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前半戦総括と後半戦に向けて

 こんにちは。

 久しぶりに筆を執りました。その間に先週の金曜日、また1つ歳をとってしまいました。1年1年が本当に早く感じますね。

 時の流れは早いもので、野球もこの間、開幕したと思いきや、もう前半戦が終了となりました。

 そこで今回、千葉ロッテの前半戦の総括と後半戦に向けての展望を書こうと思います。殴り書きなので、参考程度にしていただきたいです。

 ちなみにここまで37勝34敗12分(パ・3位)で、首位と2.5ゲーム差ですね。それでは、どうぞ!

1. 前半戦の総括

 ☆上位打線の機能


 開幕3戦目から1番荻野貴司、2番マーティン、3番中村奨吾と並んだ打線は12球団屈指の機能性であり、他球団を大いに苦しませた。
 まさに今年のロッテの象徴であり、この位置にいる最大の原動力といえるのではないか。

 荻野と中村奨吾の間にマーティンを挟むことで、アプローチのタイプ、インコース、アウトコースへの強さ、バレルスイングとレベルスイングといったお互いの特徴が補完されて絶妙に絡み合い、左右のバランスが取れた形になっている。

 荻野が出塁すれば足を警戒して真っ直ぐが増え、そこを長打力のあるマーティンが捉える。
 また、マーティンに長打力があることで、荻野は無理に走る必要がなく、膝の負担が減って打撃にバロメーターを注ぐ効果も期待出来るなど相互作用が生まれる。

 そして主将の中村奨吾。今年は出塁、長打を両立し、ようやく彼に求めてきた3番打者としての活躍ぶりが体現できている。

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 図1. 2021年 中村奨吾 コース別、ゾーン別打撃成績(データで楽しむプロ野球より引用)

 上の図は今年の中村奨吾のコース別成績。なんと9分割のうち8ゾーンがホットゾーンになっていて、どのコースも潰すことが出来ている。

 ストレート.290(138-40) 2本 13三振
スライダー.404(47-19) 3本 9三振
カットボール.333(24-8) 1本 7三振
カーブ.462(13-6) 0本 2三振
ツーシーム.385(13-5) 1三振
チェンジアップ.278(18-5) 5三振
シュート1.000(2-2) 0三振
スプリット.500(4-2) 1三振
フォーク.071(28-2) 13三振

 図2. 中村奨吾 球種別打率(データで楽しむプロ野球より引用)

 またこちらは球種別打率。どの球も満遍なくハイアベレージを記録している。例年弱いチェンジアップの対応力が上がっており、この辺は抜いた打撃を覚えられた点も影響しているか。一方で、打者としての行き着く理想像に達したがゆえに、フォークに弱さを見せているのだろうか…。

 前のマーティンが厳しく攻められたことで、多少は外に球が集まったこともあってか、今年は例年より死球が少ない分、踏み込めて打てているのは好調の要因かもしれない。

 上位打線に焦点を当てたが、柔剛備わったレアード、ベテラン角中の調子維持にも助けられた。2人とも腰痛が癒えてしっかり稼働してくれた。特にレアードの追い込まれてからの柔らかい打撃は磨きがかかっている。

 おかげで得点数はパ・トップを記録している。


 ☆交流戦明け 若き2人の投打

 ここからは交流戦明けの試合に着目する。まずは以下の記録を参照にしたい。

 6月18日(金)西武0‐5ロッテ 
  6月26日(土)日本ハム1‐3ロッテ
 7月5日(月)ロッテ8‐1楽天
 7月13日(火)西武5‐7ロッテ

 交流戦明けに記録したこの4勝。これにはある共通点がある。それは全て先発: 岩下大輝によって挙げられたものということ。

 前半戦を貯金3で折り返したが、その交流戦明けに岩下がもぎ取った4勝が、そのまま貯金に反映されているといっていいかもしれない。高橋光成、上沢直之といったエース格と対峙して勝ったのもポイントが高い。
(しかしラスト登板はもったいない投球だった…)

