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Time out

第2話 出会いはあるか

快適なマンションを出て、小さな狭い部屋で家具に囲まれ生活をしていた。
環境も立地もなかなかの場所である。
この海にほど近いコーポに入ってすぐに、おかしなことに気づく。
すでに契約が終えて、引っ越し前に、掃除をしに行った時、玄関の鍵が刺さったままになっていた。
「不用心だなあ・?」
部屋に入ってくと、昨日掃除をしてキレに拭き上げた床に白いこなが落ちていた。
「ん?何これ。昨日はなかったよね・・・」
気味悪さを覚えた。
契約後なのに誰か入ったの・・・
「すみません。まだ交換してないんですか?鍵」
「あ、今日中に鍵屋がくるので、今日、新しい鍵渡せますから。」
なんとなく腑に落ちない。
いい加減な管理だな。
最初からこんなことで・・・
ここも早く引き払うことになるかも。
どうせ一旦の荷物置きに借りたのだし・・・早く次の見当をつけておこう。
コロナ発生時期で、東京と行ったり来たりの生活をしていた。
そんな時、2日ほど部屋を開け戻る。
窓を開け換気をしようとガラと開けると、窓の下に女性が座っていた。
「こんにちは!」
すると女性が、私の顔を見て焦った顔をして、103号室に走り込んだ。

