【海晶乙女解説番外編】アクアエンジェル雑感【遊戯王】

 はじめまして、ToByと申します。今緊急でnote書いてます。挨拶もそこそこにちゃちゃっと本題に移ろうと思います。
 緊急故画像等ほぼ省略、省エネで書いていきますのでその点御了承ください。


《トリックスター・アクアエンジェル》発表

 久々に海晶乙女界隈を賑わせた大ニュースですね。
 なんのこっちゃと言う方もいらっしゃるかも知れませんが、このカードなんと「このカード名はルール上「マリンセス」カードとしても扱う」と書いてあるんです。つまりマリンセス新規なんですね。アツいぜ……!
 待望の新規《トリックスター・アクアエンジェル》の効果を簡略化して載せておきます。正確に知りたいという方は遊戯王OCG公式X(旧Twitter)へどうぞ。

・水属性
・レベル4
・天使族
・(効果外テキスト)このカード名はマリンセスカードとしても扱う
・①デュエル中1度、場にトリックスターかマリンセスがいれば手札か墓地から特殊召喚可能
・②このカードがリンク先に存在するリンクモンスターは戦闘破壊されない
・③デュエル中1度、リンク素材として墓地に送られたら相手の手札と伏せを全て確認できる

強み・評価点

 まずなんと言っても①。マリンセスモンスターとしては最も緩い条件で自己SS可能です。もちろん水属性だし、レベルも4。完璧です。種族こそサイバースではないですが、ぶっちゃけ《スプラッシュメイジ》以外に活用することないのでどうでもいい問題ないですね。
 マリンセスというテーマの持ち得る手数がひとつ増えたというだけで喜ばしいですが、その条件の緩さからエクシーズ展開への応用や誘発ケアなどへの応用もしやすそうです。非常にグッド。
 ただし非常に大きな欠点がひとつあります。ですがこれは後ほどまとめて語ろうと思います。とりあえず今は「めっちゃつえーこと書いてあるぜ!」という認識でいいと思います。

 ②はまあマリンセスで活用する機会はほぼ無いでしょうね。《海晶乙女波動》発動のためにマリンセスリンクモンスターを維持したい場面自体は多いので、覚えておく必要はありそう。ついてて損はない効果ですが、メインターゲットはトリックスター側かな。

 問題の③です。恐らく遊戯王全体で見た時最も注目される効果でしょう。手札を覗くのみならず、セットカードまで確認できます。"オマケ"としてこの効果がつくのは相当珍しいでしょう。ともすれば初かもしれませんね。
 さて、この効果単体で見るとアドバンテージを稼がないし評価に悩む方もいるかもしれません。結論から言うと、めっちゃ強いです。あるいは偉い。所謂「情報アドバンテージ」を大きく稼いでくれる効果ですね。
 この情報アドバンテージを稼いでくれるという能力は、比較的少ない妨害量で相手ターンを凌いで戦うマリンセスというデッキの性質と非常にマッチしていると言えます。

 総じて、非常に有望な下級マリンセスです。間違いなく採用される(或いは候補の最前列に並ぶ)カードになるでしょう。ですが、3枚確定のカードかと言うと、個人的には疑問が残るカードでもあります。その理由を説明するために、まずは後回しにしていたこのカードの弱みについて見ていきましょう。

弱み、問題点

 みなさん、先程まとめた《トリックスター・アクアエンジェル》の効果をもう一度読んでいただきたい。このカード最大の問題点、それは

①の効果にデュエル中1度の制限があること

これに尽きます。墓地からはともかく、手札からは毎ターン特殊召喚させてくれや……。
 これを読んでくれている方の中には「言うても現代遊戯王、1ターン目の出力が高いなら十分じゃない?」とお思いの方もいらっしゃるかも知れません。それも正しいと思います。実際に最初の1ターンに出せる出力として、(マリンセスというテーマ基準では)文句なしのハイスペックカードです。
 ではなぜ、まだ使ってすらいないのに弱みだと断言しているのか。
 それは、マリンセスというデッキのコンセプトに合っていないからです

