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JAPAN⇄CANADA 1-7

8月後半に差し掛かり引っ越しもいよいよという頃、私はまみーと話をすることにしました。やっぱりどうしてもカナダに行かなきゃいけないのかということを。部活のことや、引っ越しした後の学校の話。日本に残るという選択肢についても。親も私をまみーのお姉さん、私の叔母夫婦のところに預けるかということも話し合ったそうです。でももう遅い、と。私の飛行機のチケットも取ったと告げられました。なんでもっと「預ける」という選択肢があったことを私に伝えなかったのか聞きました。するとまみーは「だってまりいちゃん引っ越しのひの字を出しただけで嫌がるし話を聞こうともしなかったやん」と答えました。私も堪えました。そんなことを言われると思いもせず拒み続けた自分に少し嫌気がさしました。もっとちゃんと向き合うべきだったのか。でももう手遅れです。私はカナダに引っ越すのが決まったんだと。そんなこと思いつつ最後の最後まで拒んだことは言うまでもありません。

この頃私はまだバレエを習っていましたが、まみーに月謝を払う人がいなくなるからやめてご挨拶に行かないかんよと言われました。これもいつか来ると思っていたことではありました。あとで聞いた話ですが、元気になるんならと思いギリギリまで通わせてくれていたそうです。本当に両親には感謝です。引っ越す前の週の土曜日、とうとう私は辞めるためのご挨拶に行くことにしました。先生に御礼の品をもって1人で電車に揺られながら40分程かけて通っていたスタジオへ向かいます。いつもは着替えや髪のセットのために30分ほど前にには着くようにしていましたが、この日は始まるギリギリの時間に行きました。ご挨拶をしてすぐに帰るつもりでいたからです。長くいても悲しくなるだけだと思いました。

到着するやいなや先生は私に笑顔を向けてくれましたが、寂しさが伝わってくるような表情でした。先生は私が辞めることを分かっていたのでついに挨拶に来ちゃったと思ったそうです(というのも妹も習ってたけれど既に辞めていたからです)。私は挨拶をしなきゃと口を開いたのですが、涙が溢れ出し、声もなかなか出せませんでした。なんとか辞めることを伝えたと思うんですがそこら辺の記憶は曖昧です。

レオタードも何も持ってきていなかったのでレッスンを受けずに帰ると伝えると、先生も泣きつかれたし、今日はレッスンしないでみんなでファミレス行こうと提案をされました。他の生徒も外に出れる格好に着替えて車2台で近くのファミレスに8人ほどで押しかけて食べたりお喋りしたりしました。今までの思い出を話したり、先生が私について話したり、ただレッズを受けているだけでは話さないようなことも沢山お話ができてとても楽しかったし、バレエやっててよかったなとその時に改めて思いました。3歳から14年間やってきて、バレエ以外のことも多く学びました。上手くできないことに悔しくて泣いたり、辞めたいって思った時期もあったけれどやっぱり踊ることが大好きで続けてきてよかったって感じました。お話に夢中になっていると時間ってあっという間に過ぎる気がします。はっきりと記憶にはないけれど2時間ほどいたんじゃないかなと思います。

この日、結局そのままお開きになり、私は幼馴染のあっぴーと一緒に先輩お姉さんの車でお家に送ってもらいました。車の中での会話ややりとりは全然覚えていないけれど、もうこうやってスタジオから車で帰ることは一生ないんだろうなって車から夜の空を見ながら考えていたことははっきりと覚えています。

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