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千葉ロッテ、オフシーズンの補強の動きと意図を振り返る。

お久しぶりです。Syu. と申します。
未だに箱根駅伝の余韻に浸っていたら、早くも1月が終わりそうです。つい先日、年が明けたと思いきやもうキャンプインという事で、今オフの動向について軽く復習したいと思います。

このオフの命題は大まかにいうと、
・FA取得選手(荻野、益田)の引き留め
・マーティン残留(外国人野手獲得)
・中継ぎ補強

の3点を行う事が優先だと思いました。

結果的に鈴木大地は流出したものの、他にFA権を持っていた益田直也、荻野貴司はそれぞれ引き留めに成功し、マーティンとも1年1.6億程度で来季の契約を締結しました。特にマーティンの残留は大きいです。これでレアード 、マーティンと計算出来る外国人野手のコアが今年も築ける訳ですからね。実質、動きとしてはほぼ完璧な形を取れたと思います。

・まずは今オフの補強選手を整理します。

・美馬学投手(前楽天)
・小野郁投手(前楽天)
・ジャクソン投手(元広島、前ブルワーズ)
・ハーマン投手(前楽天)
・西巻賢二内野手(前楽天)
・福田秀平外野手(前ソフトバンク)
・ホセ・アコスタ投手(育成)
・ホセ・フローレス投手(育成)
・エドワード・サントス投手(育成)

支配下選手が6人(茶谷健太の育成→支配下は除く)、育成選手が3人という形です。野手でレアード 、マーティンの残留に成功したため弱点の外野をFAで補い、主に投手陣の補強に枠を割いた形でしょうか。その投手では外国人が5人、中でも支配下登録選手は日本野球経験者、育成選手は今後の成長に期待したい新外国人とはっきり分かれた形です。

それでは選手と獲得背景を見ていきます。

①球団初のFAで2人同時獲得: 美馬学、福田秀平

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 (画像: 千葉ロッテマリーンズ公式サイトより)

今年の補強の話題はこれに尽きると思います。過去にロッテがFAで獲得した選手は出戻りのサブローや伊東監督との恩師関係だった涌井のように若干出来レース気味だった感は否めない為、FA戦線で他球団との激しい争奪戦に勝ったのは今回が初めてのような気がします。
 しかも美馬は巨人を含めた3球団、福田に至っては6球団でしたからね。よく獲得してくれたという感想以外 思いつきません。

ここで2人の成績を軽く触れます。

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美馬学:
4年間で3度の規定投球回到達、通算51勝の右腕が加入。特徴としては絶対的エースではないが、抜群の制球力を武器に確実に6,7回を投げ3点以内に留めてくれるイメージでしょうか。

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福田秀平:
ここ2年で飛躍的に長打力を身に付けた打撃、過去に33回連続盗塁成功を記録した脚力、内外野守れる守備と走攻守揃ってます。これがCランクで獲得出来るのですから争奪戦も納得です。まだまだ伸びる可能性を秘めた一方、年間通してどこまで活躍出来るかが1つ注目です。

2人とも今季を戦う上では重要な戦力だと思います。美馬の役割としては主に退団した涌井、ボルシンガーと約200イニング近くの穴を埋めつつ、夏場10日ローテなどやり繰りに苦しんだ先発の強化、また若い投手が台頭しつつある中、ベテランとしての投球術や過去には日本シリーズMVP獲得、昨年、楽天に所属してCS争いを勝ち抜いた側としての経験など伝えられるものはあるでしょう。
福田は層が厚いとは言えない外野手を補う形で、荻野、マーティンと共にスタメン起用、角中、清田、岡らと上手く併用していく事になりそうです。井口監督は2番での起用を示唆しております。また、常勝ソフトバンクで培ったメンタリズムも注入して欲しいです。

しかし、個人的には美馬が先発ローテの1番手、福田が外野のレギュラーを張り続けるチーム状況ではいけないとも思っています。この先、本気で優勝を目指す場合、美馬を押し退けて種市など若く勢いある投手がエースの座を獲得、いずれ藤原が外野の主力に定着するなど有望株の成長、覚醒が不可欠だと感じます。

福田も日本一のソフトバンクでは常時レギュラーではありませんでした(これは監督の問題もあるかもしれないが)勿論、福田が1年通して素晴らしい成績を残す可能性もあります。

②新天地で輝く若手: 小野、西巻

その一方で若い小野、西巻も加入しました。
小野は鈴木大地の人的補償という形で来ましたがその際、若くて勢いある投手を狙いに定めてたと仰ってました。彼は175cm, 67kgと子柄ながら18年には2軍で36試合、防御率1.86を記録し最多セーブを獲得しています。しかし一軍ではBリリーフで敗戦処理が多いのが現状でした。150キロを超える直球に、右打者の外へと鋭角的にカクッと落ちる球を武器にします。
ロッテは右の若手投手陣にスラットボーラーを多く抱えているので、今回、小野を指名した背景としてそこは1つポイントかもしれません。まだ23歳と若いため今後の成長に期待したいです。

西巻は楽天を自由契約となりその後入団テストを経て加入。平沢大河と同じ仙台育英高校出身であります。167cm, 68kgと小柄な右の内野手です。スラッガー型とは言えませんが、最近では小柄な選手も適切なポイントを見つければ、打球を飛ばせる時代にはあるので、西巻も筋力をつけて是非その流れに乗れればと思ったりします。
ロッテは若い内野手が不足気味であったので、西巻獲得の意図もそこは1つあるかなと思います。下に2軍の二遊間事情を載せます。

・千葉ロッテ 2軍二遊間(10試合以上対象)

