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ともちゃんと5つの種③

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目の前に現れたまばゆい光と
その中から聞こえた
「お前の願いを叶えにきたよ」という
優しい声に向かって

ともちゃんは

「あなたは……誰ですか?」と
おずおずと聞いてみました。

その声の主は
「ただ、お前をいつも見守っている者だよ」
そう言ったのですが

「でも、こんな凄いことができるなんて
 あなたはきっと、魔法使いなんですね
 凄い魔法使い、そう、偉大な魔法使い…」
そう興奮気味に言うともちゃんの言葉を聞いて
 
「お前がそう思うなら
 きっと、私という存在は
 お前にとって「魔法使い」という名の
 存在になるのだろう…」と言いました。

そして、ともちゃんは少し戸惑いながら

「それで、あの……偉大な魔法使いさま
 あなたは、先ほど私の願いを叶えにきたと言っていましたが
 それは……私の、お友達がほしい、という願いを
 叶えてにきてくれたのでしょうか?」

そう尋ねました。

魔法使いは静かに頷き

「そうだ
 一人でいることに涙していた
 お前のその願いを叶えにきた」

そう言いました。

「私にお友達をくれるんですか?
 ……でも、どうやって???」

ともちゃんが不思議そうにしていると

魔法使いは
「手のひらをお出し」
そう言って、ともちゃんの差し出した手のひらに
 
 
5粒の小さな種を乗せました。
 
「この種を一粒ずつ植えるといい
 
 この種から芽が出た時
 そこには
 お前の求める友がいるだろう
 
 そして
 お前の求める友が集い始めるだろう…」 
  
そう言いました。
 
 
「でも、芽が出なかったら?」
 
 
ともちゃんがそう尋ねると
 
「芽が出ないかもしれない
 ということを恐れていてはいけない
 
 そして、
 この種を植えるか植えないかを決めるのは
 
 お前自身だよ……」
 
魔法使いがそう言うと
ともちゃんの目の前で
今までまぶしく光っていた光の玉が
段々と小さくなり始めました

 
「あ、あ
 偉大な魔法使いさま、行かないでください!
 私はどうしたらいいのか教えてください!!」
 
 
そして、
もう完全に光がなくなりそうな
その時に
 
 
「私は、お前がどんな選択をしても
 いつもお前を見守っているよ…」
 
 
そう言って
ともちゃんの前から消え去りました。
 
 
 
魔法使いがともちゃんの目の前から
消え去ったあとも
ともちゃんはしばらくの間
魔法使いがいたその場を見続けていました 
  
 
 
そして、   
 
 
「植えるか、植えないかを決めるのは
 私自身……」
 
 
そう言って 
ともちゃんは魔法使いからもらった
手のひらの5粒の種を両手でギュッと握りしめました。
 
  
 
そして翌朝、
ともちゃんは1粒の種を
自分の家の庭に埋めたのでした。
 
 
 
つづく

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