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中村佑介さんのこと

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先日、ラジオを聴いていたら思いがけず中村佑介さんの超レア画集が当たった話を書いたが、お礼の気持ちを込めて描いてみたのがこちらの絵だ。

さて、今回は私が中村さんのファンになった経緯について書いていきたい。ただのオタク語りなので、読んでも得しないこと請け合いだが、中村さんのファンや、(いるかわからないが)このマリィのファンなら、もしかしたら面白がっていただけるかもしれない。

最初の出会い

中村さんについて、覚えている限り一番古い記憶は、高校生の頃。新聞の夕刊の文化欄に中村さんの特集が載っていたり、本屋さんでも表紙の絵として見かけたりしていた。それで認識したのが最初だった。自分の周りの絵を描く子たちの間で、好きなイラストレーターに「中村佑介」を挙げる子も何人かいた。

だが、当時の自分は『逆転裁判』『ゼルダの伝説』『スーパーマリオギャラクシー』などのゲームに夢中で、ゲームのキャラクターイラストにばかり興味があったので、中村さんのことは名前と絵の雰囲気を知っているくらいだった。(なお、のちに中村さんがゲームがお好きでゲーム業界への就職を目指して大阪芸大に進学したと知り、勝手に親近感を感じた。)

イラスト講座に出会う

時は流れ大学生となり、Twitterにハマった私は、中村さんが行なっているイラスト講座に出会った。その講座は、イラストが趣味の人や、イラストを仕事にすることに興味を持っている人たちに向けて、不定期で開催されていた。中村さんはプロとしての視点で、アマチュアである受講生たちの描いたイラストを講評していく。それぞれの作品の上手く描けている点を見つけ出しつつ、物足りない点にはその理由と具体的な改善の例を示し、論理的でありつつもわかりやすく丁寧な言葉で説明していく。

高校で絵を描いていた延長で、大学でも美術サークルに所属して絵を描いていた私は、その講座をきっかけに中村さんに興味を持った。特定の画材の「塗り方」の本や、人物や服などのテーマ別の「描き方」本はたくさん見たことがあっても、「構図」「見せ方」「見る人への印象」について意識させられたのは、この講座が初めてだった。

映画にハマり、キャラにもハマる。

その後さらに時は流れ、2017年にアニメーション映画『夜は短し歩けよ乙女』、関連作品の『四畳半神話大系』を観て、一気に中村作品に魅了された(ついでに湯浅政明作品にも!)。

当時私は、社会人としての日々に対して色々な悩みを抱えて人生に迷っていたのだが、素敵なものや興味を持ったものをどこまでも追いかけていく、可愛いけれどマイペースで変わり者な「黒髪の乙女」、薔薇色のキャンパスライフを夢見ながらも上手くいかず大学生活をリセットし続ける冴えない「私」など、中村さんがデザイン原案を手がけた「どこにもいないのにどこかで会えそうな人達」を見て、ある時は自分を重ね合わせ、ある時は憧れた。

大阪まで個展を観に行く×2

そして、折よくちょうどその年に大阪で開催された、中村さんの初めての大規模な個展に、私は関東からわざわざ新幹線で2度も足を運んだ。1度目の来場で物販を購入した際にサイン会の整理券をもらうことができ、当然遠方であるため行くかどうか迷いはしたが、「短時間の用事のためだけに高い新幹線代を払うよりも、新幹線代を惜しんでご本人にお会いするチャンスをフイにする方がバカだ」と思ったのだ。

ご本人に会うことができるまたとない機会だからと、ファンになるまでの経緯や作品のどんなところが好きか、中村さんと同じ時代に生きられることをどれだけ幸運に思っているかなどを便箋3枚に渡って長々と書きつづり、封筒には展覧会のメイン作品のひとつに登場する少女を私なりの絵で描いて、ファンレターとしてお渡しした。

神対応中村さん

サイン会会場の部屋に入ってファンレターを渡すと、中村さんはそこに書いた県名を見て、私が関西以外の遠くの地方から来たことを気づかってくださった。そしてなんと、せっかくそんなに遠くから来てもらったのだからということで、まだ始まっていない会期後半から発売予定のグッズをご好意でくださった。その後は握手までしていただき、感激で胸をいっぱいにして帰路に着いた。

終わりに

長くなってしまったが、以上が私が中村佑介さんのファンになるまでの経緯と、ファンになってから(の奇行)の記録である。これからも中村さんのお仕事を楽しみにしつつ応援のためお金も払いつつ、絵を描く者の端くれとして中村さんからいただいた教えや優しさを胸に、自分なりに絵に取り組んでいきたい。


余談(読まなくていいです)

中村さんと握手していただいた際に、自分の手の冷たさに我ながら引いた。冷たくてスミマセン…という気持ちになっていた。その後は起こった事実を受け止めるのに脳の処理が追いつかず、理性を失って叫ぶばかりの狂人と化していた。付き添いの大学時代の先輩がいてくれてよかった。

さらに、その先輩から聞いて、中村さんがスペシャルカバーを手がけた『アドベンチャータイム マーセリン&スクリームクイーンズ』のお仕事をしたのが、私の大学の同期であると知り、奇妙な縁を感じた。(※現在は入手困難、私はこの事実を知って急いで買った。)

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