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私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.1

【千葉ロッテマリーンズ①】

・ホーム(1995~)

①1995ホーム

 2020年現在、マリーンズのホームユニフォームはNPBの中でもっとも息の長い現役のデザインとなっている。1995年、監督に就任したボビー・バレンタインが当時のピンクユニフォームを「戦う者の着る色ではない」と指摘(一説には助っ人のフリオ・フランコも難色を示していたらしい)。そこで作られたのがニューヨーク・ヤンキースやシカゴ・ホワイトソックスを模したような白地に黒のピンストライプだった。振り返ってみれば、球団創立当時の毎日オリオンズや「ミサイル打線」の大毎オリオンズのユニフォームも同じピンストライプだったのだ。

 ファンが揃ってユニフォームを着て応援するという文化も、このピンストライプから始まったといってよいと考えられる。現在では球場で当たり前のようにファンが着ているレプリカユニフォームも1990年代前半ではまだ珍しく、当時の映像や写真を見ると一部の熱狂的なファンが羽織っていた法被の方が目立っていた。

 四半世紀の時を経てもなお、シンプルかつ強固なデザインは色あせない魅力を持続している。2008年から右胸に広告が入るようになり、ハートフォード生命、ネクソン、ガンホーと入れ替わっていく。サプライヤーがマジェスティックとなった2016年からの3年間だけ、背ネームのフォント・デザインがわずかに変更されたが、ピンストライプは一貫している。2020年からサプライヤーはミズノとなり、背ネームは元のデザインに戻される予定。

 ビジターユニフォームのデザイン変更があるたび、ホームも変更したりしないかといつもビクビクしてしまう。できることならこれからも、永くピンストライプをマリンのグラウンドで見続けていたい。初芝清から佐々木朗希にいたるまで、あらゆる体型の選手たちをやさしく包み込むこのユニフォームこそNPBの中でもっともカッコいいと感じている。


・ビジター(2000~2004・2005~2007・2008~2009・2010~2013・2014~2019・2020~)

②2003ビジター

 デザインは少しずつ変更されているものの、マリーンズのビジターユニフォームといえば黒。2000年から2004年は黒一色、銀色に鈍く輝くMarinesのロゴのみが入る。2004年、西武ドーム(現・メットライフドーム)のシーズン最終戦で見せてくれた、ベニー・アグバヤニ、マット・フランコ、李承燁のホームラン3連発が今でも記憶に残っている。

②2005ビジター

 2005年からは赤いラケットラインが入り、シンプルながらバランスのよいデザインに。胸のロゴはイニシャルのMに変更。プレーオフや日本シリーズでの歓喜のシーンはこのユニフォームとともにあった。

②2008ビジター

 が、2008年にリニューアルされたビジターユニフォームを目にして、そのアバンギャルドさに絶句してしまった。黒から白へのグラデーションの中に浮かび上がるカモメのプライマリーマーク。ド派手なデザインをいくつか目にしてきた現在ではそれほど奇異には映らないかもしれないが、当時としてはかなり過激だなと驚きがあった。

②2010ビジター

 西村徳文監督が就任した2010年、ビジターユニフォームは再びモデルチェンジ。黒を基調として肩と脇に白の差し色が入るデザインとなり、「落ち着いた」という第一印象だったことは隠せない。2005年以来の日本シリーズ制覇の瞬間を彩ったのもこのユニフォーム。岡田幸文の躍動は忘れることができない。

②2014ビジター

 2014年からはMarinesのロゴが赤い縁取りに囲まれたデザインに変更。黒地に赤い差し色はほどよい親和性がある。なおホームユニフォームと同様に2016年からの3年間は背ネームのデザインだけは変更されていた。

2020年 ビジターユニフォーム(球団公式サイト)

 2020年からはビジター初となる黒地に白のピンストライプを採用。ホームユニフォームとは反対のイメージ、ということだろうか。

 多少のマイナーチェンジはあるにせよ、ホームの白と対極にあるビジターの黒、この明確さは今後も維持してほしい。また、マリンでビジターユニフォームを着用する「ブラックブラック」もなかなかユニークで、こちらも継続していってほしい企画だ。

【千葉ロッテマリーンズ②につづく】

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