるはずなので、大航海時代3でもやっていたようにセーブ&ロードを繰り返していろんな街の図書館データをエクセルにまとめはじめる。
しかし……見た目はチープだけどプレイフィールが完全に大航海時代3で変な笑いがこみ上げてきますね。そしてミニゲームは刷新されてるうえ、失敗しても何度でもやり直せるorお金が減って出発した街に戻されるだけなの優しすぎない!?元のゲームは水晶のどくろとか本当にキツかったから。
4/22
前提無しで発見できるヨーロッパの発見物はだいたい見つけたかな。交易の要素はあれど相場の概念が無いから適当に買って適当に売るだけで路銀の足しくらいにはなる……というか一攫千金の大儲けは出来そうにないし、お金ばっかりあっても使い所が少なそう。セイレーンを防ぐ耳栓や壊血病対策のライムジュース等はまさかの消費無しだったので見つけ次第買うのが良さげ。対応する地形で移動が速くなる馬・ロバ・ラクダももっと早く買えばよかった。
で、テーベ発見時に盗掘屋と3連戦。ここまで戦闘は全逃げだったので仕方なくアレキサンドリアで一番安い装備を購入してギリギリ勝利。この先も発見時の戦闘はあるだろうし一気にいいものを揃えてしまおう、ということで北欧でクレイモア、地中海でプレートアーマーを購入。寒い地域に強い武器、イタリアにいい防具があるというのは大航海時代プレイヤーにとってもはや常識。
4/23
ヨーロッパでやれることがなくなったのでイベントを進めましょう。まずはアフリカ南端へ。
このゲーム、街の出入りだけで日数がかかってしまうから寄港は最小限に抑えたいんですよね、そんな要素があるか分からないけど他の冒険者に先を越されたり規定年数経過でゲーム終了って可能性もあるので。
よって陸沿いにアフリカを回って、アルギン、ヴェルデ岬、シエラ・レオネ、アクラをスルーして、ラゴス(サン・ジョルジュ)で補給。そのままサン・トメ、ルアンダを過ぎてカリビブ……カリビブが無い!物資は尽き、向かい風の影響で船速が出ない中、船員がバタバタ倒れはじめたところでようやくケープに到着。
あとは街を出てちょいと進めばアフリカ南端発見だぜ帰りは追い風で楽ちんだし、というところで国籍不明の船に襲われる。これが必須のイベント戦闘ではじめてのゲームオーバー。ダウ(初期船)にファルコネット(初期大砲)じゃ歯が立ちそうにないので、強い大砲を引っ張ってくることに。どうせハンブルクにあるんでしょ(実際カノン砲が売ってました)。
あとはそれをキャラベルに積んで容量を弄ったらあっさりリベンジ成功。
無事にアフリカ南端を発見し、追い風に乗ってリスボンへ帰還。その脚で「今度はインドだ!」みたいな流れになったので、アフリカ南端発見の10分後にはインド発見(それでも一回はケープから無寄港でインド洋を突っ切ろうとして物資が尽きて失敗してる)。ONLINEだと時間がかかる航路もサクサクで気分がいいですね。
4/24
西の大陸に進出する前にイギリスの私掠船と対立する流れっぽいので、戦闘前にできるだけの発見を、ということで再びヨーロッパ中を巡って新たに解放されたヒントを回収。このあとは新大陸発見→スパイス諸島発見→中国発見→南方大陸(テラ・アウストラリス・インコグニタって言うと気取ってる感が出てGood.)→世界一周航路でEDって感じだろうか。
4/25
アフリカからインドの発見物を総ざらいしてリスボンへ帰還。
ここ2日間は仕事の関係で1時間ほどしか触れてないんですが、ゲームスピードが速いおかげでどんどん進められる。まさに飛ぶが如く自由に世界を駆ける、頑張ればストーリーを無視して世界の果てまでも行ける。これも一つのオープンワールドと言っていいのかもしれませんね。言い過ぎたわ。
4/26
本編は航海士養成学校を卒業した主人公、父を探す幼馴染、2人のお目付け役の3人で割とコミカルというか仲良く冒険を進めていたところ、イギリス私掠船との戦いでお目付け役が負傷。
これ以上周りを巻き込めないと幼馴染は一人黙って新大陸行きの船へ。それを追った主人公は難破してインディアスの村へ。お金は取り上げられるし言葉は通じず仲間もいない。絶望していたところへ現れたのは幼馴染が探していた父親のアントニオさん。今度はアントニオさんと一緒に幼馴染を探す旅がスタート。
ここから戦闘や交易にルールが追加されたり、お話的にも盛り上がる第2部スタートといった雰囲気。
まずはインディアンの捕虜になっていた主人公を買い戻すためにお金を集め、並行して船を直すための部品を各地で購入。ヴェラクルスの銀がカリブ諸島のイスパニア拠点で高く売れるというのはあるんだけれど、交渉によって安く買い高く売れるようになってお金はストレス無く貯まる。
その頃、武力を背景にしたイスパニアからインディアンへの要求はエスカレートし、硝石を産出する山の領有権を渡さなければ皆殺しにするとの最後通牒を突きつけてきた。そしてイスパニアの新大陸拠点にポルトガル人の人質として幼馴染が囚われていることが判明し、主人公たちは逆転の策に打って出る。
しかし国策で新大陸の征服を進めるイスパニア相手に一時の勝利を収めたに過ぎず、結局は先祖代々の土地を明け渡して落ち延びていくインディアンたちが悲しい。大航海時代をモチーフにしたゲームをプレイしたりお話を読んだりしてるとスペインへのヘイトが高まって仕方なくなりますね。
