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私家版・プロ野球ユニフォーム史 2004-2020 Vol.17

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【福岡ソフトバンクホークス②】

・鷹の祭典(2004・2005・2006・2007・2008・2009・2010・2011・2012・2013・2014・2015・2016・2017・2018・2019・2020)

 ダイエー時代の2004年からスタートした、ホークスが誇る一大イベント・鷹の祭典。特別ユニフォームを用意し、同じデザインのレプリカユニフォームを入場者に配布。スタンド全体を一色に染めるその様子はいつ見ても圧巻。福岡のみならず九州各地や東京、大阪でも開催され、現時点では日本球界最大級のイベントと評していいだろう。タレントの多用や野球とは無関係のアトラクションなど、近年はその運営に疑問が残らないわけではないが、「球場でなんかすごいことをやっている」という印象は野球ファン以外にも浸透しており、その影響力は見過ごすことができない。

 2004年はホームユニフォームで開催。ソフトバンクホークス初年度の2005年はビジターユニフォームで試合を行ない、「ブラックホーク降臨」と題された。

③祭典2006

③祭典2007

 2006年からはオリジナルのユニフォームが登場。レボリューションイエローを基調として肩に黒い差し色が入る「BIG YELLOW DREAM」。2007年はグレー、白、黄色を組み合わせた「モエルゼ、ナツ!ストロングホークス」。熊本の名物・辛子れんこんのようにも見える色合いだ。

③祭典2008

③祭典2009

 2008年はホームユニフォームの白と黄色を逆にした「YELLOW Spirits」。2009年は一転して濃いネイビーの地に鷹の爪痕をイメージした柄の入った「玄界灘ブルー」。実物はほとんど黒に見える色合いだった。この年のみ、東北楽天ゴールデンイーグルスのTOHOKU GREENなどをデザインした大岩Larry正志氏が携わっている。

③祭典2010

 鷹の祭典の転機は2010年。この年は、たぎる血のように鮮烈な赤が印象的な「カチドキレッド」。優勝奪還に燃えるチームはこのユニフォームで快進撃を続け、着用期間を延長。福岡の公共交通機関の職員やタクシー運転手、銀行員、おみやげ屋のおばちゃんにいたるまでカチドキレッドのレプリカをまとい、街全体を巻き込んで赤く染まっていった。ここから5年間、鷹の祭典は単色でプッシュするようになる。

③祭典2011

③祭典2012

③祭典2013

 2011年は水色の「チャンピオンブルー」。パ・リーグのチャンピオンフラッグの色でもあり、ドームのシークレットゲストとしてもおなじみの藤井フミヤが歌う“勝利の空へ”をイメージした色でもある。2012年は緑色の「VV(ブイブイ)グリーン」。この年のチームスローガン「VV(ブイブイ)」の名が入れられた。この前年の「ダ」あたりから、ホークスのスローガンはかなり独特の味わいを醸し出すようになってくる。2013年は紫色の「ガッツパープル」。古来より日本の最上位色とされてきた紫を採用。日本史の教科書に載っていた冠位十二階を思い出す。

③祭典2014

 そして2014年、再び「カチドキレッド」の出番となる。2010年との相違点は、白から金色に変更されたSoftBank HAWKSのロゴ。赤はゲンがいいのか、このユニフォームもまた勝率が高かったため終盤戦でも着用することになった。

③祭典2015

③祭典2016

③祭典2017

 再びの転機は2015年。黄色がメインの「レボリューションイエロー」だが、単色ではさすがにネタが続かなくなったのか、白のストライプが入るようになる。2016年は濃い青に黒のストライプの「チャンピオンブルー」。前年の日本シリーズ優勝ペナントになぞらえた色だが、鷹の祭典の時期にチームは失速してしまい「呪いの青」とも呼ばれてしまった。2017年は白地に赤のストライプの「1ダホー!(ワンダホー)ストライプ」。この赤はカチドキレッドから取られている。また、ストライプがボールの縫い目(シーム)を形取っている点も見逃せない。

③祭典2018

③祭典2019

 2018年は白地に金色のストライプの「もう1頂!(いっちょ)ゴールデンストライプ」。頂点をイメージするゴールドが配色されている。ストライプの模様は「1」が無数につながるデザインとなっている。2019年は水色に白地のストライプの「チャンピオン奪Sh!(ダッシュ)ブルー」。2011年の水色のチャンピオンブルーの進化系ととらえられている。これで4年連続でのストライプ起用となった。

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 2020年のユニフォームは「S15(サァイコー!)イエロー」。レボリューションイエローより明るい黄色で、医療従事者への感謝を伝える濃いブルーとのコントラストが映える。帽子のShマークには南海ホークス時代を彷彿とさせる鷹の翼が重ねられている。

 鷹の祭典が始まって早くも15年が経つが、その勢いはとどまるところを知らない。ホークスの選手としては巨大すぎるほどの地の利を得られるし、翻ってみれば対戦相手としてこんなにやりにくい場はない。今後このイベントがどこまで進化を遂げるのか、今以上に見せつけ、圧倒してほしいものである。


・イベント(2018・2019・2020)

イベント

 鷹の祭典を除くイベントのユニフォームとなると、まずは2018年の球団創設80周年記念。白地に紺色のラケットライン、胸のロゴは「HAWKS 80th」。鷹の祭典の派手なカラーリングと比較すると、非常にシンプルでシックにまとまっている。どことなくだが、かつて福岡で愛されていた西鉄ライオンズのカラーにも近く見える。袖に入る2本のラインは他のユニフォームと同じ太さでありながら、やや袖口に近い位置に移動している。球団が設立した1938年に初めて登場した南海のユニフォームにも似たデザインだが、果たして意図的であったか否か。

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 2019年はホークスの福岡移転30周年記念。通称「WE=KYUSHU(ウィ・キューシュー)」のユニフォームは白地に赤。しかし白抜きのロゴと背番号はスタンドからだとなんとも見えづらく、イベント用のデザインとしては軽すぎるようにも感じた。

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 2019年もうひとつのイベントユニフォームは、ピンクリボンキャンペーンでのもの。これまでもタカガールデーでは乳がん検診啓発のためにグラウンドのベースをピンク色に染めるなどしてきたが、ついにユニフォームにも着手することに。デザインはホームユニフォームの黄色をピンク色に置き換えたもので、胸のロゴもピンク色で縁取られている。

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 2020年にはソフトバンクホークス15周年を記念した「=HAWKS(イコールホークス) 15thユニフォーム」が登場予定。黒地にグレーのストライプのユニフォームが発表されている。

 鷹の祭典でもそれ以外のイベントでもかまわないが、一度でいいから現行のホームユニフォームから大きく逸脱したデザインも見てみたい気がする。テンプレートを取り払い、自由に羽ばたくのも悪くない。

【福岡ソフトバンクホークス③につづく】

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