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痒くて痛くて苦しい夏が辛い

小さい頃、ウナコーワが大嫌いだった。これは特定の商品がどうと言う話ではなく、蚊に刺された跡に塗ると強烈にシミて痛いものの代名詞としてのウナコーワだ。我が家には塗るキンカンは無かったのだが、もし塗るキンカンがあればそれが嫌いなものになっていただろう。私が小さい頃、田舎の薬局で買える痒み止めは液体のウナコーワか、チューブ入りのクリーム状のムヒぐらいなものだった。
ムヒはシミないのだが、私にとっては全く痒みが止まらないものだったので、塗る度に「ギャインッ」と踏みつけられた猫のような声が出ようとも、頑張ってウナコーワを塗っていた。一瞬だけ我慢すれば痒み止めの効果は抜群だったので、ギャーギャー言いながらも愛用していた。

大人になり、北国から東京に出てきて、さらに痒み止めが必携になった。
東京の蚊は強い。刺されると毎回大きく腫れ、水脹れができることも珍しくない。
神奈川に引っ越してからもそれはもちろん変わらず、友達に聞いてまわって効果が最強だという意見が最も多かった液体ムヒのムヒアルファEXをここ数年は愛用している。この商品のシミっぷりと効きっぷりにより、私の中での「ムヒは刺激が少ないが痒みが止まらないからボツ」という幼少期のネガティブイメージは一気に払拭された。

毎年周りの誰よりも早く蚊に刺され始め、そして秋になってもダラダラと蚊に刺され続けている私は、とにかく刺されやすい体質らしく、しかも刺されると反応が凄まじく、おそらくその手のアレルギーなんだろうなと思うような有様のため、痒み止めは常にスタンバイしている。年間使用量は一夏で大体液体ムヒアルファEXを1本と3分の2程度である。

つまり、私の蚊に刺されシーズンが終わる頃にはどうしても若干の薬剤が残ってしまう。それは来年の春の蚊に刺され初めの日に使われることになるのだが。

今年ついに気がついてしまった。
ムヒでもウナでも他の何でも痒み止めでもそうでなくても、薬には使用期限と言うものがあり、推奨される使用期間というものがある。
公式サイトなどを調べると、大体開封してしまったら6ヶ月以内に使い切ることが推奨されているのだ。

さて、なぜこれに今気がついたかといえば、つい先日、昨シーズンの使い残りの愛用ムヒがなくなり、新しいものを買って使った時の体感が凄まじかったのだ。
効く。新しいムヒ、抜群に効く。何か新処方になっているわけではなく、古いものと比べて格段にかゆみを止める効果に差を感じたのだ。
ちなみに商品に記載された使用期限というものは、まだまだ余裕がある状態なのだが、それでもやはりメーカー推奨の「開封後はお早めに」というのは本当だったのである。スースーする清涼感も開封直後のものは全く違う。私は今もこれを書きながら蚊に刺され跡の水脹れが破れた部分にギャンと思いながら液体を塗り、さらに扇風機の風に幹部を当てて強烈にスースーしている。すばらしいスースー感。

ちなみにこの液体塗り薬はあせもにも良いらしく、すぐに自分の汗で肌がかぶれてしまう私は蚊に刺されていなくてもこの薬に用事がある。
全身に塗るためのムヒっていうものが開発されたらきっと毎日塗るだろうな。

それに似たような商品は実は既に存在していて、こちらもこの商品が発売されて以来、毎年夏に1本使い切っている。

お風呂の最後に全身に塗って、シャワーで流すだけで、全身が冷え冷えになるという優れものだ。もちろん夏のシャワーの締めは冷水を浴びまくっている私なのだが、そこにこのシャワー用塗り薬(薬ではないのだけれど)を使って、ギャンギャンに体を冷やしている。
出かける前はお風呂上がりに扇風機の風を全身に当てればさらに体はグイングインと冷える。

女性は体を冷やしてはいけないだとか、冷えは万病の元だとか、いろんな説があるのだが、私は全部無視している。もちろんそれらの説を素直に受け止め温活なるものを試したこともあった。しかし体温が上がるとすこぶる体調が悪くなるのである。そして体が冷えている時が最も体調が良いことに気がついた。超絶に元気な冬は体温は34℃台で、電子体温計は「あなたは生きてますか?」と言いたげにエラー表示になる。
生まれつき、平熱が35.0℃から35.3℃のあたりをうろうろしている私は、なんかもう別の星から間違えてポロッと落ちてきて仕方なく人間の皮をかぶって生きているんじゃなかろうかというスペックだ。

暑いのが苦手で蚊に刺されやすく、自分の汗にかぶれ、さらに紫外線に当たりすぎると全身の関節が痛んで高熱にうなされるという私は、湘南地域に住みながら海の家なんぞ無縁の暮らしをしている。生き延びるために、夏は極力日が落ちてから出歩くように気をつけているし、なんだったら夜も暑いので、出なくて済ませられるものなら家から出ない。
花火も混んでて暑い外で蚊に刺されまくりながら見なくとも、ちらっとなら家の窓からでも見えるので、それで十分である。

誰かどこかの偉い学者さんが「温活は体質的に合わない人もいるので、必ずしも体を温めればいいってもんじゃない」と証明してくれないかしら。冷え冷え星から落ちてきたDNAも市民権を得たいのです。

夏を乗り越えたい。私に早く秋をください。

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