見出し画像

☯️イーチンの部屋☯️

☆Mieux vivre avec le Yi King ~ 星マリアのイーチン研究室☆

このページは今から22年前に作り始めたHP『マリアの占い館』にUPした『易の部屋』の内容になります。いつかHPが消えても文章が残るよう、noteに引っ越し致しました。大変古い文章ですので只今加筆修正誤字脱字チェック中&足りない部分も沢山ありますので追加でまだまだ加筆して行く予定の現在進行形ページです😊 六十四卦の部屋マガジンの中に入れ込みましたが無料で読んでいただけます。


☆はじめに

占術の種類は多々あります。その中でも私はず〜っと昔、幼い頃から西洋のタロットやトランプを使用し続けて来ました。
他の占術も勿論魅力的なものばかりですが、私にとって、占いとは、ただ当てるだけが目的とは考えていませんでした。
幼い頃から占う度に、「当たってる!」「当たった!」と、周囲から言われる事はありましたが、幼心にただ当てるだけでは占いの意味がないように思っていました。 
例えば自分の生活上に起こる問題、そのひとつひとつを具体的に取り上げて、どうしてこうなったのか? これからどうなるのか? では今、どうすべきか? 当てるということよりも、寧ろそれらに重点を置かなければと常々感じていました。
タロットやトランプは私にとって、それまでは占術の中では特に頼れる人生のナビゲーターとなっていました。

後に20代になりました私は、加藤大岳先生に師事されていらした高井紅鳳先生とのご縁で易と出会い、易こそ私がずっと昔から求め続けていた占術、と感じました。
私の師匠であります高井紅鳳先生、高部紅佑先生、そして、師匠の師である加藤大岳先生の著書に惹かれ、後に40代になり、縁あってベルギーへ越す事となり、そこで知り合いました中国人易占い師さんのもとでもイーチンを勉強し、今日に至りマリア流イーチン解釈に没頭中です。

このページでは30代の頃から私なりに研究し、持っている知識に自身の見解、経験談等を盛り込みわかりやすく説明、深堀りして行きたく、いつまでも更新が途絶えることなく現在進行形なページにして行けましたならと思っています。(このページは『六十四卦の部屋マガジン』の一ページとして置くことに致しました。)
イーチンは、単に易者だけが独占すべきものではなく、広く一般の方々が、ご自分の為に大いに活用する物と考えています。難しい、と思われているイーチンですが、堅苦しいイメージのイーチンを、何とか砕いて出来るだけわかり易くお伝えできましたらと思っています。
もしもこの拙ページがご縁で易に興味を持つきっかけとなってくださったなら心より幸いに思います☯️

