逆転裁判6の感想

 次にやるゲームを決めかねて……というか、積んでるゲームが120本近くあったので、 リスト化したうえでランダムに選ばれたゲームからやっつけることにしました。 で、ゲームルーレット (仮) によって選ばれたのがこれ。 昨年12月のセールで買って放置してたみたいですね......。
 逆転裁判シリーズは本編1~5、スピンオフはレイトンvsをプレイ済みです。「クリア済みです」と言えないのは4を投げたからですね。3話くらいのサーカスの話だったんだと思うんですが、 ムジュンの指摘に音の聞き取りが必須で、音楽の素養がない自分はそこで投げたような記憶があります。

 シリーズ作品を好きな順に並べると1>5>2>3。2~3あたりは1話ごとの内容がどんどん長くなっていって、DS以降は演出がどんどん冗長になっていった感があります。いずれにしても事件は複雑化の一途で、ともすれば論証の大きな流れに着いていけず、とりあえず目の前の証言と合わない証拠品を見つけるだけ、というスッキリしない状況に陥ってましたね。おかげで事件が解決した後も全体像や時系列を自分で整理できない、理解できてない状態だったので、後で思い出すにしても断片的なことしか覚えていない。まあこの辺の納得感の無さは自分のおつむの問題なんですが......。

 結論からいうと、逆転裁判シリーズ最新作にして王泥喜クンにとっての完結編としてバッチリな出来で、クリア後の空気も爽やかなものでした。

良かった点

・オドロキ君の物語が完結
 1話が導入、2話、3話で少しずつ伏線を張って、4話は箸休め、5話で怒涛の如く新事実を叩きつけて一気に エンディングまで押し流す緩急のつけ方は上手い。 特に5話は2部構成になっていて、1部は「民事訴訟だから弁護士 vs 弁護士の構図」という新しさ。そして前編終了時点で「こいつが今回のラスボスか」と思っていたキャラがいきなり退場、呆気に取られつつ探偵パートを進めていると、漠然と思い描いていた前提が次々覆される展開はお見事。
 初出の4に対する世間的な評価、 世代交代に失敗した主人公という不遇な立場にあったオドロキくんが5と6でしっかり活躍して、前主人公であるナルホドくんの格も落とさず、大団円で終わるクロージングもとにかくよくて、 タイトル画面に戻った時、クリアしちゃった (物語を終えてしまった) 寂しさがこみあげてくるのは、デキがいいお話だった証拠ですね。

・話の流れが分かりやすい
 完全に主観ですが、「今何の話をしてるんだっけ?」「何を探すんだっけ?」と頭に?が浮かぶシチュエーションは少なかった気がしますね。実現可能性を脇に置いておけば1~4話は論証に着いていけたので。流石に最終話は話の構成や舞台となるクライン王国にまつわる能力の特殊性から複雑さを感じはしましたが、それでも意味が分からない、ということはありませんでしたし。ひょっとしたら細切れに毎日プレイするのではなく一つの話を1~2日で一気に片づけるプレイスタイルが奏功したのかも。

・ユガミ検事とココネちゃんのタッグが成立
 第4話は探偵パート無しで法廷パートの難易度も低め、事件も被告人も単発ゲストという箸休め的な内容。ただここでココネちゃんがメイン弁護士として法廷デビュー、それを、前作では法廷の両端で睨みあったユガミ検事が傍らに立って時に厳しくサポート。 「黙りなァ!」が実に頼もしい。 この話は今作の構成で完全に浮いてるんだけど、単純に逆転裁判ヒロインで一番好きなココネちゃん出ずっぱりは嬉しかった。 ありがとうカプコン。

・弁護人依頼権が保証されない国での弁護活動という題材に挑戦したこと

何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も正当な理由がなければ、拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない

e-gov 日本国憲法第34条より

 今作で成歩堂弁護士が事件に巻き込まれるのは、弁護士が悪人扱いで、巫女の託宣(オラクル)によって被疑者の運命が決まるという国。そんな中で被告人の無罪を信じて正々堂々戦い抜く弁護士の姿が描かれるわけで、実際ナルホド君自身が4では証拠品捏造で弁護士バッジをはく奪されてるし、5では法曹が信用を失った暗黒時代を扱ってたし、逆転裁判シリーズの3DS最終作に相応しい、難しいテーマに取り組んだなという印象。
 権力者が裁判中に法を書き換えたり、検事が裁判長に代わって判決を下そうとしたり、疑わしきは有罪、反証しても被告の側が真犯人を告発してその犯行を証明しない限りやはり有罪という、日本では考えられない無茶苦茶な状況……と思ったけど後者2つはいつもの逆裁でも同じですね。この世界の司法はどうなってるんだ。

