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私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.22

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【ヤクルトスワローズ→東京ヤクルトスワローズ②】

・TOKYO燕パワー(2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019・2020)

 2013年より始まったTOKYO燕プロジェクト」。「燕(つばめ)」が「えん」と読めることから、「円(コミュニティやサークル)」「縁」「エンターテインメント」「エンパワーメント(自信や力を与えること)」といったキーワードでファンとのつながりを深めるイベントを標榜している。

燕パワーユニフォーム(2013年)

※つば九郎のBlogより。

③東京2014

 2013年は真っ白なユニフォームの胸にYSの球団ロゴが入り、袖には赤と緑のライン。2014年は明るい緑色を基調として、袖を紺色に染める変更が加えられた。ここから燕パワーユニフォームのメインカラーは緑色に定まった。

③東京2015

③東京2016

 2015年もカラーリングはそのままで、新たに球団史上初めてとなるTOKYOのロゴが胸に入る。ビジターユニフォームにTOKYOのロゴを入れている読売ジャイアンツとのライバル関係を改めて表明するかたちとなり、共同企画「東京シリーズ」がこの年から始まった。2016年になるとさらに明るいライトグリーンに。

③東京2017

 2017年は白いストライプが入り、よりポップなイメージに。この年の東京シリーズの「S“WIN”G」は屈指の名コピー。スワローズファンはビニール傘、ジャイアンツファンはオレンジタオルを回して勝利をつかみ取れ、というコンセプトは両チームのファンを煽り立てるに十分だった。

③東京2018

③東京2019

 2018年は黄緑の地に紺色の袖。この年からのコピー「ミドれ。」もシンプルながら力強い。2019年になるとロゴがTOKYOからTokyoに変わる。肩に紺色のラインが入り、引き締まったシルエットに。

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 2020年はTokyoのロゴがまた新しくなり、薄く山形模様が入るデザインに。

 例えばカープ=赤、ドラゴンズ=青といったような球団のメインカラーがはっきりしていない時代もあったが、TOKYO燕パワーのユニフォームによってようやくスワローズ=緑色というイメージが定着し始めた。振り返ってみれば1980〜90年代、ユニフォームに取り入れられてはいなかったもののスタンドで目立っていたメガホンの色は明るい緑色だった。その頃から緑色との縁はつながっていた、という可能性もある。


・CREW(2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019・2020)

 ファンクラブの名称が「SWALLOWS CREW(スワローズクルー)」となった2013年から、入会者特典としてユニフォームが配布されるようになる。

CREWユニフォーム(2014年)

 2013年はホームユニフォームと同じデザイン。2014年はホームの差し色をネイビーからライトグリーンに変えたもの。胸にはYSの球団ロゴが入る。なおこの2年間は、選手による着用はまだなかった。

④クルー2015

④クルー2016

 2015年からはデザインを一新。ネイビー単色となり、緑色が際立つSWALLOWSの新しいロゴが入る。これはTOKYO燕パワーユニフォームに入れられたTOKYOのロゴと同系統。この年から選手も同じデザインを着用する試合が開催され、「第4のユニフォーム」として紹介された。2016年はロゴの色が赤に変更。襟と袖口の青・白・赤のトリコロールカラーは、ホームユニフォームと順番が逆に入れ替わったもの。

④クルー2017

④クルー2018

 2017年は白地にライトグリーンのストライプ。これは同年のTOKYO燕パワーユニフォームと逆の色合いということになる。2018年は白地にライトグリーンの袖。

④クルー2019

 2019年はSWALLOWSのロゴがSwallowsとなり、これまた同年のTOKYO燕パワーユニフォームに近いデザインとなった。

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 2020年は、東京の夜景をイメージしたと思われる斬新なデザイン。監督に就任した高津臣吾の十八番であるクリスタルキングの“大都会”を彷彿とさせる(ただしあの曲は福岡の街を歌ったもの)。

 「CREW」とは船や飛行機の乗組員の意味の他に、ヒップホップを源流として「仲間」「連れ合い」を表現する単語でもある。国内だけではなく世界中から様々な理由で多くの人が集まってくる街・東京らしいネーミングでもある。スワローズを応援するために各地から神宮球場へ集まるファンを表現するには、これ以上ないくらいピッタリだ。


・復刻(2008・2009・2010・2012)

⑤復刻2008

 NPBの各球団で様々な復刻企画が立ち上がった2008年、スワローズもこの流れに乗ることになった。ヤクルトの球界参入40周年を記念して、1969年に使用していたヤクルトアトムズのビジターユニフォームを復刻。アトムズのペットマーク「鉄腕アトム」の作者でもあるマンガ家・手塚治虫の生誕80周年の記念も兼ねていた。

⑤復刻2009

 2009年の交流戦期間中に復刻したのが、1951年に使用されていた国鉄スワローズのユニフォーム。細いツバメのロゴマークとSWALLOWSの文字が遠慮がちに並んだだけの真っ白なユニフォームは、派手なデザインの多い時代において非常に新鮮に映った。

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 2010年にはセ・リーグ6球団共同のオールドユニフォームシリーズ「グレートセントラル」が開催。スワローズからは1994年から使用されてきた赤いストライプのホームと、水色に染められたビジターの2種類のユニフォームが登場。池山・広澤コンビや古田敦也といった選手たちが躍動した時代のデザインである。 

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 2012年のグレートセントラルでは、1978年から使用されたホームユニフォームを着用。赤いストライプは前回と変わらないが、こちらはSwallowsのロゴに赤い縁取りが入っている。フィーバーを巻き起こした荒木大輔が着ていたのもこのユニフォームである。

 2019年には「PLAYERS SERIES」と称して歴代ユニフォームのファン投票を開催。選手は着用しなかったものの、人気を集めたデザインは現役選手の背番号とネームを入れて復刻され、対象試合のチケットの特典となった。さらに同年、ヤクルトの球界参入50周年を記念して開催されたスペシャルマッチ「ドリームゲーム」には、外国人選手を含めて各世代を代表するOBが多数集結。教え子たちに支えられながら野村克也氏が打席に立ったシーンは実に感動的だった。歴史を重んじる姿勢は、今後もこの球団の糧となっていくはずだ。



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