☆イーチン(易)って何だろう

イーチン(易経)とは凡そ5000年程大昔、中国で生まれた世界最古ともいわれる占いの書、テキストです。
四書五経、儒教の経書の1つです。帝王学、哲学の書とも言われています。(故に難しく感じるのよね💧)
易経の最古の原型は、「連山易」というものだったそうです。これは、まだ人類が山の生活を主とし、狩猟によって生活していた象徴です。その後、漢民族の祖先が黄河の畔で農耕生活をはじめた頃には「帰蔵易」というものができました。これは「物、みな土に帰る」という意味になります。それから更に後、周の時代には、ひとつの書物として形態が整ってきます。学問としての体系がここでほぼ完成します。私が研究していますのはその「周易」になります。周の時代にできた書物、易経をもとに完成されたものです。
また、易は象数派義理派の二つが大事ともいわれます。
象は形や数などでみて判断し、理は理論的な解釈で判断します。
この、象も理も両方合わせて判断します。
易を学ぶ者は漢文を学び易を誦じ覚える事は勿論大切ですが、何よりを養う事が大事だと思っています。「論語読みの論語知らず」という有名な言葉がありますが、私は「易経読みの易経知らず」にならぬよう気をつけたいと思います。
さて、何故、易経が、中国で長い間儒教の経典として尊ばれるようになったのかといいますと、儒教は日本でも大変影響を与えた思想で、孔子が始祖であるとされ、その根本の思想は「仁」にあります。
仁とは親愛の情で、それは先天的に人間が天から与えられたものであり、これを充たして行く事が人間の道であり、仁道を行うには常に反省し、自身を修養して行かなければならず、行動する時は、当然礼を正しく振舞えなければならないと云われています。占い師は高学歴でなければならないとかなんとかいうことでSNSがざわついていましたけどこれはどの仕事にも言えると思うのですが、学歴もまああればあったで良いでしょうけど、そこに「仁」はあるのかい?に尽きると個人的に思うのですよね。
そのようなことから、古代中国の主君が挙って学んだ帝王学の書なのです。
また、人が本当に困った時、迷った時、古代中国人の人々は、1つの未来学(時の変化の原理原則)を生み出しました。それがイーチンという学問なのです。易は宇宙を一貫する道を明らかにする哲学でもあるのです。翼伝の中の繋辞上伝に
「易に太極あり、これ両儀を生ず。 両儀は四象を生じ、四象は八卦を生ず。八卦は吉凶を定め、吉凶は大業を生ず。」
とあります。
人間を含め、全ての根元は宇宙の混沌とした太極のもとにあり、太極の変化によって、自然が変化していく物と考えました。
太極は先ず、陰と陽の2つに分かれます。これが両儀です。
分かれた陰陽は、陽中の陽(老陽=二本の陽が重なったかたち) ・陽中の陰(少陰=上が陰、下が陽のかたち)陰中の陽(少陽=上が陽、下が陰のかたち) 陰中の陰(老陰=二本の陰が重なったかたち)の4つに変化しその4つを繋辞上伝でも述べている四象といいます。またその四象つが八つの形に変化し、
天 ・ 沢 ・ 火 ・ 雷 ・ 風 ・ 水 ・ 山 ・ 地 の象
八卦となるのです。
更にこれらを上下として組み合わせると六十四の卦ができます。
この卦によって森羅万象すべての運命を判断しようというものなのです。
また、一つの卦は、陰陽六爻からできています。
その六爻ひとつひとつが重要な意味を持つので、最終的に、易で占う結果は384種類にもなるのです。
当たるも八卦、当たらぬも八卦という言葉は、ただ単に、六十四卦として組み合わさる前の、八つの形のみを表す、易でいいますと、ほんの上澄みの部分にすぎないわけなのです。この辺りは私の拙いYouTubeチャンネルでもお話させて頂いております。

☆易の伝統

★易という文字の起源
字源については二通りの説があります。 
一つは蜥(せき)易説であり、もう一つは日月易説です。
蜥易説では、易の象がトカゲを表すという説で、上の日は首を象り、下の勿は四足を象っったとされています。 トカゲは1日に12度も色を変えるので、易(変化するということ)というのが、周易の義でもここから出たのだろうとされています。
人が長い人生の間で、遭遇するさまざまな変化に対応し、生活して行く事への正しい対処方法を教える為のものと考えられたのです。
日月説というのは、日は陽を、月は陰を象るものであり、その二つを合わせた文字が易だという説です。

易の解釈は、後漢の鄭玄が説いています。易は一言にして三義を含み、それらは易簡、変易、不易を表すといいます。
易簡は、易は自然界の原則を陰陽で説明しているのですから、簡単でわかりやすく、従いやすいということです。
変易は、自然界は、春夏秋冬に移り変わり、昼夜の移り変わり等、全て変化し、瞬時でも変化しないものはなく、易はその変化を説き、それに対応する方法を教えるものだということです。
不易は、自然界の万物は、全て瞬時といえども変化してはいるが、そこには一定不変の法則があり、易はその変化の中にあり、一定不変である法則を  とくものであるということです。
要するに、易というものは、簡単ではあるが、複雑な変化があり、そこには一定の不変の法則があるというものなのです。
また、易の解釈には時の3要素(空間要素も含みます)を見極める事が大事でその3要素とは、時、処、位となります。時は時期・時機・兆しであり、処は環境・状況・場所であり、位は位置、地位、立場などになります。
易は、現在置かれている時を見極め、将来の兆しを観る為の、時と兆しの書、ともいえるのです。

