_復刻2005

私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.30

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【阪神タイガース③】

・復刻(2005・2006・2009・2010・2010・2011・2012・2016・2017・2018)

 自身が熱狂し始めた時代のユニフォームは、ファンにとって特別な意味を持つ。長年にわたりチームを愛し続けてきた者にとっては、なおのことだ。2003年に久々のリーグ優勝を果たしたタイガースにとしてみれば過去の栄光にすがる意味ではなく落ち着いて歴史を振り返ることができるいいタイミングだったのかもしれない。

⑤復刻2005

 2005年から始まった交流戦では、球団創設70周年を記念して復刻ユニフォームで試合を行なうことが決められた。まず最初に登場したのは1979年から使用されたホームユニフォーム。指揮官である岡田彰布監督がデビューした当時のデザインだ。2005年の段階では黄色の入っていないユニフォームが長く続いていた期間中だったため、非常に新鮮に映った。

⑤復刻2006

 2006年には同じく1979年から使われたビジターユニフォームを復刻。水色は昭和50年代のタイガースの代名詞でもある。交流戦ではホームでこのビジターユニフォーム、逆にビジターでは前年に使用した同年代のホームユニフォームを着用するという企画に取り組んだ。ちなみに上記ふたつのユニフォームは前ボタン式だが、当時はプルオーバーだった。

復刻ユニフォーム ホーム・ビジター(2009年)

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 オリジナルのデザインを作った2年間を経て、2009年の交流戦から再び復刻ユニフォームが使用されることになった。おそらくタイガースのユニフォームファン投票を開催したら第1位に選ばれるであろう、1985年に着用していたホーム・ビジターユニフォームだ。ホーム用はタテジマが入った白の帽子も用意され、ビジターも全身グレー地にストライプが入ったなじみ深いデザイン。このユニフォームに限っては、数年に一度くらいのペースでたびたび復刻してもバチは当たらないのではなかろうか。

⑤復刻2010ホーム

⑤復刻2010ビジター

 2010年の交流戦では、1975年から使用された、通称「輝流ラインユニフォーム」を復刻した。黄色と黒の波型模様が袖口とパンツに陣取っているのが大きな特徴で、これまた往年のファンにはたまらないデザイン。ホーム・ビジターの両方が登場し、全国のファンに輝流ラインを見せつけることとなった。

⑤復刻2010グレート

 2010年にはもうひとつの復刻企画、セ・リーグ6球団共同の「グレートセントラル」が開催された。タイガースが選んだオールドユニフォームは「ダイナマイト打線」と呼ばれた1948年の大阪タイガースのデザイン。全身が黒に近い濃紺で塗り固められている。襟とボタンラインに細く白いラインが流れ、袖にも白いラインが入り、背ネームは入っていない。忍者のような雰囲気のあるこのデザインは非常に好評で、翌年の交流戦でも着用することになった。異なる点は色違いとなるオールドスタイルのソックスで、2010年は黒とグレー、2011年は黄色と黒の縞模様だった。タイガースはファンにとっての大いなる日常であるが、このデザインはいかにも非日常的。現代でもフェチを刺激されてしまうファンがいるのではないだろうか。

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 2012年のグレートセントラルではさらに時をさかのぼり、1937年に初優勝を飾った大阪タイガース時代のユニフォームを復刻。前回のグレートセントラルに登場したユニフォームと色違いのデザインで、こちらは白地に黄色と黒のラインが入ったもの。もちろん、タテジマはこの時代からすでに入っている。マニア心をくすぐる情報として、再現されたオールドスタイルは黒とえんじ色、黄色と赤という2種類の縞模様のソックスが存在していた。

伝統の一戦ユニフォーム(2016年)

 2016年、永遠のライバル球団である読売ジャイアンツとの共同プロジェクト「伝統の一戦」が立ち上がる。昭和の時代には想像すらできなかったことである。まず2016年には2010年の交流戦でも着用した輝流ラインのユニフォームを再起用。全選手オールドスタイル必須となり、ソックスは黄色と黒の縞模様で統一された。

伝統の一戦ユニフォーム(2017年)

 2017年には、2010年のグレートセントラルで人気を博した全身濃紺のユニフォームが選ばれた。こちらのソックスは黒一色。1948年当時にはなかった虎のマークが袖につけられ、帽子のマークも大阪タイガースのOから現在のHTマークに変更された。また背ネームも今回は入れられている。

⑤伝統の一戦2018

 2018年は、以前も復刻された輝流ラインのビジターユニフォームと同じデザインながら、胸のロゴがHANSHINからTigersに入れ替わっている。過去のユニフォームのいいとこ取りで組み合わせてリメイクしたわけだが、つまりこのユニフォームはある意味「新作」なのだ。単なる復刻にとどめない球団の隠れた野心作といえる。2019年もイベントは継続されているが、特別ユニフォームは用意されなかった。

 NPBのあらゆる復刻企画において、戦前のユニフォームが登場したのはタイガースとジャイアンツだけである。日本プロ野球創設以来しのぎを削ってきた両球団には、今後もたくさんのオールドユニフォームの企画を打ち立て、新旧どちらのファンも楽しませていってほしい。

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