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Time out


あらすじ

主人公の麻里(あさと)がある日、自由を求めて一人暮らしを始めた。
麻里が選んだ場所は、首都東京にほど近い自然のある場所。
家からの仕送りとバイトでのんびり暮らしていたある日、麻里の周りで奇妙なことが起きるようになった。真面目でお人好しの麻里にとって屈辱的なことが起きた。
いくら周りに話しても解決ができず、一人で解決策を模索しながら、麻里がとった大胆な行動が功を奏した。
麻里には特殊能力があったのだ。
両親にも友人にも理解されないこの力が、事件を解決に導くのだ。
行く手を阻む多くの邪魔が入る中で、本当の被害者を救えなかった事実に直面する。
人の中の悪を知ることに、傷つく心を抱えながら人生を渡っていくハードボイルドな麻里を描いた物語である。

第1話 旅立ち

カーテンを開いて、窓の外を眺める。
いつもの風景と変わらない。
大都会のペントハウスに住んでもうすでにふた昔である。
「はあ。窓が汚れてる・・・。カーテンもそろそろクリーニングかなあ。」
そろそろニットのセーターが欲しくなる時期だ。
「それにしても、この何年か冬でもセーター着なくなったわ。」
あと数ヶ月で正月になる頃だ。
「ここにいるのも飽きてきたな・・・」
「ふん!今日こそ言おう」
階段を降り階下に向かう。
「ねえ。ちょっと話があるんだけれど。いい?」
「ん?何?」
不機嫌な顔してパソコンを打つ父親。
「あのね。私、そろそろ一人暮らしをしようと思うのだけれど。どう思う?」
「うーん。家のことだれがやるの?」
「父がやればいいんじゃない?暇でしょう?家にいるんだから」
「・・・・・」
「おばあちゃんじゃ、期待できないしさ。じゃあさ、おばちゃんに頼んでみようか。麻里も週末は帰ってくるよ」
「ね。いいでしょ。麻里ももういい歳だし。嫁に行かせたと思えばね。」
「・・・」
「そんな遠くには行かないし、空気のいいところに行きたいの」
「ふん。好きにしたら?」
愛犬のモモを撫でながら、顔色ひとつ変えずにいる父。
犬の方が可愛いのだ。
「やった!物件探してくるから。契約とお金はお願いね。」
やっとここから抜け出せる。早速、不動産巡りだ。

あくる日、前々から決めていた場所に行くために、電車に乗り込んだ。
すでにネットで見て決めていた、不動産屋にアポを取りし向かう。
「こんにちは・・・。予約の石黒ですが。」
「あ、はい。お待ちしておりました。どうぞそちらに。」
「この物件まだ空いてますか?」
「あ、お電話の物件ですね。ここ空いたばかりで、タイミング良いですよ。早速見に行きましょうか」
連れ立ってマンションを見に行く。
かなり荘厳なマンションである。中庭もあり、たくさんの樹木に囲まれた物件である。
80パーセント外見で決めていた。
エレベーターも十分な広さで、ここなら安全である。
「さあどうぞ」
玄関も十分な広さである。
ネットで見た通り、中古マンションはこんなものなのか・・・。
「どうですか、広いでしょう?綺麗ですよね」
「ええ。あ、でも壁紙が汚れてますけれども、これは張り替えてもらえますか?」
「え?いえ。オーナーさんの指示で、これはこのままになります。」
「え!このまま。ちょっと汚れているし、壁紙剥がれてますよね・・・こんなものですか?」
「こんなものです。オーナーさんの指示なので」
壁紙以外はベストなのに・・・この黄ばみは・・・タバコかなあ。
うーん。
「あ、このカーテンも、電灯も使っていいのでと言われてます。」
「じゃあ。ここで決めます。でも、もう一度クリーニング入れてもらえますか?エアコンの周りの汚れとってください。そうしたら、入居します」
「え?・・・わかりました。そうしましょう。」
こんな感じで、壁紙だけだ気に入らない部屋に入居する事になった。
「では、早速契約に取り掛かりましょう。すぐ埋まりますからね。この辺の物件は。」
「はい。でも契約者は父なので。」
「わかりました。では早速・・・」