気になった点

・頻繁な読み込み表示
 移動や選択肢の決定、場面転換に限らず、とにかくやたら右下で円がくるくる回ってる。音はしないしローディングで処理が遅くなってる感じもない、言ってしまえば実害は無いのだけど、気になる人は気になりそう。自分は結構気になりました。

・バシバシと机を叩きすぎる一同
 特に目立つのはココネちゃん。ナルホドくんやオドロキくんは資料を手ではたいたり、決めのシーンで机をバン!(ドン!)からの証人に指を突き付けるシーンのインパクトが強いから、机を叩く(準備モーション)の印象は上書きされちゃうけれど、ココネちゃんは本当にしょっちゅう机をバンバン!と連打するのがとても気になる。今作はライバル検事が比較的冷静で穏やかな性格だからか悪目立ちしてますね。

・巫女の託宣が難しい
 シリーズごとの特殊アクション(サイコ・ロック、みぬく、カガク調査、カウンセリング等)は間違えてもペナルティが無かったり質問から回答が絞りやすかったりするけど、今回のは映像と文字情報を見比べてムジュンを探し、そのムジュンが五感の何に起因するものかまで指摘しなくちゃならない。五感の情報もそれを感じるのがおかしい、というものだけでなく、それを感じないのは不自然、というものや感じ方の強弱や変化まで考えないと駄目。クリアまでに何回かコンテニューしたけど、3話も5話も最終的には攻略ページを見ましたね。

・プレイヤーに不快感を強いてくる法廷の環境
 過去作でも「絶対に不利な状況」は何度もあった(逆転裁判ではそれがデフォ)けど、傍聴席が検事を称え、弁護人に向かって「有罪になれ」だの「弁護士は信用できない」だの「死ね」だの、弁護士=悪の国が舞台とはいえ、かなりのストレスを強いられる。
 では日本ならそんなことはないかといえば、2話では登場人物の一人が被疑者と弁護人を悪に仕立てるべく法廷をショーアップしてくるし、4話はひよっこ弁護士のココネちゃんを傍聴人の冷たい視線が襲う。盤外戦術で不利な状況に追い込まれているようで辛かった。

駄目な点

・異常なテンポの悪さ
 逆裁はいつもそうだけど、メッセージスピードが遅い。フルボイスでもないのにコンフィグで最速にしてもテキストをウェイト無し一括表示できないから、プレイ中は基本的にメッセージ送りのBボタンを押しっぱなしにしてました。それだけでなく、証言の際にギターをかき鳴らす、何かあるたびにライバル検事の発言前アクション(冥の鞭、ゴドーのコーヒーetc)で3秒ほど時間を取られる、法廷全体を引きのアングルで俯瞰する場面がやたら差し込まれると、スイスイ進めたいプレイヤー心理を見透かすかのような遅延戦術に辟易します。

・最終話の検事のカッコ
 体のラインに服がピッタリ吸い付き胸元がまろびでる派手な格好を、40絡みのリアルなBBAに着せるな。これが60の老婆ならギャグで済むが、熟女もののパッケージを見せられるようでひたすらに不快(好きな人は好きかもしれないが……)。そのキャラが出てる間は上画面を直視できなかった。

終わりに

 4か5をプレイした逆転裁判ファンならプレイして損なし、むしろプレイすべき。シリーズ初挑戦には全く勧めない。1~3だけプレイしたって人には先に5のプレイを勧める、そんな出来です。
 懐かしの顔がいろいろ登場するしナルホド-オドロキという二人の弁護士と真宵ちゃんの物語はキッチリ着地。もし逆転裁判の続編を作るとなったら、登場人物は総入れ替えになるんじゃないでしょうか。

以下余談。

・3話以降、敵も味方も振り回しまくってくれるキャラが矢張にしか見えない
・予想外のところからロシアンハーフ金髪碧眼釣り目美少女をお出しされて駄目だった
・今までピンときてなかったメスガキわからせってこういうことかァ~という実例を見られた
・真宵ちゃんが「倉院流の次期家元」って呼ばれてるだけで笑っちゃうのでガルパンを訴えます
・上級国民は法の外に置かれるとか、政府と宗教の結びつきとかギリッギリ

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