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「おせち」を、よりどころにする

家庭というものを守るようになってから、毎年おせちを手作りしています。おせち用の重箱を買ったのは、たしか息子Fが生まれてすぐだったので、かれこれ14年くらいでしょうか。

年末の大掃除を終わらせて、晦日の前日から大晦日にかけての3日間に分けて作ります。まずは黒豆、紅白なます、田作り、松前漬けなど、日持ちするものから。そして、昆布巻き、伊達巻き、西京焼き。煮しめはいつも余ってしまうので、最近は作りません。その代わりに、年末にウツボが手に入ったので蒲焼風にして里芋と重ねてみました。

我が家の一番人気は、何といっても栗きんとん。息子Fの大好物です。私も黒豆と同じくらい好きなおせち料理です。さつまいもはうちの畑で収穫した貴重なもの。というのも、実は秋にイノシシにほぼ全部食べられてしまったのですが、残されたわずかなさつまいもを再び植え直して収穫したものだからです。

さつまいもは、まず焼き芋にします(オーブンで、予熱なしの160度で90分)。そうすると、お砂糖を加えなくても充分な甘さに。そのまま食べたい気持ちを抑えながら、丁寧に裏ごしして滑らかにしていきます。途中で投げ出したくなるほど根気のいる作業。それでも、息子Fのために・・!と奮起して最後まで手を抜かずに続けます。

元旦の朝、出来上がった品々を神聖な気持ちで重箱に盛り付けます。どうか今年も健やかで幸せでありますようにと祈りを込めながら。おせちって、よく見るとそんなに大したことない料理のような気もしますが、家族はなぜか歓声を上げながら美味しく食べてくれて、それが私は嬉しいのです。

なぜ手作りするかと言えば、手と間をかけて作ったものをいただくことが喜びであり、いのちの求めに応えることだからです。「元旦に母のおせちを食べれば、今年も大丈夫。」そんな心の拠り所となるおせち料理をこれからも作り続けたいと思います。

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