「父、物件決まったよ。契約書にサインお願いします!」
「ん。どんな部屋?」
見取り図を渡す。
「ん!こんな広いところに一人で住むのか?」
「だって、安全だし。気に入ったから。駅からも近いし」
「・・・お前ね。仕方ないなあ・・・」
「ありがとう!早速、家電買わなきゃね。あー引越屋!頼まないと!」
「・・・・・」
言いたいことはたくさんあるであろうが、あえて言わない父である。
こうして一人で奮起して、引越しをして家を出た。
父は手伝う気もないらしい。
こうして、麻里は家からそう遠くないところに一人暮らしをすることになる。

鍵を受け取り、新居に入る。
少しだけ潔癖症な麻里である。
部屋中を除菌しまくり、壁紙も中性洗剤で拭く。
「思ったほど綺麗にならないわ。」
トイレも匂いが取れなく、猫のおしっこのような匂いがする。
「くさいなあ。くさいなあ。なんとかならないかなあ。匂い取れないな」
何度強力な匂いとりを使ってもこの奇妙な匂いが取れない。
「なんだろうね。この匂い・・・」
仕方ないかあ。築18年だものね。
やっと一人の城ができたわけだし。
気を取り直して、早速自転車を購入し、この辺りを走り回る。
自由だ!自由だ!自由なんだ!
別に実家が嫌なわけではないのだが、どうしても人生のうちに一人暮らしをしたかったのだ。
この家を満喫しよう。
食事も時間も自分の好きにできる。
快適な大きな浴槽には、アロマオイルとエプソムソルト 。
大きなお風呂場は快適である。
浴槽で、息を止める練習をしたり浮く練習をしたり、まるでプールのような浴槽がお気に入りである。
「あー幸せ!」
「久しぶりにダイビングに行こう。いや、せっかくだからサーフィンにしよう」
自由を満喫したいのだ。
十分な大きさの寝室。窓際においたベッドに横たわると、庭の向こう側の大きなお屋敷の屋根越しに月が見える。
この景色が大好きである。
本当に隙間程度なのだが、月が見えるのである。
「何十年ぶりだろう。こんなに幸せを感じたのは」
こうして半年が過ぎた。
まだ新しいお友達も、彼氏もできて居ない。
どこで出会いがあるのだろう。
何もかもが、新鮮で楽しいのである。
これが永遠に続きますように。
毎晩お祈りを唱えながら寝入る。
自由時間を手に入れたのだ。
これから起きる事件が、番狂わせだったのをこの頃はまだ知らない。