☆岩下大輝 過去3年ストレート空振り率
19年 3.90%
20年 2.80%
21年 5.85%

 上の表をご覧いただくと、今年の岩下は真っ直ぐの空振り率が例年の倍近くで推移している。母体数が少ないので同等に扱うには難しいが、それでも1つの好調の要因としては挙げられるかもしれない。
 ちなみに1週間前には6.50%前後を記録していたため、今後暑くスタミナが消耗しやすい夏場に落ちていく可能性はあるが… 逆に言えばこのストレートの質を保てるかが後半の鍵だろう。

 また、2番藤原の活躍も見逃せない。彼が再昇格した7月3日から5連勝を記録し、それまでやや萎れていた打線の繋がりも向上した。疲労も溜まり、状態の落ちたマーティンの打順も少し下げることが出来た。ちなみに再昇格後は、

9試合打率.400(35-14) 2本5打点4盗塁 出塁率.488 長打率.743 OPS.1.231

と、春先と別人になっている。高卒3年目ながら後半戦も打線の点火役として君臨することになる。この2人の活躍で5位から浮上して、今の貯金を生み出しているといっても過言ではないのでは。


 ☆ゲームチェンジャー

 伝統的にロッテはミドルリリーフの活躍で勝利を拾う戦いぶりを披露する。今年のチームもそれは例外ではない。話が前後して申し訳ないが、序盤の試合でこの力が顕著に現れた。

 その筆頭格が田中靖洋。彼はロッテ移籍後、このポジションでの活躍ぶりに磨きがかかる。今季も以下のように流れを変えている。

☆田中靖洋 主な火消しプレイバック
  4月3日 日本ハム5-6ロッテ
   6回二死1,3塁で美馬の2番手 
   3球凡退で勝利
  4月21日 ロッテ6×-5日本ハム
   6回一死満塁で東條の救援 7球で切り抜け
   チームは9回裏岡大海の逆転サヨナラ2ラン
  5月2日 楽天5-6ロッテ
   5回二死一塁で鈴木昭の2番手 
   1四球1奪三振、直後に味方が4点を入れる

 それぞれ回の途中から走者を背負った難しい場面での登板でそつなく抑える姿は職人芸だ。

 一見、淡々と抑えているように見える田中靖洋だが、投げている球は良質である。

 二重引用となって大変恐縮だが、上の図は各変化球に対する空振り率である。その中で田中靖洋はカットボール部門で空振り率24.6%を記録して1位となったのだ。さらに被打率が.000(7月に一軍復帰後、安打を記録されてしまった)

 彼のカットボールは真っ直ぐの軌道からちょうど斜め方向へと曲がるため、とくに右打者のバットの先に当たりそうで当たらない変化をする。さらに同じ軌道からシュートも投げ込んで、速い球速帯で横変化の揺さぶりをかけてくるため、打者も振ったら逃げたり食い込んだりと、瞬時にボールの見分けがつかない。


 そしてもう1人、この横の揺さぶりで球速を落とした投手が今季新たにその位置に加わった。

 そう佐々木千隼である。春季キャンプの段階ではポジションが確立されていなかったものの、地道なアピールを重ねて、開幕1軍の座を勝ち取った。佐々木千隼の主な登板も振り返ってみたい。

☆佐々木千隼 主な火消しプレイバック
 4月18日 オリックス2-3ロッテ
    8回3番手、1回10球1奪三振 
    チームは9回に逆転勝ち
 4月21日 ロッテ6×ー5日本ハム
  前述の田中靖洋とともに、この試合9回に投げた。1回13球無失点で逆転の立役者に。
 4月25日 ロッテ8-5ソフトバンク
  4番手土居が2被弾、さらに一、二塁のピンチを招き降板。ここで送り出された。一飛、見逃し三振に斬り益田を温存してのプロ初セーブ。
 5月25日 阪神3-5ロッテ
  交流戦初戦で7回3番手。1回8球凡退。その後マーティンに本塁打が飛び出して勝利投手に。