☆周易翼伝

翼伝というのは、経文の理解を助ける書物で、経文を鳥の胴にたとえれば、翼伝は鳥の翼の役にあたる書物です。
ちょっと難しいのですが、これらの書物は易がどういう物であるかを理解するために無くてはならない書物で、普通は経文と一つにして、「周易」と言います。全部合わせると10篇になるので、「十翼」ともいわれます。 
参考までに簡単に記しておきます。
 
★繋辞伝上・下
翼伝の中でも特に重んじられている書物です。易とはどういうものかを説明しています。その説明は哲学的であり易が経としての権威を確定したのも繋辞伝がある事によるものとさえ言われています。
「易は天地と準う、故に能く天地の道を弥綸(統括)す」とあります。易は自然の法則に則ってできていることを表わします。更に、易の機構説明や、易は何の為にあるのか、如何私達の生活に縁が深いものであるかを懇切丁寧に、しかも格調高く説いています。

★彖伝上・下
六十四卦の卦辞(彖辞)の意義を説いたもので、卦辞(彖辞)の解説になります。六本の爻を組み合わせた卦象などから卦の意味を解説しています。「彖に曰く」と始まるのが「彖伝」です。

★象伝上・下
大象と小象に分けて説明しています。大象は、前半で卦辞の説明をし、後半ではそれと関連しながら私達はどうあるべきか、この時において何をすべきか等を述べています。「彖伝」の解説とはちょっと異なり、八卦の組み合わせから、道徳的な解説をしています。小象は、爻辞の解釈で各爻の意味や位置と他の爻との関わりなどを説いています。大象と小象どちらも「象に曰く」と始まるのが「象伝」です。

★文言伝
六十四卦の中で、特に代表的な卦と言われる、乾為天、坤為地の二つの卦を取り上げ、儒教の思想をもって、念入りに説明した物です。

★説卦伝
卦の説明をしています。冒頭に易の理想や目的などを説明をし、続いて八卦の詳しい説明をしています。八卦を天地の万物、動静、方位、人間、動物、植物、形状などに配当し、説明していて、易占ではとても重要となり、私もよくこの説卦伝の八卦の説を採用しています。

★序卦伝
易経の経文で、六十四卦の配列の順序について説明しています。

★雑卦伝
六十四卦の順序をばらばらにして、相転倒した象の卦を一対にして、それぞれ一卦の特色といえる一点をとらえ、短い辞で説明しています。 これは占断する時、そのまま用いられる事がありますので、八卦の象と同時に覚えておくと便利です。

☆八卦の象の解説

自然界の全てのものは、陰と陽にわかれていて、易は、其々を八卦に当ててみていきます。
八卦の象は大変重要で、易のベースとなります。小成卦といい、八卦の象を、上下に組み合わせると、8×8=64卦(大成卦)が出来上がるのです。ここでは簡単に八卦の象の解説をしていきたいと思います。

1.乾=けん
卦名は乾。正象は天。卦徳は円満、健全。 五行(後述)では金。乾の象意は、おおむね次のように分類できます。
★乾の正象は天とし、尊いもの、高いもの、広いところ、大きなもの、円いものである。
★乾は、陽の代表的な卦ですので、堅いもの、充実しているもの、明るいもの、動くものとする。
★陰の代表的な卦の坤と対照した見方、坤の従に対し、乾は主とする。
「人」 天子。大臣。君子。上司。資本家。神官。父。夫。先生。男性
「人体」首。頭。骨。肺。
「場所」都会。神社。天空。宮城。郊外。海。大川。
「物」宝石。貴金属。木の実。濃め。氷。ビル。貨幣。鉱物。乗り物
「動物」竜。寅。獅子。馬。
「季節」晩秋から初冬にかけて(10月、11月)
「時間」午後七時から十一時までの4時間
「方位」西北方
「天気」晴れ。夏は夕立。冬は厳しい寒さ
「物価」上がるとする。時には、今が絶頂期でまもなく下がる場合も。
「病気」伝染病。高熱。神経系。頭部の病気。肺病。便秘。食欲不振。
「症状」激しく、急性のものが多い。
「味」辛い
「色」白、金色
「数」一。 五行の数は四と九。

