引き寄せの法則と心の癒し
近年、引き寄せの法則は、だれでも聞いたことはあるというぐらいにまで広まってきました。
今では、引き寄せの法則に関する本やネットの情報、動画などが巷にあふれかえっていますね。
引き寄せの法則の考え自体、別に最近になって発見（？）されたものではなく、古くは100年以上前にアメリカで始まったニューソート（New Thought）というキリスト教的思想にルーツがあります。
ニューソートは、それまでの現世利益を否定するプロテスタントの流れに沿わないものであったため、異端として見られていましたが、この新しいキリスト教思想の潮流に触発を受けた人は数多くいるようです。
ただ、引き寄せの法則のルーツについて書くのが今回の話の主旨ではないので、前置きはこれぐらいにしましょう。
引き寄せの法則がここまで浸透してきた背景には、そのメカニズムはよくわからないにしても、何か良いものを自分の人生に引き寄せて幸せになりたい、と考える人が多くなってきたということなのだと思います。
こういった衝動は人間として極めて自然なことですし、引き寄せの法則自体も真実を表す一面でもありますので、それを実践することは決して悪いことではありません。
しかしながら、引き寄せの法則を実践する上で、知っておくべき大切なことがありますので、今回それについて書くことにしました。
例えば、「今年のクリスマスまでに恋人が欲しい」と願っていて、引き寄せの法則を実践することでその願いを実現させようとする場合を例にとって考えてみましょう。
これを実践する場合、次のような感じのことを行う人が多いかと思います。
「『恋人がすでに与えられました！ありがとうございました！』と、過去完了形でアファーメーションし、恋人が与えられたときの嬉しいワクワクする感情を感じるようにする。」
いわゆる、感謝先取りとか予祝とかいうやつですね。
※アファメーションとは、なりたい自分になるための肯定的な宣言のことで、人が口に出す言葉には「言霊」と言われる特殊な力が宿っている、という考えが前提にあります。
人によっては、「潜在意識を書き換える」と表現をされる方や、ポジティブな感情をもつことで「意識の周波数を高める」と表現される方、「波動を整える」と表現される方など、表現の仕方は多種多様です。
中には、「量子力学を応用した願望実現法」といった感じで、科学的なニュアンスを感じさせるものまであります。
表現方法はいろいろあって良いのですが、問題は、引き寄せを実践する際に、自分の心に何らかの「力み」が入るときに生じます。
そして、引き寄せを実践する場合、意識的にせよ無意識的にせよ大なり小なりこの内なる「力み」が発生しているケースがほとんどではないかと思います。
では、この「力み」とは何でしょうか？
それは、
「何とかして願望を実現させたい！」
という強い思いが、若干、執着のような形で現れ出たものです。
そもそも、
「何とかして願望を実現させたい！」という強い思いをもつ
ということは、裏を返せば、
「願望が実現しないのではないか？」という恐れを抱いている
ということです。
この本心本音であるところの強い「恐れ」は、ポジティブ思考やポジティブ感情という仮面によって抑圧されることで、見えなくなってしまい感じることができなくなってしまいます。
その結果、本心本音の信念である「恐れ」が引き寄せられることになるわけです。
上で挙げた、「今年のクリスマスまでに恋人が欲しい」を例にした場合、
「今年のクリスマスまでには恋人が与えられないのではないか？」
という「恐れ」が本心本音の信念ですから、
「『今年のクリスマスまでに恋人が欲しい』と願っている状態」
が引き寄せられるということになります。
このことを知って、
「そうか、じゃあ、恐れをもたなければ良いんだ。」
と思ったところで、意識的に「恐れ」を心から無くすことはできないでしょう。
だからと言って、「もう自分には引き寄せは無理なんだ」と悲観的になる必要はありません。
むしろ、願うことの背景に強い「恐れ」があることに「気付く」ということが、実は、最も重要なことなのです。
なぜならば、自分の中に強い恐れがあると「気付く」ことが「癒し」の始まりになるからです。
「癒し」のプロセスが進んでいくことで、ありのままの自分を受け入れることができるようになり、自然と必要なものがベストなタイミングで引き寄せられてきます。
こうなると、実は、無理にアファーメーションをがんばったり、過去完了形の感謝ノートを書いたり、がんばって潜在意識を書き換えようとしたりする必要など無かったことに気付くでしょう。
本来、私たちには必要なものが必要な時に与えられるというのが元々の自然な状態なのですが、幼少期からの成長過程におけるさまざまな外的要因によって作られる「分離意識」、つまり、「自分と周囲の世界は完全に切り離された別々のものという意識」によって、本来の姿が見えなくなっているのです。
最初は感じることがあまりにも恐くて耐え切れず、ポジティブ思考やポジティブ感情という仮面でフタをして見ないようにしていた強い「恐れ」を、気付きによって意識的に見ることができるようになるというプロセスが、引き寄せの醍醐味と言えるかもしれません。
では、どのようにして恐れを癒していけば良いのでしょうか？
その方法は「意識的に恐れを感じてあげること」です。
「意識的に恐れを感じてあげること」というのは、具体的には、
意識的に不快な身体感覚を感じてあげることです。
それは、例えば、
みぞおちの辺りが背中から前にかけて締め付けられるような感覚
後頭部から胸と背中にかけてじわ～と生じるいや～な感覚
心臓の鼓動が高鳴っている感覚
顔の前辺りがジンジンする感覚
など、言葉で表現するのは難しいのですが、とにかく不快で嫌な身体感覚であることは確かです。
そこに思考によるストーリーで意味づけをしたとしても、あくまでも意識を向けるのは、まさに今この瞬間発生している不快な身体感覚であり、それをただありのままにダイレクトに感じてあげるのです。
最初の頃はかなりしんどいでしょう。
できれば向き合いたくないとは思いますが、あえて向き合い続けることで、心の癒しが進み、分離意識が無くなっていくプロセスを通して、自分と世界は元々一つの意識であったことを感じられるようになるでしょう。
このことを思い出すようになってくると、自分と世界は同じ一つの意識なのだから、必要なものが必要なときに与えられるということは、本来の自然な在り方であることが感覚的にわかるようになってきます。
思い悩むな
25 「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。
26 空の鳥をよく見なさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなたがたの天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりも価値あるものではないか。
27 あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。
28 なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紡ぎもしない。
29 しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
30 今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。
31 だから、『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を着ようか』と言って、思い悩むな。
32 それはみな、異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの天の父は、これらのものがみなあなたがたに必要なことをご存じである。
33 何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。
34 だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」
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