スパーズの財務諸表を他クラブと比較しよう(19-20版)
こんにちは!久しぶりに書きます。
ここ数か月は、オーナーやESL問題に揺れる日々が続き、経営のことを見る機会が増えました。ここのクラブのオーナーはこうだけど、あっちのクラブはまったく状況が違うとか色々…
去年も18-19版を書いたので、今回はちょっと他社比較的なことを書きたいなと思ってアップします。
各クラブの財務状況
これを見るにあたって、各クラブの財務数値を集めました。
まず、スパーズには愛があるので、英語のannual reports(財務報告書)を頑張って読みました。
他クラブは、簡単な項目は各クラブのHPで確認しましたが、残りはいつものSwiss Rambleさんを参考にさせていただいています。
(ちなみに↓は、今季のプレミア上位4チームって結局選手にお金かけてる上位4チームじゃん、という内容。)
今回、わかりやすく日本語で「19年度」「20年度」と書いていますが
19年度=18-19シーズン
20年度=19-20シーズンのことです!
20-21シーズン(先週終わったやつ)の分は冬くらいに出るので、まだです。コロナ影響を受けているのは、19-20シーズンですね。
目指せユナイテッド!なスパーズ
では早速見てみましょう。まずはスパーズのみ。
他クラブと並べてみる。
(なんか小さくない??技術がなくて大きく表示できないので、スパーズだけの表を一応最初に入れました。見えなかったら拡大してください。。)
一般的に、企業の財務諸表見るときはここを見るよ!っていうところから見ていきます。(赤いマルをつけたところです)
①売上高
いわゆる収入です。別にこれが高くても収支でマイナスだったら意味ないんだけど、売上がたくさん取れる=企業の規模が大きいってことなので、ビッグクラブかどうかって意味では一番ふさわしい項目かもしれません。
スパーズは461(20年度)、ユナイテッドが509、リバプール490、アーセナル343。これがクラブ規模ですね~。
②EBITDA
読み方がわからない人もいるかと思いますが、「イービットダー」と読みます。
これは、減価償却のマイナス分を除いた税引前利益のことで、フットボールクラブにおいては、簡単に言うと、移籍収支と設備投資(スタジアム建設費など)を除いた本業だけの収支です。
本業だけの収支…というと、
収入は、放映権収入や広告収入、スポンサー収入、ファンへの売上など
費用は、選手含む全スタッフへの給与やクラブ運営費など
になりますね。
一般的に、これは「自力で稼ぐことができるか」を示す大切な指標になります。これが赤字だったら、自分で稼ぐことができない破綻した事業ということになってしまいます。
これを見てみると、スパーズは+106(20年度)。黒字です。自力で稼げてます。
そして、隣でユナイテッドが+132ととても高い数値を出しているのがわかります。コロナがあった19-20シーズンでこの結果であり、18-19シーズンは+186ともっともっと高いですね。
全クラブを見たわけではないのですが、おそらくユナイテッドのこのEBITDAが世界一です。(レアルマドリーがこれよりちょっと低かったはず…)
スパーズはここを目指しているのでしょうね。そして他の2チームを見てみても、確かにここでは健闘していることがわかります。
(健闘しているというか、余裕でスパーズが2位ですね)
③当期純利益
EBITDAとは違って、移籍収支や設備投資等を加えた最終的な収支になります。
見てわかるのは、どのクラブもEBITDAは黒字でちゃんと稼げているのに、ここはマイナスだということです。
つまり、移籍+設備投資で使っているお金は本業の利益が飛ぶくらい莫大ということですね。スパーズは新スタもあるので、設備投資額もえぐいことになってます。
逆に言うと、コロナがない19年度はここもプラスのクラブが多いので、通常時はEBITDAを黒字にするレベルではなくもっともっと稼がないと割に合わない、ということになります。
④選手の給与比率(/売上高)
最近なにかと目にするので入れてみました。
これは高ければ高いほど収支を圧迫するので、当然低い方がいいです。ただ、給与が高騰した世界で、一流選手がそんな低い賃金で頑張ってくれるのかというのも当然ありますので、選手に見合ったお給料にするべきですね。
というか、これはコントロールできないので難しいですが、この選手層だったらこの成績取りたい、っていうところをちゃんと取れないと、収入が下がってどんどんこの比率は上がっていきます。
スパーズはこの規模のクラブの中では異常に低いです!100%誇れることなのかは謎ですけどね。高いよりは良いです。
と、まずここまでで、収益性はいいビジネスをしているのではないか?ということがわかりました。
特に新スタの影響で、MatchDay収入はうなぎのぼりです。コロナが終われば…という希望が持てますね。
カオスな比較
続いて、別のクラブと比較してみます。
さっきと何が違うかわかりますでしょうか。
このあたりは、20年度に関して、チェルシー以外、EBITDAがマイナス=自力で稼げていません。そして、総じて売上高に占める給与比率が高め。
自力で稼げていないのに事業存続するということは、
・移籍収支で儲ける
・銀行から融資を受ける
・オーナーから投資を受ける
のどれかでやっていくしかないわけです。だから、富豪クラブはいいよね!私たちとは違うステージでやってんだもんね!!という話になるわけですね。
ちなみにチェルシーだけ20年度の当期純利益がプラスで、すごい!なんですが、この年は補強禁止で移籍金を使っていない+アザールを100億ちょっとで放出しているので、わりとボーナスタイムかと思われます。(でも自力で稼げてはいます)
スパーズも、セルフ補強禁止だった18-19シーズンは収支世界一でしたねw
まとめ
ここ最近、クラブの運営に話が向きがちなので、財務諸表から見てみました。
私はいつも「スパーズ企業として頑張ってる!優良企業じゃん!」という気づきをシェアしたくてこれを書いてるので、その一端が伝わればいいなと思います。笑
ただ、これはあくまで帳簿上の数字なので、実際に金庫にあるお金はもっとカツカツだと思うし、銀行への借金も多くやり繰りは大変でしょう。
そして、別に優良企業だから勝てなくてもいいという訳ではないと思います。
この素晴らしい経営手腕を発揮してもらいながら、目に見える監督人事や選手の移籍、契約をコントロールし、チームを再建して勝利に導いてほしい…という、わんぱく欲張りセットのサポーター意見を述べて終わりたいと思います。
今回は以上です!
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