見出し画像

千葉ロッテ 2021年総括

 レギュラーシーズン2位(67勝57敗19分)。CSファイナルステージ敗退。千葉ロッテマリーンズの2021年が幕を閉じた。ここまで必死に戦ってくれた選手、首脳陣たち。まずはお疲れさまでした。

 今シーズンの戦いを通して、思いの丈を殴り書きしました。個人の主観ですので、誤った意見、考えもあると思います。そこはご了承ください。


☆投打に見えた課題

 まずは投手について。中盤の失点、不用意な被本塁打が多かった。回別失点では6回の失点が最も多かった。多少打ち込まれても5.6回までは引っ張る方針もあったが、ここで1発だけは… という場面で被弾を喰らうなど先発の寸前の弱さは露呈された。今のがなければ、もう少し成績の見栄えがいいのにもったいないと感じた場面がいくつあったか。また、小野郁や鈴木昭汰といったミドルリリーフが機能していない印象も個人的には受けた。前半戦、活躍してくれた田中靖洋も後半戦はさっぱり。ハーマンも年齢とともに衰退している様子がはっきり目に見えた。相手の流れ切ってくれる投手があまりいなかったかな。

 先発もあと1.2枚が足りなかった。前半戦は石川歩が、後半戦はロメロが離脱したり。何より昨季ソフトバンク戦に相性の良かった二木康太、美馬学が揃って成績を落としてしまった。それぞれ同カードにて、カード別最多登板を記録するも、苦しむ格好となった。対ソフトバンクにきちんと攻略されてしまった模様だ。

 よく真っ直ぐの球速が...とは言われるが(まぁ高速化の著しい現代野球ではそれもそうだが)、全体を通して、今年の二木はスライダーのキレが悪かった。昨季はキュッと締まっていたが、今年は高めに浮くシーンが散見され、被打率も昨季の.184(49-9)0本から、今年は.288(59-17)4本と悪化。さらに、昨季得意としていたオリックスに対しても苦戦した。ここでは落ち切らないフォークを拾われたり、杉本にもスライダー含めて多く痛打を喰らった。

 美馬もソフトバンク戦ではフォークを完全に見切られていたように思える。左打者はポイントを引きつけ左中間狙い。また首位攻防のオリックス戦でも試合を作れず、大事な試合で結果が出せず苦しんだ。不運な当たりから突如乱れ、一度乱れると止まらなくなる、今年はマウンドでも納得のいかない表情が顔に出ているのが多かった。
重心やグラブの位置が高くも感じた。美馬は年齢的に負荷のかかる時期でもある。肘の故障歴もあり、なおさら心配だ。ただ2人とも少ない球数でのゲームメイク力に優れているのは事実。来季の巻き返しに期待。

  それでも前半戦不安定だった先発陣は夏場からギアを上げ、開幕から苦労したリリーフ陣も、毎月のようにAチームを固め直してきた。チーム防御率はオールスター前3.98から後半戦は3.25に改善。先発のQS率も後半の8月から毎月40%→50%→55%と上昇させた。贔屓目抜きにロッテは良い投手が揃っている。ボールの質が数字に追いついてない投手もまぁまぁ見かけるので、一致させていきたいね。

 絶対エース不在が課題と言われる来季は佐々木朗希がやってくれるだろう。TJ明けの種市篤暉の復帰も待たれる。

 次に野手について。昨季リーグ5位だった得点数(461点)は今季リーグトップの584点に上昇。開幕から荻野、マーティン、中村奨吾、夏場には2番藤原恭大の上位打線が機能、昨季大半が不在だったレアードが通年活躍したことが大きかった。しかし、上位打線はピカイチではあったが、下位打線はそれほど。流れを分断してしまいがちだった。

☆左のバランサー
 今年はレアードの柔軟さに助けられたが、5番6番の役割を担える野手が不在だった。かつては角中勝也がここにいたとはいえ、全盛期を過ぎてしまい、両翼のみを守り、ゴロヒットを重ねるだけでは心許なかった。マーティン・レアードとくっつけると低調期はともにバットがクルクルしてしまう。また、レアード以降が右打者で固まりがちにもなっていた。それを防ぐためにも右左関係なく任せられる左のバランサーが欲しい。

