見出し画像

New world

新しい地に移るということは、
それまでいた地ににさよならをするということ。

想い出をそこに残して、
慣れ親しんだ景色や音や匂いと別れ、
まだ知らない、何もまだ自分のものではないものの中へと入っていく。

そこが故郷と思えるまで、どれほどの年月が必要だろう。

住んでいる間は一度も故郷と思えなかった地も
離れる時になって初めて、
そこに自分の体がいつの間にか馴染んでいたことに気づく。

それは土地や街に関してだけではない。

慣れ親しんだ古い自分にさよならすると決めた時にも、
まったく同じものを感じる。

どれほど苦しい想い出ばかりだろうと、
辛く、嫌な気持ちばかりだったろうと、
間違ってばかりで、失敗だらけで、泣いてばかりで、そんな自分を嫌っていたとしても、

その自分と別れると思った時には、懐かしく、寂しく、愛おしくさえ感じるものだ。

一緒に苦しんできた自分に、これまでありがとう、傷つけてばかりいてごめんと告げ、
真っ白な、まだ何も描かれていない自分の図面の前に立つ。

そのまだ白紙の人生図に、自由に描いていっていいのだと、どんなことを描いてもいいのだと自分に言う。

目を閉じて、ひとつずつ、本当に自分の欲しいものを見つけていく作業をする。最初に何も邪魔をするものがなかったら、自分はいったいどんなものを求めていただろうと。

それが、本来あるべき姿の、あなたの魂が求めるもの。あなたが手にしてもいいもの。あなたが手にするべきもの。

一枚目の人生は、誰かに決められたもの。

いつまでも、それが唯一の自分の人生図だと信じているのをやめて、二枚目の紙を出し、今度は自分の自由に描いていこう。

古い人生で、あなたはいろいろなことを学び、強くなった。

その時代は、あなたという人間に、人並み外れた面白みと、深みと、見る目を与えてくれた。

いいことばかりで順調に人生を生きている人たちのことは放っておきなさい。

人は、みな、違う。

人生も、みな、違う。

比べることには何の意味もない。

あなたは、あなたがいかにあなたの人生を生きるかだけを、考えればいい。

人より恵まれていない、と与えられたものをしばらく嘆いたら、そろそろ時間を無駄にするのはやめて、自分の人生という山を、これから登って行くと決めた方がいい。

なぜなら、あなたの目の前には、無数の可能性が、広がっているのだから。

それを手に入れるのは、あなたが、歩いていこうと決めるだけでいい。

慣れ親しんだものすべてにさよならをして、真っ白な未知の世界に足を踏み入れる。

大丈夫、あなたが歩き出せば道は自ずと現れる。景色は次第に晴れて行く。行きたい場所もわかってくる。

もちろん時間はかかる。あなたが古い自分で生きてきた時に持っていたものを、ひとつずつ捨て、新しいものをひとつ手に入れて行く。

残っている古い自分が手に入れたものが、自分が変わって行くとともに、合わなくなって、それを手放して行く。

いっぺんにすべては変わらない。色がグラデーションをつけながらだんだんと色を変えて行くように、少しずつ変わっていく。

あなたの身体の血液と細胞が、新しく入れ替わるごとに、あなたの思いも生まれ変わっていく。

それは素晴らしい感覚。

体験した人だけにわかる、魂の再生。


今、新しい地へと。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?