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運転は自分で教えられる

これは海外に住む人ならなんら驚くことではないかもしれません。アメリカに住んで2年たった頃、15歳の娘のお友達がどんどん車を運転し始めました。運転に興味がある子とそうでもない子に分かれますが意外や意外、娘は積極的。夫と相談して教えてみることになりました。

思い起こせば先にごきげんパパ♡が着任して私が幼い子たちを連れて飛行機に乗ったとき、引越しでヘトヘトなのにアメリカの運転免許の筆記試験の問題集のファックスを持たされて機内で猛勉強したことがあります。そして空港に降り立つや否や、ごきげんパパ♡の運転で免許試験場へ直行。初めての異国の地に降り立った感動も何もありません。家族の世話なんてしてる間がないから早く自立してくれ!と言わんばかり。こんなスパルタな人、他にいます?子どもをあやしながら英語で交通ルールを頭に叩き込む。若かったからこそできた芸当です。

そうして左ハンドルにも慣れて生活の足を確保して随分子どもたちを乗せていろんなところに行きました。何しろ徒歩圏には民家しかないのでスーパーははもちろん、幼稚園、学校、習い事すべて自分で運転しないと行けるところがないのですから。でもまさか赤ん坊だった子に運転を教えるようになるとは…

車は私が乗っていた黒のベンツ。15歳にしてベンツのハンドルを握って広い駐車場でエンジンの掛け方から夫が指導します。あ、動いた!自転車やスキーを初めて教えた時を思い出しました。補助輪なしの自転車に乗れるように教えるのより簡単です。それでも30分ほどしてすっかり神経をすり減らしたごきげんパパ♡は「3週間くらいはこの駐車場の中だけで練習だよ」と言い渡しました。

翌日はごきげんパパ♡は会社に行ってしまったのでいよいよごきげんママ♡の出番です。またその教会の駐車場まで行って初めて助手席に座りました。進む、止まる、曲がる。うんオッケー。今度はバックも練習してみます。もちろんカメラで後ろの様子が映ってガイドもしてくれるのですぐにできるようになりました。

日本では18歳から運転免許しか免許をとれないので、まさか15歳で車を運転するなんて、中学生が運転できるなんて思いませんでしたが、そんなことは全くありませんでした。日頃ごきげんママ♡の隣でナビをしてくれていた娘は外に出てもすぐに流れに乗ることができました。そう、二日目にして公道に出ていつものスーパーまで行ったのです。

ある程度乗れるようになってから試験場に自分の車を持ち込んで実地運転のテストを受けるのがアメリカ式です。教習車などありません。コンピューターの筆記試験も終えてスチューデントドライバーの免許をもらった時の輝くような笑顔。大人の階段を一つ上ったようです。

日に日に走行距離を伸ばしてルンルンで運転する娘に最初は体を固くして助手席に乗っていたごきげんママ♡も次第にリラックスできるようになっていきました。とても安全な運転です。しかも車線変更もスムーズで確実、危険がありません。いつのまにか高速道路を運転してこれでアメリカ大陸どこへでも行ける、というくらいになりました。道が広くてぶつかりたくてもぶつかるものがないくらいです。問題はほかの車に気を付けること。毎日近所で大小の交通事故が発生してましたから今こうして無事でいられるのも幸運な話です。

残念なことに娘は16歳になったところで日本に帰ってきたので本免許には数週間足りませんでした。普通に受験勉強して普通に大学生となって普通に近所の教習所にかよっています。今、大学はまだ開いていないせいか、教習所はいっぱい。人気のところは入所までに二か月待ちで別の古い建物のところを選びましたが特に実地の授業がなかなか空きが出ない状況のようです。車のないごきげんママ♡一家ですから急いで免許取らなくてもいいよねってのんびりしています。あーアメリカはおおらかでした。

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