 当初は敗戦処理、ロングリリーフを軸に登板機会を得ていたが、次第に信頼を得ると、勝ち試合で5回までに降板した先発投手を救い、今では離脱中の唐川の代わりに8回を任されるようになった。
 そしてついにはオールスターの出場も果たした。外れとはいえ5球団が競合したドラ1がようやく才能を開花させた。

 現代のセットアップ、クローザーとは異なり、圧倒的球威、支配力はないが、他球団のタイプとは異なる分、それが返って相手打者もタイミングがとりづらい、といった面はあるかもしれない。スライダー、シンカーが上手く散っている。

 この2人に共通して言えることは、どんな状況でも準備を怠らないことだ。

 勝ち試合、負け試合両面で投げるからこそ、それぞれで心の持ち方も変わってくる。Aチームと違って、投げたからといって、確実に勝ちへと結びつくポジションでもない。

 だからこそ、どのような投球をすれば流れを呼べるのかを意識している。それは少ない球数で抑える。三振は勿論だが、狙って打ち取ることで、裏の味方の攻撃のリズムを脚から生み出しているのではないか、と考えている。

 上記で挙げた試合は143分の6勝ではあるが、その6勝がとても大きな意味をなす。

 この序盤の戦いは精神的、体力的にもキツかった。開幕から4月終了時まで休みは月曜、あとは試合、試合という状態だった。いきなり開幕5連敗スタートしながらも、この厳しい最初の1ヶ月で借金を完済して貯金を作ったことが、ペナント中位を辛抱強く守る要因に繋がった。

 また石川や美馬の離脱で先発の駒不足に悩まされてはいたが、幸いにも交流戦を除いて週5試合の日程が続いていたことも追い風となった。


2. 後半戦に向けて

 いい面もあったが、まだ物足りない部分もあった前半戦。リーグ制覇へ。後半戦のポイントも挙げていきたい。

 ☆投手起用

 まずはスターター。ここまでQS率はチーム全体で42.17%と昨季から10%以上もダウンしている。石川歩、美馬学の離脱で若い投手が中々イニングを消化出来なかった。後半は美馬も戻ってくる。

 1イニングでも長い回を投げられるようにしていきたいが、ここから夏本番。屋外球場を本拠地とする以上、スタミナ消耗も激しくなるため、長い回を投げ切る先発を増やすのはそう容易ではない。イニングイートと行けるところまで全力でいく。このバランスを保つことが大切に思える。

 そのバランスを保つ上で必要なのは、当然リリーフだ。もはやロッテのお家芸である投手管理で今年は3連投は未だ0, 週4登板も2回だけ。
(4月に1度だけ益田が3連投の準備をしていたが)
 とはいえ、出し惜しみして負けるのも痛い時期に差し掛かってくる。このリミッター解除のタイミングも大切だ。

 ちなみに後半の投手キーマンは小島和哉

 前半戦は主力リリーフが故障して取りこぼした試合も多かったため、唐川侑己も戻る後半戦は形を整えたい。現在、佐々木千隼が頑張っているが、彼も1年帯同するのは初めてで不安もある。佐々木千隼を元の位置に戻したとき、ブルペンが厚くなるのだろう。


 ☆ 新戦力

   前述の投手陣の弱点を補うべく、DeNAからトレード国吉佑樹、そして前中日のロメロを獲得した。ともに後半戦の活躍に期待がかかる。

 国吉はこの交流戦の投球で、いいカットボールを披露している。

 左右に隔てなく内外角に曲げ、空振りを狙う際には縦を強くしたりと幅がある。これを再現度保って投げられると楽しみだ。最速160キロと威力、角度あるストレートとフォークボールも備わっていて、昨年の澤村拓一のような存在になれるか。(99.9%ないだろうが、音沙汰ない国吉が実は先発調整している説が私の中でまことしやかに囁かれていることを述べておこう…)

 一方のロメロはこちら。

 全体的にアバウトといったところか。真っ直ぐはパワーがあり、決まれば簡単には飛ばされないが高めに抜けすぎて見極められやすい。変化球も細かな精度はないが、要所で高速スライダーを決めてツーシームで芯を外していく。