画像1


2.兌=だ

卦名は兌。正象は沢。卦徳は悦。五行では金。
兌の象意はおおむね次のように分類できます。
★兌の正象は沢とするので、見ずに関係のあるもの、水を貯えておくもの。
★二陽の上に一陰が乗って喜んでいる象。
★前が開いている象なので、口に関するものとする。
「人」少女。巫女。声優。水商売系の人。商人。色っぽい人。
「人体」口。肺。歯。
「場所」娯楽街。キッチン。バスルーム。くぼ地。沼沢地。レストラン。谷。
「物」刃物。食べ物。壊れた物。トランプ、カード。金物。
「動物」羊。豹。猫。子犬。虎。川魚。美しく囀る小鳥。
「季節」秋(9月)
「時間」午後五時から七時までの間の二時間。
「方位」西方
「天気」もうすぐ雨になりそうな曇り
「物価」低値保合いとする。
「病気」肺。呼吸器。婦人科系、血行不順。打撲。
「症状」長引く傾向あり。
「味」辛い
「数」二。 五行の数は四と九。

2_兌_02


3.離=り
卦名は離。正象は火。卦徳は明智。 五行では火。
離の象意はおおむね次のように分類します。
★離の正象は火とするので、火に関係するもの、明るいもの、見るもの、美しいもの、鑑別するもの、勢い激しいもの、転々と移り動くものとする。
★真中が陰ですので、中身が柔らかく、外が固いもので包まれているもの。
★坎の冬に対し、離は夏とみる。
「人」美人。学者。芸能人。文筆家。判事。警察官。消防士。
「人体」心臓。目。
「場所」劇場。灯台。病院。図書館。消防署。裁判所。警察署。
「物」書物。文書。印鑑。絵。 ライター。カメラ。眼鏡。薬品。貨幣。花。
「動物」蟹。亀。孔雀。雉。蛍。
「季節」夏(6月)
「時間」午前十一時から午後一時の間までの二時間
「方位」南方
「天気」晴れ。 夏は旱魃の恐れも。
「物価」上がるとする。
「病気」心臓病。目。高熱。不眠症。便秘。火傷。
「症状」熱が高く、意識を失うことがあったり、病状は安定せず。楽観は禁物。
「味」苦い
「色」赤
「数」三。 五行の数は二と七。

画像3


4.震=しん
卦名は震。正象は雷。卦徳は奮動。 五行では木。
震の象意はおおむね次のように分類します。
★震の正象は雷とするので、驚くこと、騒がしいこと、音を出すもの、響き伝わるもの、電気に関係するもの、清新なものとする。
★勢いのあるもの。積極的。一陽が二陰の上に踊り出ようと奮闘する様。
「人」長男。皇太子。青年。著名人。アナウンサー。楽器関係の人。神経質な人。 
「人体」肝臓。神経。足。
「場所」震源地。放送局。電話局。音楽会場。道路。森林。クラブ。
「物」音を発するもの全て。竹。ソーダ水。蓋のない容器。
「動物」馬。竜。
「季節」春。(3月)
「時間」午前五時から七時までの二時間。
「方位」東方
「天気」晴れ。雷を伴う。天変地異では地震。
「物価」動きがあり、どちらかといえば高いほうへ進む。
「病気」神経症。てんかん。肝臓病。足の病気と怪我。
「症状」突発的で激しい。手術を要する事も。
「味」酸味
「色」青
「数」四。 五行の数は三と八。
「その他」驚くわりに実害がない。