二塁: 松田進 77試合、高濱卓也 54試合
遊撃: 茶谷健太 85試合、平沢大河 24試合
         松田進 22試合、藤岡裕大 11試合

二塁では腰に爆弾を抱える高濱が手術→育成契約となっており、遊撃では藤岡、平沢は昨季は故障もあり2軍降格もありましたが、本来この2人は1軍に近しい存在であるため彼らを除くと茶谷、松田のみとなり層が一気に薄くなってしまいます。
ここに西巻が入る事で多少は起用に含みを持たせられるのではないのでしょうか。
将来的に1軍で活躍してもらいたい西巻ですが、2軍の内野の層を厚くする事も1つ重要だと感じます。また二遊間に関しては駒が多いに越したことないと思います。

③ 弱点を補う外国人投手: ジャクソン、ハーマン

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                      (画像: スポーツニッポンより)


明確な意図が表れた補強だったのはジャクソン、ハーマンを獲得した事でしょう。昨季パ・リーグ救援防御率は3.67の4位とまずまずも、リリーフ陣はやり繰りに苦しみ、全体的に出力不足は否めませんでした。特にイニング別失点数では8回に87失点と最多で酒居知史(現・楽天)、唐川侑己、東妻勇輔など固定出来ませんでした。そこで白羽の矢を立てたのが150キロ超えの速球を誇り、セットアッパーを任せられるジャクソン、ハーマンでした。的確です。さらに昨年のリリーフ候補の新外国人だったジョシュ・レイビンで失敗した経験則も踏まえてか2人とも日本球界で活躍した投手であり、一定の成績が残せそうという判断が付きそうなのもポイントかと思われます。

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ジャクソンは来日1年目以降、年々登板数が減り防御率も悪化している点は気になりますが、この水準であれば十分だと思います。3年とも投球回を上回る奪三振数を記録してる点はポイントかもしれません。昨年はMILで28試合で1勝0敗 防御率4.47の成績でした。

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ハーマンは昨年の防御率は過去最低とはいえWHIPが1を切り、全体の被打率も1割台となっています。チーム全体を見渡して彼のようなアームが強く、鋭く曲がるパワーカーブを投げるリリーバーはいない為、貴重なタイプかもしれません。またそのカーブをチーム全体に浸透させられたら面白い気も致します。

④その実力は…?: アコスタ、フローレス、サントス

さて3人の育成外国人投手、詳しく分かりませんが情報を整理すると、
エドワード・サントス投手は、
2016年:45試合 3勝3敗6S 63回66奪三振 与四死球39 防御率3.57 WHIP 1.28
2017年:13試合 0勝0敗6S 16.1回 24奪三振 与四死球10 防御率2.22 WHIP 1.22

と成績は残ってますが、一昨年辺りから公式戦での登板はないようです。
詳しくは分かりませんが、1つ言えるのは投球回を上回る奪三振数といったところでしょうか。

ホセ・フローレス投手は191cm, 120kgの大型右腕で昨季はBCリーグ富山に所属し、先発として22試合に登板し9勝7敗、130.2回を投げ、92奪三振、防御率2・00の成績を残しています。10月に行われた入団テストでは最速150キロを計測し3奪三振を記録しています。年齢が30歳と3投手の中では最年長です。

また、ホセ・アコスタ投手はニカラグアのウィンターリーグで13試合に登板して防御率1.10, WHIP1.04を記録してリーグ最多の9セーブを挙げているようです。プロ経験はないながら最速164キロを記録したらしいです。

ここで注目したいのはそれぞれの選手の特徴というよりは外国人枠の扱い方でしょう。過去にムニス、蔡森夫といった野手が数年在籍したケースはありましたが、千葉ロッテが大々的に外国人を育成契約で大量に抱えるのは初めての事だと思います。外国人枠の受け入れを拡大し、長期的なスパンで見ていこうという意思があるかもしれません。勿論ここから早期に支配下登録される可能性もあるでしょうが。

このオフは阪神が外国人8人体制を敷くことで話題を集めていたように、外国人選手も競争と育成との両立を目指す時代となってきたと思います。実際、育成枠から飛躍した外国人としては楽天にいる宋家豪投手、巨人のメルセデス投手が挙げられます。野手ではかつて、阪神、オリックス、DeNAに在籍したバルディリス内野手が育成出身から唯一規定打席に到達しました。

こうした枠から選手が活躍することは並大抵ではないので、是非ともジャパニーズドリームを掴んでもらえたら嬉しいです。ロッテ球団もその可能性を広げさせる為にも良い選択をしていると感じます。

⑤まとめ、最後に。

結論を言うと今年のオロッテは充実したオフになったかと思います。一躍ストーブリーグの主役に躍り出ました。ひとまずはこれで良いと思います。あとは開幕後のアクシデントに対応して随時補強していけば宜しいかと。


その一方で伊東政権時代から長らくチームを支えてきた涌井秀章、鈴木大地、昨季54登板の酒居知史が楽天へ移籍となりました。新天地での健闘を祈っております。


球団が黒字になり、データ戦略部の設置、そして松本尚樹氏が球団本部長に就任してからの編成の動きは向上しているように思えます。強いチームを築く上での土台がしっかりして、それらを確固たるものにすべく元年だと今年は思います。多くのプロスペクトも抱えており、20年代は常勝チームになる事を願うばかりです…。


いよいよ2月1日、キャンプインを迎えます。各々がしっかり調整し、開幕までに調子を上げてもらいたいところです。拙い文章ですが、最後まで見てくださりありがとうございます。箱根駅伝、日体大駅伝部が残念な結果に終わって未だに心の傷は癒えませんが、少しずつ立ち直りたいです。


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