 本来なら、ここに菅野剛士が入るべきだ。一塁の代替要員としてレアードの、両翼で荻野、マーティンの負担を減らす、出塁率の高さを活かして、2,5番といった難しい打順をこなす、代打の切り札としてなど、内外野の陣形、打順起用の両面でチームの選択肢を広げられるのに。
 それこそマーティン離脱時、骨折時の強行出場時、一番にいて欲しかった。ポジションも打順もマーティンの穴を埋めるのに最適な選手。社会人から入団して来季は5年目。正直、期待の選手という位置からは脱している。頼む。

 エチェバリアや角中が中軸を打たねばならないという状況が多かった終盤は、能力的にもチームの将来的にも苦しかった。

☆勝負所での得点力不足、頼れるベテラン
 総得点数リーグトップとはいえ、勝負の終盤は3.4週間ほど1桁安打に留まるなど、打線が停滞。打力もさることながら、細かなサインプレーに脆さも目立った。シーズン終盤になるほど、こうした緻密さは重視されるのだが、決めきれない送りバントや走塁ミスなど控え野手の働きには頭を悩ませた。この頃から代走和田の出場機会、盗塁も減った。野球は9人でやるわけではなく、ベンチ選手にもそれぞれ役割がある。井口監督はそれを明示してきた。その役割を果たせないのは問題だ。また控えのベテランの存在も角中、鳥谷、小窪では頼りない。優勝したヤクルト・オリックスには川端慎吾、T–岡田といった選手が健在。正直、羨ましかった。井上晴哉、福田秀平。悔しさの輪にも加われなかった彼らは今、何を思っているか。

 それこそ井上晴哉あたりが6番で右方向にクラッチして打点稼いでくれれば。と思う場面も幾度かあった。押し手が強く強引にかちあげる打撃は手首に負担がかかりすぎたか。もう一度、万全を期していただきたい。

 結果的に連勝を重ねた時期はあったものの、いずれもセーブシチュエーションの展開となり、それが投手陣にもシワが寄せてしまった。

☆田村頼みだった捕手
 捕手でも差があった。ここ数年、田村一強が続いている捕手だが、田村の故障が多くなったことで、余計に田村と他の捕手との差が明確になっている。数はいるものの、使える駒は揃っていない。このポジションは唯一、伊東政権での財産で賄っているだけに。江村、吉田、柿沼らの故障もあり、シーズン途中で加藤匠馬を獲得、ギリギリで植田将太を支配下にあげるなど、やりくりには苦労した。
 夏場にある程度、加藤に踏ん張ってもらい、終盤に田村に稼働してもらえるような意図もあったと思うが、終盤になっても田村は石川歩の先発時のみスタメンというギリギリの状態。後半はほとんど加藤がマスクを被らざるを得なかった。そこは誤算。いかんせん加藤、柿沼では攻守両面において厳しかった。オリックスの若月・伏見体制が羨ましい限り。

 田村の故障も今に始まったことではなく、ここ2.3年は毎年1度は離脱するようになってきた。来季も年間通して計算に入れない方がいいかも。そもそも近年の捕手は、求められる技術が多く、投手のレベルも向上しているため、1人で回るには大きな負担となる。最低でもレギュラー、準レギュラーを週4:2の割合で賄えるような体制は敷きたいし、自動アウトと揶揄されない打力は欲しい。そこは田村、CSで打力見せた佐藤都志也で回せるように。そしてドラフト1位松川虎生。大きく育っていただきたい。

☆采配

 元々、采配に格段優れているわけではないが、正直、井口監督の采配は年々劣化していると感じる。特に今年は不可解なバントが増え、また代走・和田の投入シーンも「そこ?」というシーンが多かった。大和を敬遠せずサヨナラ負けしたDeNA戦も今思えば懐かしい。走者ありでの極端シフトも、攻略されながらも続けて、また同じような安打など失敗を繰り返した。もちろん、これを井口監督だけに責任転嫁するのは違う。今岡ヘッド、森脇コーチ、的場作戦コーチ。軸となっているのは彼らだと認識している。ミーティングを行うのはもちろんだが、データ班との連携で可視化を図るなどしていきたい。

