_ウルトラ2013

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.29

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【阪神タイガース②】

・交流戦(2007・2008)

 2005年から始まった交流戦には復刻ユニフォームを着用することが多かったが、2007年と2008年はオリジナルのデザインが用意された。

③交流戦2007

交流戦ユニフォーム ホーム・ビジター(2007年)

 2007年のユニフォームはコシノヒロコがデザイン。ホームは白、ビジターは黒を基調としてストライプが入り、黒の袖に輪のように黄色の差し色が加えられた。驚かされたのはホーム・ビジター共通となるTigersのロゴである。特にホームでは長年にわたり変わらず使用され続けたTigersのロゴがついに外されたのだ。このフォントは2005年の球団創設70周年のロゴマークにも登場しており、思いきってユニフォームへ起用したというわけである。

交流戦ユニフォーム ホーム・ビジター(2008年)

 2008年は当初、交流戦用のユニフォームをあらためて作る予定はなかったが、球団への要望が多く急ごしらえしたらしい。登場したデザインを見て愕然としたファンも少なくなかったはず。ホームは白、ビジターはグレーを基調としてストライプが入っているので、ここまでは普通だ。が、ホームはTigersのロゴ周辺のタテジマがじわりと消え、逆にビジターはHANSHINのロゴ周辺だけにぼんやりとタテジマが見える仕様。しかもロゴや背番号の背景には黄色のぼかしが入るという、なんとも不可思議なデザインだったのだ。制作時間が短かったという話もありやっつけ仕事とまでは言わないが、もう少しどうにかならなかったものだろうか。なお、このユニフォームで「昇華プリント」という印刷技術を知ったファンも多い。


・ウル虎の夏(2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019)

 甲子園が高校野球の選手権大会で使用される直前の期間を中心に、タイガースは夏のイベント・ウル虎の夏を開催して毎年レプリカユニフォームを配布している。

④ウルトラ2013

④ウルトラ2014

 2013年はおなじみのタテジマに黄色と黒のラケットライン、それにこちらもおなじみのHTのロゴマーク。帽子やヘルメットに必ずついているこのロゴがユニフォームの中に入ったのは球団史上初である。2014年は驚きのグリーン。もちろん球団初のカラーだ。甲子園を取り巻くツタの葉やグラウンドの天然芝をイメージしたもので、TIGERSのロゴも初登場のフォント。はっきり言ってしまうとまったくタイガースらしくないものの、意外と悪くないように思える。個人的にこうしたオリジナリティは歓迎だ。

④ウルトラ2016

④ウルトラ2015

④ウルトラ2017

 2015年は球団創設80周年の「Yellow Magic プロジェクト」の一環として黄色に戻り、白と黒のラケットラインがついた。ファンクラブの入会特典となっているユニフォームのデザインに近く、ファンにはなじみのある色合いと思われる。前年からの反動か、ここから怒涛のイエロー攻めが続く。 2016年はラケットラインと黒の袖。2017年は前年のデザインにストライプが加わったもの。背中は黒で染められ、背番号が黄色となった。

④ウルトラ2018

④ウルトラ2019

 2018年になるといかにも虎の毛皮といった柄が入る。胸番号と背番号は上半分が白、下半分は炎が迫り上がってくるような特殊なデザインとなった。2019年は燃え盛る太陽の炎を思わせる色合い。選手が着用して動くとだし巻き卵のようにも見える。

画像9

 2020年はイエローの幾何学模様。ベイスターズの横浜スターナイトの通称「氷結ユニフォーム」の色違いといった雰囲気。さしずめ「氷結パイナップルユニフォーム」といったところか。

 カクテル光線に照らされたイエローは、甲子園の黒土によく映える。ただでさえ目立つ黄色がチームカラーであるのに、ウル虎の夏はさらにその色合いが強まる。伝統のタテジマをホームユニフォームで守りながら押しの強さをイベントのユニフォームで表現するという姿勢は、この球団らしいといえば実にらしい。


【阪神タイガース③につづく】



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