画像4


5. 巽=そん
卦名は巽。正象は風。 卦徳は伏入。 五行では木。
巽の象意はおおむね次のように分類します。
★巽の正象は風としますので、風に関係するもの、動揺するもの、軽いもの、長いもの、香り、匂いを意味する。
★乾の中に始めて一陰が交わったもので、基礎の弱いもの、下が開いている柔らかいものとする。
★説卦伝に記述されていて、利益が多いものとする。
「人」長女。愛人。技術者。外交員。 髪が少ない人。決断力のない人。白目の多い人。
「人体」肝臓。呼吸器。腸。股。
「場所」道路。飛行場。店舗。家の出入り口。
「物」扇風機。風鈴。木工品。飛行機。材木。
「動物」鳥。蛇。とんぼ。豚。
「季節」晩春から初夏にかけての間。(四月。五月。)
「時間」午前七時から十一時までの四時間。
「方位」東南方
「天気」風吹く日。曇っても雨は降らない。春から秋は強風を伴う雨があるとする。
「物価」浮動して安定しないが、やや下がり気味。
「病気」インフルエンザ。呼吸器。気管支炎。 腸。下痢。肝臓。
「症状」一進一退し、不安定。
「味」酸味
「色」青
「数」五。五行の数は三と八。

5_巽_2s

 
6.  坎=かん
卦名は坎。 正象は水。 卦徳は陥険。 五行では水。
坎の象意はおおむね次のように分類します。   
★坎の象意は水に関するもので、水状(液状)のもの、冷たいもの、川の流れのように長いもののする。
★坤の間に一陽包む象であり、二陰の間に一陽が落ち込んだ象とする。
★離の日に対し、坎は月とする。
「人」中年。思想家。法律家。宗教家。学者。信念のある人。色気のある人。
「人体」耳。腎臓。
「場所」海。川。井戸。温泉。地下室。水源地。宴会場。
「物」車。水道。飲み物。とげのある草木。弓。毒。
「動物」馬。狐。豕。魚。貝。
「季節」冬(12月)
「時間」午後十一時から午前一時の二時間。
「方位」北方
「天気」雨、または雪。 雨が降りそうな曇り。
「物価」下がる。 時には今が底値ということも。
「病気」耳。出血。中毒。腎臓。下痢。
「症状」伊丹が伴う苦痛なもの。冷え性等。
「味」かん味
「色」黒、赤
「数」六。 五行の数では一と六。
「その他」妊娠の卦。

6_坎


7.艮=ごん
卦名は艮。 正象は山。卦徳は静止。 五行では土。
艮の象意はおおむね次のように分類します。
★艮の正象は山とするので、山に関係のあるもの、例えば高い所、高尚なもの、止まって動かぬものとする。
「人」少男。少年。頑固な人。 高級思考の人。
「人体」身体。背。肩。鼻。手。関節。消化器。
「場所」城。家。墓。階段。路地。高い所。宿舎。
「物」門。屋根。不動産。棚。仏壇。壁。果実。
「動物」牙のある動物。角のある動物。犬。
「季節」晩冬から初春にかけての間。(一月、二月)
「時間」午前一時から五時までの四時間。
「方位」東北方
「天気」曇るが雨は降らない。長雨の時期なら雨が止んで晴れることも。
「物価」高値待合とする。
「病気」鼻。背。腰。肩。関節。打撲。腫れ物。麻痺。血行不順。
「症状」急変はしなくても、徐々に衰える。
「味」甘い
「色」黄色
「数」七。 五行の数は五と十。