正月を越したある日の夜中、上の部屋から女の泣きながら何かを訴える声が聞こえるようになった。
それは毎日、夜中の3時まで続くのである。
これは3月まで続いた。
流石の私も不眠症のようになる。仕事に影響が出始めたのだ。
3月になるとピタと声が消えた。
代わりに、マンション中で騒音問題が勃発した。
麻里の部屋では、怪現象が起き始めた。
聞いてはならない声が壁から、天井から聞こえるようになった。
「けーん、どこにいるの。どこにいるの。」
と女の声が空間から飛び出した。
確かにリビングのど真ん中だ。
姿は見えない。
夜中になると大きなどしんと響く靴音が、天井のヘリを歩くのだ。
ドシン、ドシン、階段を上る音。階段を登り、天井上を歩く。
これが一晩中続くのであった。
部屋で靴を履くわけがない。
キッチンの壁からは、
「うるさいね。うるさいね。石黒さんうるさいねえ」
ザザザという擦れた音の後に「おかさあん、ちょっと」
うるさい、うるさいって
「こんなに静かにしているのにうるさいの?」
「コンクリなんだから、これが聞こえたらおかしいよね?」
毎日毎日、うるさい、うるさい言われると、流石に精神的に参る。
しかもこの声の主は、このフロアに住んでいないのだ。
リビングの壁からは、
「カチカチカチカチ、ガチャン」という音が聞こえる。
ある日には、向こう側から、
「コンコンコン」
とノックする音がする。
ある時間になると、風呂場の上からーリビングの梁の上を通り、お隣との境の壁に音がぶつかる。
「コンコンコン、カコンー」
「カチャ、コーン、コンコンコンートン」
と止まる音。
この音が毎晩聞こえる。
「何?この音?」
今まで聞こえたことがないのに・・・。
この音が聞こえてきた頃、隣にいないはずの別の家族の声が聞こえる。
「あれ?おかしいな。つかないよ。お隣も見てるの?」と女の子の声。
ゴロゴロゴロ、音がする。何かを転がす音。
隣の壁から、青い光が侵入してくるのが見えた。
「え!?」
光が壁を通り抜けて来た!
この光が危ない気がして、昔、陰謀系の人が違法電波の影響を受けないようにアルミホイルを使った。という話を思い出し、壁にアルミホイルを貼って見た。
すると、隣から
「ねえ。気づかれた」
「気づかれたよね」
「ほら、ここに張ってるじゃない」
そんな声が聞こえて来た。
やはり壁を透しする機械を持っている!
そんな機械で、部屋を覗いているようだ。
こうして、子供達にたずらをされていた。
このうちの女の子の会話が聞こえて来た。
「ママ。ただいま」
「ね。パパ、ここね。ほら。ね!」
何かを見つけた様子だ。
麻里が聞いた音と何か関係があるのか。
2週間この隣からの声に反応していないように振る舞う。
全くの無視を決め込み、できるだけ音を立てないように配慮した。
そんなある日の朝4時半、おかしな気配に気づきカーテンを開いて外を見た。
次元の歪みが見えて、外にいる侵入者が、壁に配線を仕掛けているのが見えた。
「曲者!」と声をあげた瞬間、侵入者が配線を引き上げた。
素早い侵入者である。
まるで、マトリックスやミッションインポッシブルの世界である。
この後、麻里の部屋に侵入者が入り込んでは、生活を覗くのである。
ある組織団体と、捜査隊、泥棒2組、の声が入り込んでくる。
こんなに張られていると精神的に参る。
風呂もトイレも覗かれているような気がする。
「バカラのシャンデリアが・・・バカラのグラスが・」
と部屋の家具の値踏みをしている。
どこかの豪華な部屋を覗いているようだった。
「あの、お人形が欲しいなあ・・・」
ずっと椅子に座ったままだから、人形と間違えられた。
「あの人形につけておこう」
つけるって何を・?
「メアリー。どこにいるの。」
声の綺麗な女性だ。
『メアリーちゃんは行きたくないんだって。ずっと一緒に居たいんだって。』
え!誰これ
「おーブロンド』という男、いつもボスクラスの男に怒られるぼんやりした男。
私が部屋にいると邪魔で見えないところにいる男の子を救出作戦。
事件で亡くなった子供たちのいたずら事件が続く。
夜中に中庭で、大勢で何事かを話している声。
大きな音を立てて、布団を叩く人。
女性の合唱の声。
こんな声を聞きながら過ごしていたある日。
「おい。お前、早くここから出ろ。」
「え!何?え?だれ!」
「引っ越しちゃうの?私たち行くところがなくなってしまう。ついて行こうかなあ!」
「なんでついてくるの!」
こんな部屋から、気付かれずに引越す計画を実行した。
これは声に従うしかなかった。

