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松川虎生・球界屈指のディフェンスを振り返る

 2022年、365日目。
 今年の千葉ロッテの象徴といえば佐々木朗希ー松川虎生の完全試合バッテリー。なかでも捕手・松川の守備の数々には驚くばかりでした。高卒1年目捕手でオールスターにも出場するなど早くも球界の顔にまで上り詰めた松川。
 今年最後に彼の球界最高のディフェンスの数々を振り返ります。走り書きですがどうぞ。

☆抑止力

https://youtu.be/IRc5pGR8i90

 まずはブロック。開幕直後から石川歩・益田直也のシンカー、佐々木朗希のフォークなど苦にせず要求して止め続けた。これほど自然な流れでミットに吸い込ませてるのは初めてみたかもしれない。どんなイレギュラーな球でも常に股の中心にミットがあり軸がブレていない。

 両膝の内入れ、上半身を利用しての止めと複数のブロックを使い分けるなかでも、逆球に対して左足を寄せて左手一本で止められるのには驚きだ。それでいて1つ1つの動作に余裕があるのが彼の末恐ろしい点。
 捕手で1番重要なのはブロックだと考えている。これが出来なければ投手はボールゾーンで変化球勝負出来なくなり、結果的に配球を狭めることにも繋がる。また現代の投手はフォークボールゲームな側面は否めないため、安定したブロックは必須要件となる。

 

☆判断力 

 これは6月26日の試合。3回表無死一塁、打者伏見のバントシーン。ここまで変化球中心だった配球を真っ直ぐに変えて見事に併殺を完成させた。

 この場面、確実な犠打失敗を目論むなら高め真っ直ぐで押してフライに取るのがセオリーだが、それでは一塁走者を刺すことは出来ない。2つを狙うには外真っ直ぐ。松川は分かっていた。

捕ってから送球までの間を考えても
「二塁でアウトにする」ことを意識して、そのうえでの配球を組み立てている。このプレーが起こる前、起こっている最中の判断が光るゆえだ。
 井口資仁前監督が現役時代セカンドにコンバートされた際、最短かつ最速でプレーを自動化することを意識していたが、松川の守備はまさしくその言葉がふさわしいだろう。
 

☆観察力

 もう1つ、6月26日の試合からピックアップ。今度は同点の8回表一死三塁の場面。打者・福田周平を三振に斬ってから三塁走者を刺してダブルプレー。勝ち越しのピンチを防いだ。
 
 捕手の能力において(基礎的な部分が平均値に達していることを前提に話を進めてしまうが)1番差が現れるのは飛び出した走者を刺す力だと思う。ここで捕手の力量を定めることが出来る。
 一瞬の隙も見逃さない観察力、察知力が松川は抜群である。上記のツイートにも記載の通り左目で走者を確認、常に走者の動きは頭に入れておき、どのように刺すか警戒している。

 それらが総合して詰まったプレーが8月11日のこのプレー。叩きつけたフォークが逆球になるも回り込み、半身の状態で走者を確認して瞬時に二塁牽制アウト。下記のツイートにもあるように常に走者の動きを頭に入れて最速でアウトを奪う動きを無意識にしないと出来ないプレーである。

☆タッチプレー


 https://youtu.be/iXx6YaH3xq4

 最後にこのプレー。荻野貴司の返球もさることながら松川も立ち位置、捕球に向けた構え、そこからの流れタッチが完璧。この位置で捕球すればロスなくアウトが取れるのだ。0.1ミリでセーフ・アウトになる世界。これぞプロという守備だった。
 6月の巨人戦で佐々木朗希とバッテリー組んだ際はホームを空けすぎてコリジョン対策が上手く出来なかったこともあったがシーズン終盤で修正してきた。

☆最後に

 高いレベルで積み上げた野球経験値は自ずとプレーに比例してくる。特に細かい部分における精度の高さにおいては差が出てくる。日々の練習からあらゆるシチュエーションを想定して訓練してきた証拠だろう。
 チームメイトの田村龍弘もそうだ。松川同様に高校時代、甲子園準優勝まで上り詰めたエリートだ。その影響は少なからず反映されている。レギュラー捕手の大半がエリート街道に収束してくるのも頷ける。
 
 頭のよさも大切だ。
 実はこうしたプレー(特に走者封殺)は正統派な頭脳も大切だが、ちょっと「してやったり!」という心理や行動の遊び心が好きだったり、小賢しさも必要になってくると考えている。松川、また田村の性格はこれに近いのではないかと推測している。共に関西出身のヤンチャもの?という性格、気質を感じるが、それもあるのかな。
 
 このディフェンスは球界の勢力図を変えられるクラスである。常勝軍団を築きたいうえで捕手は最重要ポジション。あのとき井口資仁前監督から最高の置き土産をいただいた。そう声を大にして言える日が来る瞬間を待っている。 
 

 


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