画像7

       
8.坤=こん
卦名は坤。正象は地。卦徳は柔順。 五行では土。
坤の象意はおおむね次のように分類します。
★坤は正象が地ですので、低いもの、包容するもの、平らなものとする。
★坤は陰の代表的な卦ですので、柔らかい、細い、暗い、動かないものとする。
★乾と対照した見方をする。
「人」臣。婦人。大衆。秘書。母。妻。女性
「人体」腹部。胃。腸。
「場所」集会場。倉庫。陸地。田舎。
「物」布類。土で作ったもの。家財道具。容器。肌着。スカート。粉状のもの
「動物」牛。虎。牝馬。豹。魚。
「季節」晩夏から初秋にかけて(7月、8月)
「時間」午後一時から五時までの四時間
「方位」西南方
「天気」曇り。
「物価」下値保合いとする。
「病気」消化器系、過労。虚弱体質。ストレス。
「症状」そ即治困難の場合が多い。
「味」甘い
「色」黄色、黒
「数」八。五行の数は五と十

8_坤_02s

泉麗香さんが、私のYouTube動画をご覧くださり八卦ファミリーを擬人化してくださいました☯️

八卦ファミリー_02s

※五行について 
五行というのは東洋運命方術の根幹とされるものの一つで、全てのものを五つに分類し、みる見方です。
木、火、土、金、水がそれであって、八卦を五行に当てると震と巽が木、
火は離、土は坤と艮、金は乾と兌、水には坎が配当されます。
易の数は卦を起こす時に用いるほかに、数に関する占いをする時に用います。但し、その場合は、易の数を用いるか、五行の数を用いるか、はじめからどちらかに決めておいた方が良いです。

☆卦、爻、辞の解説

易の経文は、乾為天から離為火までの三十卦を上経とし、沢山咸から火水未済までの三十四卦を下経とし、上下に分けられ、計六十四卦あります。
普通、街の易者さんなどに見かける易経は、乾為天、坤為地の卦のところに、翼伝の文言伝が入っていますが、他の卦は下に示すような順序になっています。 
例として水雷屯をあげてみようと思います。
 
水雷屯(すいらいちゅん)  震下坎上。 屯。
屯。 元亨利貞。 勿用有攸往。 利建侯。
彖曰。 屯。 剛柔始交而難生。 
象曰。 雲雷屯。 君子以経綸。
初九。 磐桓。 利居貞。 利建侯。
象曰。 ・・・・

水雷屯の下の「屯」。とあるのは、大成卦のこの卦の卦名です。
卦名の次に記された辞を、「卦辞(かじ)」または「彖辞(たんじ)」といいます。彖は決断、断定、断の意味です。卦辞は六十四卦の一卦毎にあり、その卦義を表現した言葉です。卦の全体の内容、その「時」の全体像が示されています。
次に彖曰(たんにいわく)とあるのが、彖の説明です。
次に象曰(しょうにいわく)とあるのが、象伝中の「大象」です。 前半は卦の説明、後半では私達はどうあるべきか、何をするべきかということを説いています。
次に初九(しょきゅう)とは、初爻(しょこう)のことで、六本あります一番下の横棒を差します。
爻とは交であり、陰と陽2種類の記号の変化結合によって、その性質の吉凶などを示し、その変動によって天下万物の動きを説き示すものなのです。
卦を構成する陰陽六本の爻はそれぞれが位を表し、下から順に、初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻と呼び、その爻の位によって運命が変化していきます。
卦辞が運勢全体の意味を表すのに対して、爻辞は運勢をより詳しく、時間的な変化やその時々に取るべき対策法を示したり、方向性を示してくれる重要な役割を担っています。六本の各爻にかかる辞で、その「時」、「シーン」の六段階の変遷過程を表します。立場、時、環境や場所、状況の詳細をあらわしています。乾為天と坤為地は、六爻だけでなく、用九(陽の用い方)、用六(陰の用い方)がプラスαとして書かれてあります。
卦だけでは運勢の総括的、大まかな概要しか判断できず、更に爻を知ることによって、運勢がどのように変化していくか、細部にわたり具体的に判断することができるのです。
爻は、時と兆しを洞察する為の重要な手がかりとなるのです。

