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朝井まかて  ボタニカ 

 本当に才能のある人は凡人ではない。道楽と学究は紙一重でもある。才能を本当に表すためには一般常識社会の中でしかできないので、いくら天才でも普通の現実社会の中で折り合いをつけて暮らしていかなければならない。彼をそうさせなかったのは幼少期では祖母様、東京に出てからは壽衞さんがいたからだろう。子供の時から学校までも辞めて、好きなことを好きなようにやって死んでいく。普通の人なら苦労が多すぎて諦めてしまうようなことも苦労とは思わず、ひたすら続けていくことができるのも一つの能力だ。学問を究める能力と精神力も、時には凡人には傍迷惑な話になってしまう。時々に理解者がいて本当に良かった。
 学者としては宝、隣人にとっては傍迷惑と言われても仕方ないが、なんとかそこを乗り切って後世に名を残した点では、人間的にも優れていた点はたくさんあったのだと思う。その辺は想像でしかない。小説だからいいよね。

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