ポルトガルがそこまでじゃないのはインドのマハラジャに高価な贈り物を持っていったとき「インドではどれだけ小さな国でもこれほど貧相なものを送ってはこない」って相手にもされなかったエピソードが同情を誘うからでしょうか。
4/27
史実より約2年早くトルデシリャス条約が発効。以降、新大陸の港に入るたびに成功判定を潜らなければならなくなる。まあゲーム的には成功するまで判定し直すか武力で押し通るだけなので面倒以上のものではないですね。
シナリオはイスパニアの連中が辿り着いた新大陸は香料諸島じゃなさそうだからポルトガルはもっと東へ行くぞ!という流れで香料諸島を発見、更にその脚で新大陸を回ってリスボンへ帰ったら世界が繋がってることを証明できるんじゃない……?と、いうなればマガリャンイスの世界一周航路を逆走することに。
まあ一回目はオーストラリアを超えて南下すれば強烈な偏西風で楽に帰れるかななんて航路を使ったら寄港できる場所がなくて失敗。2回目は大人しく北太平洋海流に乗って北アメリカから陸沿いに南下し、今度こそ無事に世界一周成功。
歓喜に包まれる人たちをよそに、これまで何度も敵対してきたイギリス私掠船のアーチボルドと最後の戦い。
実際には彼も、国の命令で他国の船を襲ってたのに貿易の方が金になる時代が来た途端に国から邪魔者扱いされるという可哀想な人だった。大航海時代をテーマにした(略)イギリスへのヘイトが高まりますね。いや、イギリスの場合はどんな歴史ゲーやってても悪役だけど。
ギリギリのところでアーチボルドを退け(1敗)、無事にED。とはいえ発見物はまだまだ残ってるので続けましょう。
4/28
というわけでED後の世界巡り。まずは最初期から名前だけは見えてるエジプト周りの連続クエスト、王家の谷に着手。このパズルがかなり難易度高くて、電車の中でswitchを見つめる不審者になってしまった。
実は新大陸から帰ってきたあと、リスボン以外でも発見物の契約や報告ができるようになったのでますますプレイしやすくなってるんですよね。香料諸島発見後に解禁される発見物や東アジアも手付かずなのでマラッカを拠点にあちこち巡る一方、シリーズ恒例の発見物を回収。
ユカタン半島やマレー半島のジャングルの奥に眠る発見物を探すためにマチェットで未知を切り開くミニゲームをプレイしたり……
霊峰富士の山頂で日本の天津神と戦ったり……
北海の果てで伝説の大蛸と戦ったり。大航海時代3だと洋上で遭遇して戦闘になった怪物(シーサーペント、クラーケン、巨大鮫、マンタ)はいずれも発見物になっている。後ろ2つは戦闘無しで発見できるので安心。
そして、気づいたら手に入れていて契約もできない情報が。
「生者と死者が出会う時」の意味が分からないけど他の発見物を全部探したらいいのかな、と思って進めつつ何度か契約を試みたところ、「死者は陸地から一番遠い海の果てに……」みたいなことを言い出したのでピンと来ました。到達不能極(ポイント・ネモ)のことだわこれ。
果たして現地に辿り着くと唐突なメッセージとともに戦闘が。砲撃がアホみたいに痛い(帰りのことを考えて物資多め装甲を貼らずに来たため)のでさっさと接舷して白兵戦に持ち込んで勝利。
ポイント・ネモとかギョベクリ・テペとか、割と最近(と言っても30年くらい前だが)のネタを盛り込んでくれるのが、まさに大航海時代3のアップデート版って感じでとにかく嬉しい。
幽霊船を発見してもまだ3つほど未発見のものがあるなと思ったら、2つは王立図書館(ストーリーイベントを進めるために訪れていたがクリア後は放置していた)に、最後の一つはワルシャワの図書館にあった。ワルシャワなんて最初のヨーロッパ巡りで訪れてからめっきり足が遠のいてたわ……。
終わりに
本編クリアに8時間、全コンプに15時間。めちゃくちゃに面白かったですね。仕事の関係で平日は帰宅してから寝るまで2時間くらいしか取れないんですが、気がつくと寝なきゃいけない時間を過ぎてる。「ゲームのし過ぎで寝不足」なんて10年以上味わってない感覚でした。
単にクリアするだけなら発見物はかなりスルーできるし序盤の動きは無駄が多かったから、やるかどうかはさておき最短日数クリアやRTAの真似事なんかもできるかもしれない(歴史と宗教に注力してテーベとゲガルド修道院を早めに探すのがいいか?)。ラグを感じたりウェイトがかかるシーンが無くて、とにかく遊んでて気持ちがいいゲーム。
残念なのは本編ラストのアーチボルドとの連戦でBGM再生周りに不具合があるのかノイズが入ってるところくらいで、翻訳もバッチリだし誤字脱字も見当たらない。誤分類(システム上は無意味)が若干あったくらいか。
こうなると次は大航海時代オフラインがやりたくなりますね。北ヨーロッパ~東地中海の書庫で地図を漁って上陸地点でツルハシを振るうだけでいいんだけどな~。って弟に話したら「月額課金の方が儲かるからKOEIは動かないでしょ」って冷静な意見が。うーん、DOL(大航海時代オンライン)を畳むときはなんとかしてもらえませんかKOEIさん。あるいはサグレスのスタッフは次回作でDOLオマージュを作ってください。
しかし、そろそろ20周年になるのにまだ大型アップデートしてるとは、今もDOLで遊んでる人たちのテンションやら素性が気になる……。
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