★大成卦の象
大成卦は八卦の小成卦を上下重ねたもので、六十四卦あり、上の卦を外卦(又は上卦)、下の卦を内卦(又は下卦)といいます。
易経文の辞の中で、上とか外といえば外卦、下とか内というと内卦のことです。占法上でも外、内卦に分けて見ることがよくあります。
大成卦は陰陽六本で卦象を表しています。そして、その一本一本が爻(こう)とよばれます。重なった六本の陰陽を下から準に上へ、初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻と読んでいます。
易経では、特に陽の爻の場合は九で表し、初爻の位置にあれば初九、二爻にあれば九二、三爻にあれば九三、四爻にあれば九四、五爻にあれば九五、上爻にあれば上九といい、陰の爻の場合は六で表し、下から初六、六二、六三、六四、六五、上六といいます。
経文の中で、初九(又は初六)等、爻を示した下に記されている辞を「爻辞」といいます。これは、卦の中の六つの爻について、それぞれにつけられた辞です。爻辞は各爻の意義や性質、処、立場などの詳細に表現、吉凶を断じ、進退変化などを表したものです。

★伏卦について
占いで得た爻を変じる見方で、(陽の爻は陰に変じ、陰の爻は陽に変じる見方) 例えば、乾為天の九三を得た場合、三爻を変じると、天沢履という卦が出てきます。 この卦を大岳易では「伏卦(ふっか)」といいます。この卦は得卦の状態から、伏卦の状態に変わる可能性が多い事を示したり、あるいは、表面に現れない、隠れた事情としてみたり、教訓として受け止めたり、占いの内容と、得卦に合わせ、判断していきます。私も占いの際、この伏卦をポイントとして押さえます。 

★互体について
初爻と上爻を除いた二爻から五爻までの小成卦の事で、二、三、四爻の小成卦を互卦、三、四、五爻の小成卦を約象と呼び、両者を互体と呼ぶのですが、加藤大岳先生は易学大講座にて互体、約象どちらも「互体」と呼んでおります。内卦と外卦に跨って出来る小成卦という方がわかりやすいでしょうか。例えば風雷益の互体は、坤の卦と艮の卦の互体があることになり、中卦ともいいます。

★互卦について
大成卦の初爻と上爻を除いた互体が二つ重なって出来る卦の事で、二、三、四爻を下卦とし、三、四、五爻を上卦として組み合わせた卦のことです。例えば火水未済の互卦に水火既済があります。雷山小過の互卦に沢風大過があります。互卦約象ともいいます。

☆易の基礎用語、術語、知識

★中庸について
易は中を尊びます。中とは可不及のない事です。何事も過ぎるのは宜しくなく、過ぎたるは猶及ばざるが如しという言葉もありますように、過ぎることは慎まなければならないと云っています。陽に過ぎても、陰に過ぎても宜しくないのです。良過ぎても、悪過ぎても宜くなくて、バランスが大事になります。
「君子は中庸す、小人は中庸に反す」と、「中庸」にあります。中徳とは中庸の徳で、私の六十四卦の解説にもよく出てくる言葉です。
また、中は、天地の間にあって、陰陽二気の合一を意味します。陰陽が融合され合体されて、生生し、化育するみちを進むことです。人間でいえば、肉体と精神の融合です。徳と才能の融合ともいえます。
精神だけ有って肉体がなければ中ではなく、肉体だけあって精神がなければ中ではなく、互いに両者が融合するところ、和するところが中です。