引っ越しの前に、どうしても情報収拾したくて、隣近所の状況を確認することにした。
まずは、お隣である。
このマンションに越してきてまだ、1年半である。
こんなに早くにここを出ることになるとは。
しかも、ほぼ隣近所とのおつきあいはない。
宅急便の配達員との方が顔見知りである。
お隣のチャイムを鳴らす。
「はい」
「すみません。ちょっとお聞きしたのですが・・・」
「境の壁から、オタクではない声が聞けるのですが、そちらからは聞こえますか?」
「え?いえ。うちは3人暮らしですし・・・音といえば、特におたくの音はほぼ聞こえませんよ。ただ・・・ただ、カンカンカンカンは聞こえるんですよ。うちでも。」
「はあ。なんでしょうね。メトロノームのような音ですよね。」
「では、うちの音は迷惑ではないですね。よかったです。ありがとうございました」
「あ、ただね。オタクから出てくる人がいつも違うので、どなたが住人か知らなかったので。お友達でしたかね」
「え?この時期ですし・・・誰も来てないんですよ。うちは」
「そうなんですか?」
うーん。なんとなく腑に落ちないなあ。
最初に挨拶に行った時に出てきた人とは、完全に違う。
確かに、うちは3人家族でとは言っていたが、ご挨拶を渡した奥さんは、完全に違う人。
身体の大きさも年齢も違いすぎる。
ではあの人誰?
何かがおかしい。
隠すようなことでは、ないはずである。
これ、どういうことなのだろう。
とても引っかかる。
何かが引っかかる。
では、あの時ポーチの扉を開けて走り去った男性は誰だろう。
あの黒い服を着た3人組は誰なのだろう。
管理人さんにだけは話しておこう。
その足で下の部屋に向かう。
私と同じ年くらいの女性が出てくる。
ご挨拶に行った時には、男の子が小さな犬を抱えて出てきた。
初めて母らしき人と会った。
「ああ。最近隣の人が上の部屋の人の音がうるさくて困ってるんですって」
「上ですか」
「上の子供が飛び跳ねてうるさくてと言っていたわ。」
「うちには、聞こえませんでしたが、うちの音は迷惑かけてませんか」
「いえ。オタクの音は気になりませんよ」
「そうですか、ありがとうございました」
「カラスの餌付けの件は・・・」
「ああ。そうそう。7階の人がうるさいと言われて困っているとも行ってたわ」
「7階?」
「音を立ててないのに、下からうるさいと言われて困ってるんですって」
「それは初耳です。最近まで空いてましたよね。あの部屋」
ふーん。そんな話があるのね。
「あの、家がうるさければ言ってくださいね」
こんな具合に知らなかった話がポロポロ出てくる。
聞いてみるものだ。
どういうことだろう。
これ・・・。
7階の部屋に誰かが、苦情を言いに行ったのは聞こえていた。
下の部屋の子供に、別の人が注意しに行ったのも聞こえていた。
この時、もっと念入りに調べておけばよかったのだ。
事件が大きくなる前に。

大急ぎで、越す先を探した。
どこでもいいから荷物だけでも、入る部屋を探していた。
とにかく一旦実家に帰る。
「父。あのね。騒音がひどいし、ストーカーのような感じのことにあってしまって。引っ越したいの」
「なんで言わないの。そんな大事なこと。」
「うーん。証拠がないから、なんともいえなくて。調べたくても調べられなくて。調べたらダメだっていうの」
「・・・もう戻ったら?」
「引っ越したいの。せっかく仕事も見つかったし・・・」
「・・・勝手にしろ・・・だいたい契約者は私だろう。勝手に解約なんて」
ここでひいては、自由がなくなるのだ。
「お願いします。もう少し・・・頑張りたいの」
「・・・・・」

とにかく、警察には話しておこう。
思いついたら自転車の飛び乗り警察署にむかう。
警察になんて、行ったこともお世話になってこともない。
自転車を置き、入り口の自動ドア横の相談窓口に行く。
「すみません。あの・・・」
「はい?相談ですか?」
「はい。あの色々ありまして。多分ストーカーかと」
「そこに座っててくれます?」
鉄の折りたたみ椅子がある、小さなブースである。
「はい。お待たせしました。どんなことでしょう」
「マンションに住んでいるのですけれども、ある日天井から男の声が聞こえて、シャッター音がしたんです。撮るなとるなという声と、一枚くらいいいだろう。とスマホのシャッター音がしたんです。」
「証拠はあるんですか?録音とか写真とか」
「それがないから困っていて・・・」
「うーん。それだと調べられないから、一応話だけは聞いておきますが」
「確かに誰かに見られている気がするんです」
「そう。それは何かあったら困るわね。これね。ここの連絡先ね。これまあなにかあったらここに連絡ください。」
「わかりました。また来ます」
「気をつけてね」
「ありがとうございます」
自転車に乗り警察署を後にした。
やはり証拠が必要なのだ。
しかたなしに証拠探しを始めたのだ。

急いで部屋を探し、半分ほどんの部屋になって荷物に囲まれて住んでいた。
ここならなんとか・・・。
もっとひどいことに、巻き込まれる羽目になるとは思わなかったのだ。

入居すぐに、汚らわしき男達の汚らわしい話がずっと聞こてくるようになったのだ。
下半身の話ばかりだ。
ピーワードを何度も繰り返す。
この声で一晩中寝られない。
この下ネタまでも公園で流れていた。
公園で聞こえてくる声を探して、公園に出向く。
出向くと必ずいるのが学生達。
「あの女だよね。左の部屋だよね」
「あ!やっぱり噂が学生から流れてる」