「焦り顔って初めて見た。今の大家さんだよね?いない間に何か起きたの?」
大家さんのお部屋に駆け込んで行った。
大家さんによく似ているが、雰囲気が全く違う・・・。
「大家さんだよね。ドーナツくれた人だよね・・・違う人なの?かな?・・・」
私の知らないところで、何かが起きていた。
まあ、最初の日から部屋の中ので「トントントン」とダンボール箱を叩く音がしたり、エアコンが喋ったり・・・おかしな現象の部屋である。
床下から会話が聞こえたり、天井上から、自分の足音や生活音が聞こえたり。
ゴミを調べられたり、ヴィガンですか?宗教やってますか?と不動産会社から聞かれたり。
明らかに、調べられている感がある。
誰かに追われている気がする。
「この辺り、少し調べてみようかな・・・」
「おかしんだよね。いない人の声がするなんて。」
壁が薄いにしても・・・外からの声がリアルに聞こえるかな。
「この辺の住人も昼間でも、シャッター開けない家が多いんだよね」
「特に真っ正面の家、空いたことないんだよねえ。なんでかなあ。代わりに左の家は開放的で、開けっ放しなんだよね」
一晩中、窓も開け放してるんだよね・・・
なんだかおかしな住宅街なんだよね。
そんなことを考えながら、地域を見て回る。
北側に寝ていると、頭に熱電波が当てられているような感じで不快であり、床からは、振動が伝わってくる。
『ゲームをやってただけなんだって。AI開発者が作ったものを、子供が動かした。ゲーム開発者の家の子供がいたずらで、人の頭に向けたもの。宇宙開発者がいるんだって。』
そんな声が聞こえてくる。
『この電磁波が頭に当たって、こんな状態になるには頻繁に当たってしまったせいで脳がこんな状態になってしまっている。こんな爆発しそうな頭になってしまっている原因は・・・。歯型が・・・男性の医師が話している』
こんな会話を麻里に聞かせる小人さんがいる。
『これが本当の話だよ』
『覚えておいて』
「やっぱり、こんな殺人的なことをされていたんだ」
警察に行っても、証拠証拠と言ってなかなか受け付けてもらえない。
「覚えていてって・・なんの解決にならないじゃない」
相変わらず頭はビリビリしているし・・
症状はどんどんひどくなる。
特に、この小さなコーポでは、症状がキツイ。
お風呂に入っていても、子供が覗いている声がする。
小さな湯船に浸かりながら、
「あーもうこのまま、ここで命切れるかも・・・」
「もう疲れたよー・・・」
そのまま風呂に浸かりながら、朝まで気を失ってた。
きずいた時には、低体温で死にかかっていた。
寒い・・寒い・・
こんなところで、命を落とすなんて・・・
いや、それはできない!
こんなみっともないとところは人には見せまい!
「だあーー。しっかりしろ私!」
全身の力を込めて、ザバッと風呂から起き上がった。
「どうせ死ぬなら、全てを解明してからだ!」
こんなところで、見えない相手にやられるわけにはいかないのだ!
この話、ぜんぶ繋げると事件が繋がっている。
明らかに前のマンションからの話から繋がってる・・・・。
「盗聴マイクかなあ・・・」
服を着替えて不動産屋に走る。
「すみません。警備会社入れてもいいですか?」
「え?警備?」
「なんだか、盗聴されているような気がして。調べてもいいですか。部屋中。」
「え!盗聴?」
「なんだか、見張られているような、狙われているような感じがして」
「うーん。・・・前の人も夜中に叫んでいたって大家さんが言ってたんだよね・・・」
「どちらにしても大家さんがうんと言わないと、つけられないから」
「じゃあ。聞いてみてください」
「変な話し声が消えたりするし。泥棒に貼られそうになったり・・・」
しかしながら、大家がうんと言わない。
こうして役にたたない大家さんはもう、当てにせず、麻里は、初めて兄にこの話始めた。
「兄、聞いてくれる?」
「なんだ珍しいな」
引っ越した先でね、怖い話が聞こえてきて。怖い夢を見たんだ。任侠映画のような怖い夢なんだ・・・」
体がブルブル震える。
今だに見た夢に怯えて、全身が震えてが震え・・・
「あのね。言っておくけれど、私に何があってもここにきては駄目だよ。絶対にこの近辺につかずいてはダメなの。私が死んでもここにはきてはダメだよ。いい?」
「なんだ!何があった?」
「今は言えない。怖い夢を見たことだけは言っておく。」
「それよりも、テーブルと椅子を預かって欲しいの。部屋がいっぱいで、荷物がまだ運びこめてなくて。どこかに置けないかなあ」
「あーうちではなあ。会社の倉庫を借りてやろうか。聞いてみるよ」
「うん、お願い。とにかく一人ではここにはこないでね。」
「わかった」
自分の中でも、この話がどんな意味を持っているのかをまだきちんと整理できていなかったのだ。
まさか、近所の子供がやったことが大きな犯罪に結びついていようとは・・・。
親たちもまだ気づいていない。
「ふう。兄は、まだ無事だ。」
「ブログにでも纏えておこう。いつか誰かがこれを読んで、事件解決につながるかもしれない」
気分転換に海にでも行こうか・・・
海沿いのおしゃれなショコラカフェで、見た目も可愛いチョコレートをたくさん購入。
「あ!ショコラ買って海でも見ながら、ゆっくりしよう」
まだ季節前の海は、人もまばらである。
「はあ、嫌な話ばかり聞こえちゃって。海が一番落ち着くかなあ。早く落ち着きたいのよね。こんな嫌なことばかり起きてては、楽しみもなくなるじゃない・・・」
「スピラー、スピラー」
『え!まだこの声が聞こえる・・・
この男の人、誰なんだろうね。
スピラー、スピラーって。いつも海の上で聞こえるのよね。
なんだろうスピラーって。
この男の人の声は、海でしか聞こえないのよね・・・』
裸足になって、波際をずっと西に向かって歩くのがいつものコースで、桜貝を拾うのが趣味になった。
桜貝は、繊細ですぐにかけてしまう。
綺麗なままのものを見つけるのが難しく、なかなかたまらない。
父が母に送ったものが桜貝で、この思い出がとても印象深く私も、桜貝が好きになって。
こうして海で桜貝を拾っては、瓶に詰めている。
砂がついた脚でサンダルをはき歩いて帰り道をいく。












 

#週刊少年マガジン原作大賞

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