 継投でも、らしくないと思わせたものがあった。10月7日の楽天戦9回表。前の日まで2連勝、その2試合とも益田が登板していた。そのため、この日は益田を温存して別の投手に抑えを任せる。今までのロッテであれば、そうしていたはずだ。ところが、マウンドには3連投となる益田。その益田が決勝打を喰らった。3連投のリミッターは解除されていたが、解禁後の益田は、ほぼ3連投しかしていない状態で疲労困憊だった。

 シーズンも佳境なのに、まだ後先見据えて温存させるのか… と思われてしまうが、この時期の益田は投球からも疲れが確認されており、次の週のオリックスとの首位攻防戦に備えて欲しいと考えると、あの日は国吉佑樹が最適解だったのではないかと感じる。ロッテらしくない継投策だった。ちなみにCS2戦目でも、疲れの見えた小島を7回に引っ張るも同点に追いつかれ、最終的には国吉を投入したりもあった。

 今の時代、監督は3~5年が旬だと思う。そこを過ぎると勝負勘が落ち、マンネリ化が進む一方だ。時の流れは早いもので、井口監督も来季5年目。潮時にあるのは事実だ。

☆本拠地での戦い

 33勝32敗7分。これは本拠地ZOZOマリンでの成績だ。実は本拠地で勝ち越した月は、5連勝を記録した7月のみで、他の月は勝率5割以下。少なくとも優勝を争うチームとしては致命的だ。地の利を生かした戦いが出来なかった。前述した通り、6回あたりで1発を浴びての失点、序盤から大量失点して観戦意欲を消失させる試合が目立つ。9月終わりのオリックス戦での3連敗もマリンで喫した。あのカードで1つでも勝てば優勝に近づくマジック点灯もあっただけに。最低でも.550は欲しい。

☆プロスペクト

 千葉ロッテといえば、この項目ではないか。トータルでみると期待の若手たちが伸び悩んだ1年であった。特に野手に関しては将来性の怪しさも感じた。その野手から。

 山口航輝、佐藤都志也。CS査定も強いが、この2人は頑張ってくれたかなと思う。特に山口は実質1年目でCS含めて年間10本塁打。プロスペクトでは最多。2人ともスイング軌道がよく、真っ直ぐに強く当たっていける点は好みだ。山口はブレーキングボールを引っ張る、佐藤都は半端な落ち球を拾う力を持っている。

 佐藤都は俺が決めるという強い意志が伝わる打席が多く、今までのロッテ選手とは違うメンタリティが備わってるように感じる。こういう存在がチームを変えるかも。しかも捕手でそれを持っているのが良いのだ。捕手として苦しんだ時期もあったが、最後のCSでのブロッキング、3–2からボール球のカッター要求出来る度胸。痺れたよ。やっぱり捕手として大成しないといけない。2人とも来季は確実性を上げたい。

 藤原恭大は正直がっかりした。本来なら昨年終盤の流れから今年はレギュラー行って欲しかった。荻野のセンター出場機会も藤原の不振で生まれたものである。夏場に2番を打ち月間MVPを獲ったものの、通年では小手先の安打、ゴロやポイント近づけすぎて窮屈になったりの打撃も多く、点数をつけるならば40点くらいかな。でも野手では1番が彼だと思ってる。真のコア・3番中堅でトリプルスリーやってくれ。

 少し特殊だったが、和田康士朗は彼らの中で、一足早くタイトルをゲットした。盗塁王おめでとう。打撃でもCSでは久しぶりの打席で京セラ逆方向の奥深くに二塁打。良いものは持っている。打席与えたいなと思わせるような内容、結果を増やそう。

 そして安田尚憲。色々述べると枠に収まらないので簡潔に言うと、4年間で1つもフォームを固められていないのはあり得ないと思う。良いと思ったフォームもすぐ変えちゃうし。現状、来季の構想に安田の名前はない(後日Twitter or noteでもう少し述べたいと思います)。井口監督から期待の高い高部瑛斗も、もう少し打席で考える力が欲しい。1つしかないヒットパターンを増やそう。

