ミッドサマーみたの。(激しいネタバレあり

怪異伝播放送局のMaricaです。ここでは敢えてこう名乗らせてもらおうw

怪異伝播放送局の方で「ホラー映画を語ろう」というYouTubeライブを数回お送りしてますが、皆様がコメントや投稿でオススメしてくださった中でいつか観ようと思っていた作品がいくつかあり、ミッドサマーもその一つでした。(あと、CABINは絶対いつか観ようと思ってた)

実のところホラー映画あんまり観てないんですが(結構痛グロ表現が苦手でして)コロナ引きこもりの結果なんだかんだと「ヘレディタリー・継承」「CABIN」「タッカーとデイル」あたりも視聴いたしまして、このタイミングでAmazonプライムにやってきたミッドサマー!この流れならイケるだろうアリ・アスター履修済みだしな!と手を出しました。

もうこれ、観た人しか読まないよねということで細かいネタバレ全開でいくので観てない人は逃げてねー!?






逃げた?いい?



価値観の違いに気を付けろ

 この映画、冒頭から重い彼女と別れたいけど切り出せない男と、彼の気持ちが離れていくのを感じながらも男に依存する女のすれ違いが描かれますが、誕生日、記念日を大事にするタイプとそうでないタイプはお付き合い、結婚するときっついでえ。はよ別れろ。という監督からのメッセージをめちゃくちゃ感じましたw

 クリスチャンはダニーと別れたいと一年くらい前から悩んでいるけど、精神的に不安定な彼女が心配で別れを切り出せない。彼にとってダニーは下手に別れ話を切り出したら手首を切りかねない、いわば腫れ物。でもね、腫れ物ならば逆に誕生日をはじめとする記念日とかは殊更気を遣うと思うのよね。それで揉めてめんどくさくなるのは目に見えてるんだから。
 なのでもともとクリスチャンはこのあたり無頓着なタイプなのではないかということが窺える。(交際期間も覚えてなかったりとか)そういうすれ違いが積み重なってお互い「めんどくさい、重い」⇄「大事にされていない」みたいな関係性になってるんだろうね。不幸にしかならないカップリングでむしろどうして付き合い始めたのか馴れ初めを聞きたいくらいだ。

 で、この「価値観の違いによるすれ違い」が後半村の少女マヤちゃんにロックオンされて搾り取られる際にも容赦なく描かれ、クリスチャンを打ちのめすわけですよ。

 ホルガにとって「たねつけ」はあくまでも村存続の為に必要な儀式であって、扱いとしては「出産」に近い。実際あの村においては「愛情表現」「コミュニケーション」としての性行為は行われていないようなので(完全にバースコントロールしていることからも窺える)その行為は個人的なものではなく「村の行事」であり「儀式」である。意中の男の落とし方入門の絵巻も村全体で共有している(パイに異物混入発覚でお祭りムードまである)し、あれを「恋のおまじない❤️」と表現する。これは動物の発情期を「恋の季節」と表現する違和感と重なった。恋ってか、もうそれ生殖っすよね。
 そんなわけだからなんではだかなんだかよくわかんないけど村の女たちが儀式に参加する。はだかで。
 対してクリスチャンは普通のアメリカンヤングらしく性行為を「個人的なものである」「愛情表現もしくはレジャーである」と考えているので裸の女性が見守る異常な状況ではあるものの、相手にキッスもするし触れようともする。だがそこで謎の歌う女性が乱入してきて「え?え?ナニコレ?」とひとり大混乱。そりゃ混乱するだろう。観てるこっちも「ナニコレ」状態だ。だが彼はそんな状態にもかかわらず役割を果たすことを期待されており、事前に色々盛られているので行為を中断することすら許されず、最終的には産婆さん的な人にお手伝いまでされてしまい、都会の若者としての尊厳を完全に蹂躙されるわけです。その後叫びながらボカしとともに逃げ惑うシーンの哀れなこと哀れなこと……笑いながら観てたごめん。

 これが文化の違いというやつです。民俗学を学ぶ身として実地体験できてよかっ……たね??むしろこれでジョシュと違う切り口の論文が書ける……。生きてたらな!

 でもまあ、あんな儀式に祭り上げられて無理やり搾られてる哀れな彼氏を見て「裏切られた!」などと思ったんだとしたらダニー、君すげえよwこれもまた、価値観の違いが生んだ悲劇…なのかもしれない。


冒頭のほうがむしろ怖い説

 冒頭の精神的に不安定な妹による一家心中の方がある意味怖くね?あれこそ日常に潜む「あるかもしれない恐怖」だと思うんだよ。(ヘレディタリーにおける妹のアレみたいな)
 ダニーはその「あるかもしれない」が現実になってしまったこと、誰も信じられない、頼れる家族もいなくなってしまったという状況だからこそ新しい「家族」に飲み込まれてしまったんだろうとも思うし、お前フィジカル強すぎだろ今までどんな生き方してたんだよとも思います。

 メイクイーン、屈強。

ネタバレ考察サイト色々巡回したが

 みんなー!夏至祭は毎年やってるよ!今年は大祭なだけ!ペレが見せてくれたでしょ「去年のメイクイーン」。
 気になるのは例年の夏至祭ではどこまでやるのかということ。アッテストゥパンは毎年行われるわけだから(該当者いない年もあるかもしれないが)これとメイポールダンスとたねつけは夏至祭の恒例行事と見てよいのではないか。外部からの生贄はそんな毎年じゃないんじゃないかなとは思いたい。

 ところでアッテストゥパンのふたりを「生贄」に勘定したのがある意味意外だった。生贄カウントでいいのあれ?生命のサイクルに乗る行事だから生贄とは違うのではないか??だとすると毎年行われる「夏至祭」も生贄出しててもおかしくないよね?生贄の最後の1人を選ぶのはメイクイーンのしごとなわけだし……??

 あれ?じゃあ90年に一度だから重要だよ!ってだけで毎年同じことしてる可能性もある??町田リス園にも「開園32周年」って書いてあったし毎年アニバーサリーを祝うのは当然とも言え……いや、32周年てどうなの。
 このあたりは劇中に描かれていなかった気もするけど確認するためにもう一度観ようかという気になれないのでもしお気づきの方いらっしゃったら是非……教えて……ください……。

 まあ、去年のメイクイーン 、劇中に写真しか出てこなかったんですけどね……ダニー、どうなったかなああの後。

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