 あんま詳しく書くと長くなりすぎちゃう(実際に書いてみたけど長いし話逸れる)ので簡単にまとめますが、マリンセスの目指す場所は"3ターン目(MD内表記でTurn3のこと。自分の2ターン目)まで生き延びること"です。何故ならば、3ターン目の出力が非常に高いからですね。
 《海晶乙女コーラルトライアングル》の②効果によるトチ狂った展開力と、循環させやすいリソースで3ターン目から先の勝負を有利に運んでいくというのが、マリンセスの典型的な勝ちパターンです。
 しかしこの《トリックスター・アクアエンジェル》。1ターン目に展開に使った場合、3ターン目以降はうんともすんとも言ってくれません。【海晶乙女】というデッキは中〜長期戦を望んでいるのに、このカードの"デュエル中1度"という制約は短期戦向けのデザインなんですよね。
 もちろん通常召喚できるマリンセス下級というだけで最低限の役割は持てますが、《海晶乙女シーホース》や《海晶乙女スプリンガール》のように繰り返し特殊召喚が可能な下級と比較した際に明確に劣る点だと言えるでしょう。

 特に問題になりそうなのが手札と墓地に下級マリンセスが《トリックスター・アクアエンジェル》しかいない場合で、例えば《海晶乙女シーホース》や《海晶乙女スプリンガール》ならリンク4まで到達できるところなのですが、このカードはリンク3までしか伸ばせません。
 これの何が問題なのかというと、「3ターン目に《海晶乙女コーラルトライアングル》②効果で相手の妨害を踏む」というプレイの価値が大きく落ちてしまう点にあります。

 マリンセスが相手の1ターン目(Turn2)に意識することはまず「そのターン中に死なないこと」。これがメインクエストです。まあ、ここまではマリンセスに限った話ではないわけですが。ではサブクエストは何かと言うと、「盤面を返された上で2妨害以上残されないこと」なんです。
 要するに《海晶乙女コーラルトライアングル》の②効果と1ターン目に展開に使った下級を使ったリンク4展開の2手が、マリンセスというデッキの3ターン目の最低保証です。そのため、少なくともどちらかは通せるように、相手の盤面に残った妨害は1妨害以下にとどめられると楽なわけですね。
 「リンク3とリンク4で何がそんなに違うの?」という話にもお答えしておきましょう。簡単なことで、リンク4が作れるなら《世壊龍ジーランティス》が候補に上がります。実際に使うかはともかく、リンク3とリンク4で取れる選択肢に大きな差があることはご理解いただけたのではないでしょうか。

 結局長々書いてますが、一言でまとめたものが「特殊召喚効果にデュエル中1度の制約がついているの、長期戦狙いのマリンセスのコンセプトに合ってない」になるんですよね。

総評

 《トリックスター・アクアエンジェル》についてアレコレ書きましたが、結論としては強いですこのカード。ほぼ間違いなく採用されるカードになるでしょう。

 先程は噛み合いの悪さを説明しましたが、噛み合いの良さもしっかり持っています。それこそが③のピーピングです。
 前述の通り3ターン目まで生き延びることを至上命題に掲げるマリンセスですが、その制圧力は決して高いとは言えません。テーマ内の妨害は《海晶乙女波動》の1妨害が基本、初動の質と量次第で《海晶乙女アクア・アルゴノート》の魔法罠無効が付くくらいで、後は汎用カードや手札誘発に頼っています。「相手の動きを片っ端から止めて勝つ」みたいな芸当とは程遠いデッキなんです。
 こういう妨害の細いデッキで重要なのは、相手のデッキの動きを正確に把握し、相手の手札の枚数と内容を把握し、非公開領域の情報を推測する力です。つまり相手の手札に何が残っているのか常に予想し推測し続けながら、どの妨害をどこに当てるか考える力が要求されるわけです。
 ところが、《トリックスター・アクアエンジェル》をリンク素材に使えば、相手の初手5枚は全て完璧に把握した状態でスタートが切れてしまいます。未確定なのは相手のターンドロー1枚のみ。これならば妨害の当て先は格段に決めやすくなりますし、相手の手札誘発を確認したならばある程度ケアして展開できる余地もあります。

 総じて、3ターン目を迎えるために強力に手助けをしてくれる一方で3ターン目以降の仕事は持てないという絶妙なバランスの《トリックスター・アクアエンジェル》。全世界5000兆人の海晶乙女使い達がこのカードの採用枚数を1〜3枚で上下させ頭を悩ませる日々が続くことになるでしょう。
 ちなみに、記事公開時点での私の考えとしては1枚採用が良さそうだと思っています。2枚目の仕事量が《海晶乙女バシランリマ》以下なの流石に弱そうに見えるなあ。

 2024年のOCGは水属性強化の年になる、なんて噂も聞きます。或いは貴方がこの文を読んでいる時点で更なるマリンセス新規(大枠で水属性新規のこと)が発表されているかも知れません。
 久しぶりに構築に悩む余地を産み出すだけの影響力がある新規を貰ったマリンセス。属性強化の波に乗ることはできるのか? マリンセスの明日はどっちだ。

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