「おい、お前、荷物を持って今からでろ」
「お前はウチに来い」
この声に命令されて表に出てみると、雷のような衝撃を受けた。
頭に直撃を受けた。
それを女と子供が見て笑っていた。
ゲームをしていたんだと聞こえた。
矢印をつけられたらしい。
ゲーム開発者の家の子供のいたずらである。
下を通った人間に矢印をつけた。
帰りに取るつもりで、見失ったままつきっぱなしである。
このため、麻里にはわんわん隊のシリアルナンバーがつけられた。
ナンバーは33までである。

「おいお前、今日はこの部屋にいるな。食べ物をおいて出ていけ」
「今日は祭りの日だ」
祭り・・・。
例のおいお前の声にだいぶ寝れて来た。
大急ぎで荷物を詰め込み部屋を出る。
今日の今日でどこに行けというのだろう。
もう、こんなことでは父には言えない。
理解もしてもらえない。
「今日は部屋は空いてますか?」
「お一つだけご用意できますが」
「いくらの部屋でもいいのでお願いします」
大急ぎで、ホテルに向かう。
ホテルの部屋に入り、疲れのためにソファーに横たわる。
横たわり眠ろうとした途端、軟禁状態にされ、マインドコントロールをされそうになる。
人の気配と話し声に、フロントにきてもらい調べてもらう。
確認が終わり落ち着いた時に、またマインドコントロールを受けそうになる。
こうしてしばらく姿なき、犯罪者に追われ続けるのである。
「お前のための同窓会だが、お前だけは出席できない」
という声と、友人達の
「ねえ。麻里、来ないね。きてるんだよね」
「麻里のパーティなんだよね?」
「結婚しますって招待状が届いたよ?」
「おかしいいね、本人が来てないよね」
「おーい。元気?先に飲んでるよー」と友人達の声がする。
気を失い気づくと夜中になっていた。
シャワーを浴びてベッドに横になった。
「おい。前の部屋に来い」
前の部屋って・・・
言いなりになるのは真っ平御免である。
この時の確認をしたくて、友人にラインを送って見た。
「ねえ。最近集まりしてる?」
「えーこんなコロナ時期に集まりはないに等しいよ」
「最近変わったことない?」
「うーんないなあ。」
「そう。ありがとう。またね」
流石にはっきりしたことが言えないのである。
やはり偽情報だ!
「これ、本当に過激派か怪しい団体の仕業じゃない?」
「これ、スピリチュアルな罠じゃない?」
神は人を試す。
肉欲に溺れし穢れし男女は、色欲地獄に落ちる。
色欲地獄が一番の業。
と神からのメッセージが降りる。
神の怒りを買うのは恐ろしいことである。
「なんで、こんな目にあうのだろう・・・」
この辺りのことを調べてみるか・・・
あ また暗号が聞こえる。
「ファクシミリの上に置いたものを持って来い」
私、ファクシミリ持ってなのだけれど・・
「おい。ファクスが欲しいそうだ。送ってやれ」
ファクスもらえるのかしら?
「SIMに入れたものをカバンに入れておいた」
「マッキントッシュのコートのポケットに入れて送る」
「ストップひばりくんのような女の子」
「ウランちゃんのような髪型の女」
「キャプテン翼の顔の男の子」
「優勝カップのお家」
「ハーマイオニーの声の女」
「ホーキンスの靴を履いた女」
記憶のない女のために、人の話を使った。
こんなたくさんの情報入れたら、頭が壊れて爆発しそうだ。
諜報部員の間の暗号?
誰宛の暗号?

聞きたくないけれど、神が聞かせる。
これも試練なのだ。
「これだけ嘘を付かれて、偽情報を流したのがスピリチュアルを目指すものだとは・・・霊界からはこうして通信してくるんだわ・・・。」
「こうして人の人生を横取りする人、必ずいる」
「古文書に書いてある通りのことがあるんだ・・・」
「あの人の出世運を私にください。お金ならいくらでもおはらいします」
そんな商売がある。
恨まれてなんぼの世界である。
私、一体何を聞いているのだろう。
何を聞かせられてるのだろう。

こうしてまだ解明しない案件を持ちながら、より狭い物件に引っ越した。









































#週刊少年マガジン原作大



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