_ホーム2015

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020  Vol.9

【西武ライオンズ→埼玉西武ライオンズ①】

・ホーム(2004〜2008・2009〜2014・2015〜)

 本拠地を所沢に移転した1979年から継承され、西武ライオンズ最初の黄金期をともに過ごした伝統的なホームユニフォームは、2004年の開幕前に突如としてその歴史を閉じることになる。ここにいたるまでの経緯はいまだもって謎が多いが、とにもかくにも現役引退したばかりの伊東勤が監督を務めるライオンズは真新しいユニフォームとともに幕を開けることになる。

①ホーム2004

 2004年の3月に発表された新しいユニフォームは、カラーリングこそこれまでのライオンズブルーが受け継がれているものの、胸にはリニューアルされたLIONSのロゴが入った。2004年と2008年はこのユニフォームで日本一に。MLBへ羽ばたく前の松坂大輔がこのユニフォームを着用していたことも忘れてはならない。

①ホーム2009

 2009年に球団はホームユニフォーム刷新の大きな決断を下す。衝撃だったのが、明るいライオンズブルーから西鉄ライオンズ時代の紺色に近づけた濃い青、通称「レジェンドブルー」への変更だった。胸には西鉄時代を想起させる書体のLのロゴ、ラケットラインに袖のライン。白地以外はこれだけというシンプルさだが、この年まで球団が勝ち取った日本一の回数を象った13個の白い星が襟の裏に縫いつけられており、見えない部分に隠されたプライドがある。余談ながらこの時期の背番号・背ネームはタテ長の丸っこい独特なフォントで、奈良原浩コーチの「NARAHARA」が「NAAAHAAA」に見えてしまう、とネタにされたものだ。

①ホーム2015

 2015年、再びホームユニフォーム変更のタイミングを迎える。レジェンドブルーのカラーリングはそのままに、胸のロゴがLからLionsへ。当初の背番号・背ネームはトゲのついたようなフォントであったが、2016年からは現在の太字のフォントに変更。「NAAAHAAA」も解消された。

 チームは主力のFA移籍という悪循環に悩まされながらも、山川穂高や森友哉をはじめとした新世代の台頭があり2018年からリーグ連覇。このユニフォームで新たな黄金期を築く気運は確実に高まっている。


・ビジター(2002〜2008・2009〜2014・2015〜)

②ビジター2002

 2002年から使用されたグレーと青のビジターユニフォームは、黄金期のいわゆる「ポリバケツブルー」と比較すると地味であることは否めないが、それでもSEIBUの伝統的なロゴは受け継がれていた。

②ビジター2009

 ホームユニフォームと同じタイミングの2009年にビジターもリニューアル。全身グレー地、ラケットライン、胸には新しいLionsのロゴ。これまた非常にシンプルだが、1950年に使用された西鉄ライオンズのユニフォームを参考にしたデザインとも考えられ、歴史を大切にするこの球団らしい手堅さが詰まっているともいえる。2012年の福岡Yahoo!JAPANドーム(現・福岡PayPayドーム)で、当時のホークスのクローザーであるブライアン・ファルケンボーグから米野智人が逆転満塁ホームランを放った際に着用していたユニフォームでもある。

画像7

②ビジター2015

 2015年になると前年までのサードユニフォームがビジター用として昇格。ホームの白と対比するような濃い青は、明確に色分けする近年の流行に乗ったかたちになったようでもある。赤いラケットラインと袖のラインが入り、バランスのいいカラーリングに。右袖に入る勾玉を象った埼玉県章がインパクトを与えている。重箱の隅をつつくことになるが、サプライヤーがナイキだった2015年だけは襟の裏が赤く染められており、マジェスティックに変更された2016年以降は表地と同じ濃い青で統一された、という違いがある。

 ライオンズのイメージカラーをビジターで強調するユニフォームの効果は高い。各地の球場で暴れまわる獅子の色は、これからも青であり続けてほしい。

【西武ライオンズ→埼玉西武ライオンズ②につづく】



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