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フィチーノ 恋の形而上学 第13章の続き

「このような音楽についての理念は、我々の魂にすでにずっと以前から与えられていたのであり、だからこそ音楽の起源は天上にあり、

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調和というものは、天上にこそふさわしいものだと考えて、その天上の調和を様々な楽器や歌でまねしてきたのである。」


当時yukaちゃんに、彼女は一人ぼっちで嫁がれますからどうかsakinoさん、ご衣装つくってさしあげてと言ってもらいました。
後輩の彼女の心ある頼みを引き受けてシーズンが始まりました。

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表情に変化の付けられるヴィオネ風のドレーピングパターンの、マドレーヌというドレスを一年をかけておつくりしました。失われた時を求めてのマドレーヌ。確か昨日プルーストの誕生日だとか見かけた気がします。

写真はこの春yukaちゃんが、マリさんの亡くなった時に贈ってくれた、mariという名前のジャスミンティー。お湯で時間の戻りお茶に浮かぶこのジャスミンの花は、八重九重の雲のイメージなのだそうです。

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紅茶葉って..凝縮された時間のようで、現在は天上にあって過去となった存在が、異質な存在に出会って瞬時に甦るような、長い記憶を内包しているように思えます。
このシーズンのこのドレスからデザイナー志望の後輩たちにパターンづくりを伝え始めました。


ドレスの出来上がった、冬の頃だった記憶ですが花嫁が、花嫁衣装のためにお婆ちゃんが残してくれていたお金が見つかったんです、と教えて下さいました。きっとお引っ越しのために整理をされてらしたのかと思います。

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そのお金で、肩にリボンの羽根の生えたお色直しのピンクのドレスを急きょご用意することになりました。マスターしたドレープパターンを駆使して後輩がデザインをして完成しました。
翌年、デザイナーとなった二人はアトリエに飛び立ちました。

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七重八重九重とこそ思いしに十重咲き出づる萩の花かな

花嫁さんは花にたとえると萩の花のような方でした。
もしかしたら天国で私の父がお祖母様に、ここに行くと花嫁衣装を用意してくれるよと耳打ちをして、ご縁が繋がったのかもしれませんね?と彼女とお話したことがありました。

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