 次に投手。佐々木朗希は5月にデビューすると登板→抹消を繰り返し大切に扱い、勝負どころの10月で中6日を解禁。登板をかさねるごとに投球も支配的になってきた。CSでも最年少2桁奪三振。なんだか、もう驚かなくなってきた。

 新人の鈴木昭汰、河村説人。高卒の土居豪人、横山陸人。彼らも経験を積んだ。鈴木はどんな場面でも腕の振りが変わらない、吉田正尚から空振りを奪えるスライダーは手元でよく切れる。河村はUTっぽくチームのニーズに合わせた起用に応え、後半は先発としてゲームメイクしてくれた。横山は佐々木朗の陰になっているが、彼とほぼ同じ時期に一軍初登板を迎えたのは早いよ。皆に共通するのは、防御率よりも良い球を投げること。まだまだ上がっていく。昨年から期待の高かった古谷拓郎も故障から復帰、さらに育成では2軍最多勝、最多セーブの森遼大朗、小沼健太が控えている。彼らも楽しみ。

☆よかった点

 もちろん、楽しかった点。見どころもあった。

 怪我に泣かされ続けた荻野貴司が36歳でついに143試合出場を果たした。しかも1番のみで。マーティン・中村奨吾と形成した上位打線は、この上ない武器であった。夏以降、河村説人がローテを穴埋め、佐々木千隼は初めて1年間フル回転。終盤には石川歩が復帰後、快投を披露してローテを引っ張ってくれた。小島和哉は後半3完投2完封の活躍で規定投球回で10勝。岡大海は攻守にビッグプレーを連発。特に岡が本塁打を放った試合は5勝1分と無敗。そのうち2本がサヨナラ本塁打。森脇浩司コーチの加入で、走塁面では1つでも先へ、先へという意識が根強くなってきて、すきのないチーム作りには着手できた。

 そして佐々木朗希。令和の怪物がベールを脱ぎ、登板を重ねるごとに、そのスケールは増していった。来季10勝は射程圏内、15勝してほしい。

 もう1人。益田直也。千葉ロッテで優勝したい、その一心で腕を振る姿勢には感動した。彼なしに今年の、クローザーとして活躍したこの3年間の千葉ロッテは語れないと思う。この思い、切実に必ず報われて欲しい。

☆これまで・これから

 ここからは自分が思い描く千葉ロッテマリーンズを述べたい。

 佐々木朗希が入団した2019年オフからこう考えている。井口監督が当初の3年契約最終年だった2020年からの6年間が勝負かなと。

 そして2020年から2025年を前期3年、後期3年で分ける。前期3年で荻野、益田、中村奨、田村、マーティン中心のチームでまず優勝。22年オフは上記の選手が契約切れたりFAで一旦リセットとなる。次の後期3年は今まで獲ってきたプロスペクト(藤原、佐々木朗、安田、山口…)を大成させて優勝を目指す。この最後の2025年に佐々木朗希が24歳。将来を踏まえても、ここで千葉ロッテの頂点を置き土産にメジャーに行って欲しい。ダルビッシュ有、大谷翔平がメジャーに飛んだのも、この歳に近い。25歳で佐々木朗希に夢の舞台へ。このような感じに描いている。

 この6年間で5度Aクラス、2度優勝を目標にしたい( 1度目の優勝で翌年反動は来ちゃうので、そこはBクラスかも分からない)。つまり来年、2022年は現有戦力が揃うラストチャンスの可能性。何としても。その一心だ。

 昨年も今年も本気で優勝したかった。これほど悔しさに溢れた1年は初めてだった。まさか同じように再建に取り組んできたオリックスに優勝されるなんて想像だにしてなかった。
 ここまで歩んできた道のりは決して間違ってはいない。2年連続2位も立派だと思う。それは重々承知している。だが、それで満足するフェーズは終わったのだ。もう1位しかいらない。このまま惜しいチームのままでは終われない。

 来年、頂点に立とう。必ず。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?