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JAPAN⇄CANADA 2-1

今回からサムネイルのイラストが変わります。理由としては、単純に第2章に入ったからなんですけどね。

このイラストの風景は、カルガリーにあるNose Hill (ノーズヒル)という丘を麓から見たものです。家から5分もない所にあってほぼ毎日見ていた景色です。大学に通っている間、ノーズヒルの入り口付近にあるバスの停留所から乗車して学校に向かっていました。冬場になると足元に雪がある中バス停に向かっていました。夏には丘全体が緑になってたくさんの人がウォーキングやランニングをしています。運が良ければ鹿やコヨーテも見ることができます。

イラストの制作年は2017年です。もう2年前なんですが、なかなか気に入っている作品です。カルガリーの秋はあっという間に過ぎていくのですが、運良く丁度その時期に描いたものなので、なかなか貴重な景色かもしれません。カナダは9月が年度の始まりなので、秋の景色を見ると新鮮な気持ちになります。また1年が始まったんだなと思います。葉の色も黄色や赤色に変わり、新しい景色を見せてくれます。だから、秋は始まりに対する期待と不安が入り混じった感情にぴったりの季節です。

というわけで、 このエッセイも場所が日本からカナダになったので、今回から第2章としてスタートします。

カナダに着いてからすぐにやってきたのがまみーの誕生日でした。午前中からいとこ家族がやってきて、みんなで、獲ったとうもろこしの皮を剥きました。小さい時から、カナダに遊びに来るたびにとうもろこしの皮剥きをしていました。この作業が私は大好きでした。この時はなんとなく気だるくてやる気がありませんでしたが、気が紛れるには丁度良かったです。2年ぶりにいとこ達に会えたのは嬉しかったし、一緒に話したり、作業をするのは楽しかったです。でもやっぱりふと引っ越したという事を思い出すと悲しくて泣いていました。1時間おきにネットで日本の情報を読んだり、友達にメールを送ったりしていました。

夕方になり、いよいよまみーの誕生日パーティーの始まりです。外のデッキにご飯を持っていき、みんなで夜ご飯を食べました。カナダの典型的な夕食は一人一人お皿を取って、食べたいものを自分で好きなだけのせて食べるビュッフェスタイルの食事です。特に大勢で集まるとそういう風に食べるのが当たり前でした。私はこの日ほんとに少しの量しかお皿に乗せなかったので、それだけでいいの?と叔母さんやいとこ達に言われたのを覚えています。

みんなご飯を食べ終わった頃、まみーの誕生日ケーキを外に持ってきて、ろうそくを刺してみんなバースデーソングを歌いました。ただ、私は歌いませんでした。些細な反抗心からまみーの誕生日を祝うことが嫌だったのです。小さい時から手作りのバースデーカードを書(描)いて渡しているのですが、この年はカードも書きませんでした。引っ越して間もないのにこんな呑気に誕生日なんか祝うなよなと思ってしまったのです。みんながおめでとうとお祝いするなか、私はおめでとうと声を掛けることすらしませんでした。

夜の記憶は全然ありません。ただ、この日、1日の終わりを迎えようとした頃、
「誕生日おめでとう」
を言わなかったことに少しずつ後悔が募っていくのを感じました。なんで私は素直をなれなかったんだろう。なんで素直にお祝いしてあげられないんだろう。そんな感情に押し潰されながらずっとまみーの姿を思い浮かんでいました。

次の日、まみーとだでぃーは車を借りて、カルガリーに向かいました。目的はこれから私たちが住むための家を探すためです。用は物件探しの旅に出たわけです。数日間は居ないから、その間きょうだい3人でお留守番でした。留守番といってもグランパ(おじいちゃん)とグランマ(おばあちゃん)の家にお世話になっていたので留守番という感じでもなかったのですが。少しの間だけでしたが、親に合わないのは不思議な気分でもあったと同時になんとなく嬉しかった気持ちもありました。ただ、もしこのまま家が見つからずにずっと帰ってこなかったら私たちはどうなるんだろうという不安もありました。

もしこのまま家も見つからずに住む場所も決まらなかったら、私たちの生活はどうなるんだろう。学校は?進路は?全てが未定で、不確かな現状が怖くもありました。

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