 先発で序盤から飛ばして行けるところまで行かせるのが最適だろうか。ここは同じ中日からやってきた加藤匠馬がロメロの良さを引き出せるかも見どころ。


 ☆UTの存在、切り札

 7月になってエチェバリアが復帰した。これで遊撃にエチェバリア、三塁に藤岡裕大の布陣も敷けるなど起用の幅が広がった。夏場になるにつれて野手の層の厚さは問われるので、複数ポジション守れる選手の存在が増えるのはいい傾向だ。

 これにより藤岡も遊撃からの負担が減り、打撃に注力できる効果も見込まれる。また遊撃で磨きあげたタッチプレーを三塁で活かしたい。ロッテは右翼マーティンのレーザービームが強烈で、ワンヒットで一塁走者の三進を防ぐ場面も多くみる。そのため三塁手にもタッチプレーの正確さが求められる。またこれまで優先的に使われた安田尚憲も簡単にスタメン起用されることが防げる。

 三遊間のオプションは多様化して、本職だったレアードが今後も一塁で出場し続けることが濃厚となりそう。しかし、今のままだとレアードの代わりの一塁がいないことになる。

 そんな野手のなかで、後半のキーマンに挙げたいのが菅野剛士だ。毎度、彼をこうしたコーナーで話題にするのはしつこくて申し訳ない。ただ私も彼に対して、早くその枠から抜け出して欲しい気持ちが入り混じっている。

 一塁の代替要員としてレアードの、両翼で荻野、マーティンの負担を減らす、出塁率の高さを活かして、2,5番といった難しい打順をこなす、代打の切り札としてなど、これから厳しい戦いが続く上で、内外野の陣形、打順起用の両面で幅を利かせられる彼の強みが必要になってくる。


 ☆プロスペクト

 ここでは特に後半戦の起用において鍵を握る投打の2人を紹介する。

 まずは安田尚憲。昨季から辛抱強く起用され、今年は直球対応が向上し、開幕から一時打点王を走るなど成長の証が見えた。

 ところが6月以降、打撃フォームを再び変更し、迷走してしまっている。低め対応の向上を目的にしてか、段々と重心が低くなるも(元々低めはそこそこ届くのだが…)、返って対応が鈍って得意の変化球も打球が上がらない。

 この前半戦の安田に井口監督も厳しい評価を下した。この1ヶ月、五輪中断期間の練習試合等でひたすら試合に出続けることだろう。松中臨時打撃コーチにも指導を願いたい。

 この発言からだと、昨季や今年前半と異なり、スタメンの保証はされてないのだと分かる。これはレギュラーは自分の手で掴み取れという井口監督からのメッセージでもあるだろう。

 そしてもう1人が佐々木朗希だ。

 5月に一軍デビュー以降は登板→抹消を繰り返して負荷がかからない起用を続けてきた。今後もその方針で暑さを考慮したスタミナ回復度合いで間隔を空けての登板、常時で152,3キロを目標にする投球がメインで、最大出力はまだ先の話だろう。

 その暑さに耐える体づくりがどこまで出来ているか、そして暑さ軽減の対策として、まだ登板のないドーム球場でのマウンドの高さ、相性もポイントになるだろう。今後は彼を含めて本前、鈴木昭汰、中村稔弥らで10日ローテを組んでいくことになりそうか。とはいえ前半戦で佐々木朗希がローテに馴染めるようになっただけでも成長だ。


3. おわりに

     最後までご覧いただき、ありがとうございました。ここに掲載されている以外にもポイントはたくさんあるかと思います。首位と2.5差の3位。十分優勝を狙える位置にいると同時に、下から福岡ソフトバンク、埼玉西武といった勝ちを熟知したチームの浮上に巻き込まれる可能性もある順位です。最後まで目が離せない混戦パ・リーグが楽しみですね。

 あと1週間後に五輪が開催されることに実感が湧きませんが、一日本人として野球以外の競技にも関心を寄せていきたいですね。



 



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