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緊張の夏

とうとうオリンピックが始まってしまった。コロナ禍であっても、どんなに不祥事が起きても、担当者がやめても、絶対に止まらない乗り物に乗っているみたいに毎日は過ぎていく。オリンピックの祝祭ワールドとコロナ感染医療ひっ迫ワールドが同時進行していて、両方のニュースを伝えるアナウンサーがその都度表情を変えるように、わたしも気持ちのやり場をあっちへもっていったりこっちへもっていったりする。

正直きつい。

オリンピックの選手ががんばる姿を見るのはほんのひととき嫌なことを忘れさせてくれるけれど、もしもこの世界中から集まった選手たちや関係者たちがそれぞれの国に帰って感染を広げてしまったら、新しい変異株ができてしまったらと想像したら恐ろしくて身震いする。国内も人の流れは減っているどころか夏休みになってどんどん増えている。緊急事態宣言てなんなのか。

そのせいかは知らないが、血圧が上がった。かかりつけの病院に薬をもらいに行って測ったら血圧が高くてびっくりしてしまった。え、夏って血圧下がるものだよね。普通。自律神経がおかしくなっちゃったのか、手芸やりすぎて血流悪くなったか、不安がつのる。帰宅して「高血圧」という言葉を検索してみたりしている。

そう、不安なのだ。不安不安。パンダの名前みたいだが、不安倍増なのだ。

この頃一番がっかりしたのが、7月28日東京の感染者数が3000を超えた日のこと。国民の誰もが驚いて不安を抱いたその時、首相は何も言わず記者団に背を向けて去って行った。わたしはそれを考えると今でも涙が出そうになる。心の底からがっかりしたのだ。絶望したといってもいい。

感染者数だけでは語れない、とか、専門家の意見を聞いて、とか、正確なデータで、とかはこの際どうでもいい。不安な国民に向かって、何か一言言って欲しかった。翌日には会見もあったけれど、「人流は減っている」の繰り返しでこの不安感を共有してはもらえていないのだと思った。

かかりつけのその病院で子宮頸がんと体がんの検査を受けた。そして、大腸がん検診の予約もして帰った。医療がひっ迫している地域では検診も受けられないのだろうかと思うと申し訳ない気持ちにもなる。

でも明日も生きる。明後日も生きる。100歳まで生きる、つもりなので、とりあえず黒ウーロン茶でも飲もう。絶望上等で。

覚書:東京都と沖縄県に出ていた緊急事態宣言は8月31日まで延長。首都圏の埼玉県、千葉県、神奈川県と大阪府も8月2日から追加。北海道、石川県、京都府、兵庫県、福岡県の5道府県はまん延防止重点措置の対象地域になる。


一週間に一度くらいの頻度で記事をアップできればと思っています。どうぞよろしくお願いします。