★時中について
時中とは、イーチンの最も大切な要となります。時中なんてあまり聞いたことがないかと思います。
時流でしたら聞いた事があるのではと思います。例えば企業経営者などが、「時流に乗りましょう」と、言う事もありますが、時流とは、時の流れ、世の中の傾向、トレンドの事です。上昇する流れ、わかりやすく言うと、バブルの頃の上昇の流れです。人は常に上り調子の事を追い求めますが、時流を追求してしまうと、やがてバブルのように弾けて破綻する時が来てしまうものです。絶好調の時というものはそう長く続くものではなく、ピークになると今度は下り始めます。世の中の傾向、流行、トレンドはそう長く続かず、永遠ではないですよね。このところのトレンドの期間はどんどん短くなっているように感じます。ですから、時流に乗るのは危険と云われるのです。
イーチンでは時流ではなく、時中を冷静に見定める事が大切ですよ、と教えています。「中庸」に、「君子の中庸は、君子にして時中す。」とあります。時中とは、その時々の状況において正しく適応し、対処する解決策の事です。それは固定的ではなく、時と処と位によって変化するのです。
例えば時流は波に乗って上り調子を追求する事ですが、時中は上り調子の絶好調の時、ピークの時、下り調子の時、どん底の苦しい時等、夫々の段階において、正しく適応してやるべきこと見定め、対処する事をいいます。
人生はご存知のように良い時ばかりではありませんよね。実際に、どん底の時も人生にはあります。所謂凶の時ですね。一般的に人は吉の時に喜び、凶の時に嫌がりますが、吉にいる、ということは、将来凶に向かうおそれのある流れとなりますし、凶の時は吉に上って行く流れという事になります。そのような場合、時中、時に当たっている、という事に正しく適応して対処するならば、吉をできるだけ維持しようと対処しますし、凶から吉に上がって行くには如何すれば良いかを冷静に見定める事も可能です。
例えば四季がありますが、春には春の、夏には夏の、秋には秋の、冬には冬の的中したやるべき事がありますよね。春には種を蒔き、秋には収穫しますが、例えば冬に種を蒔いても、それがどれ程品質の良い種だとしましても、蒔く「時」を間違えると芽は出ませんよね。春に種を蒔く事が時中、的中している事です。
時中の中は、その時々にぴったりとはまり的中している、ということですから、こういう時にはこのように対処すると良いですよ、という事が、イーチンには書かれていまして、また、イーチンには人生に起こるであろうありとあらゆる出来事が網羅されていますので、その例として挙げられている六十四卦の人生の時の、時中をしっかり見定める事ができるようになれば、順境も長持ちし、逆境も長く苦しむ事がなく、物事はスムーズに進むということを説いているという、言わば人生の虎の巻のようなものと思っています。この辺りが私にとってイーチンの醍醐味、魅力だと思っております。

六十四卦それぞれにはその卦に合った(的中した)中があります。
例えば雷山小過という卦がありますが、小(陰)が過ぎる意味と、少しく過ぎる意味の卦で、中を尊ぶ易は、この卦におきましては、小しく過ぎる事を宜しいとしています。君子はその行いを恭敬に過ぎるくらいにし、喪に当たっては悲しみに過ぎるくらいにし、倹約に過ぎるくらいにする、という考えです。この卦の時には少し過ぎることによって、かえってそれが時中となる、と、いっているのです。善悪の中間にいることが中ではなく、雷山小過の卦の場合は、善に過ぎることが時中なのです。
ちょっと難しい例えかもしれませんが、その卦その卦の時中に正しく適応する事が解決策となるのです。これはイーチンを深く読み込めば読み込む程「はぁ〜、成る程ねぇ〜!」と頷く事ばかりが書かれてある事に気づきます。
私は大変景気の良かったバブルの時代を知る者ですが、あの時、時流に乗っていた方の殆どの方がバブルが弾けた途端、破綻してしまいました。
バブル景気に浮かれて流されず、時中をしっかり見定めて冷静且つ堅実に判断適応された方は、今も益々ご活躍されています。

★吉、凶、悔、咎、吝、厲 について

吉 ~ 言うまでも無くよろこび、めでたい、良いこと、失わないことを表します。しかし、吉に喜び調子にのって慢心していると、吝↓へ進むことになります。

凶 ~ 吝で驕り高ぶり、改めを惜しんだ結果、災い、災害、損失、不吉、不祥事、害を被ること、悪いことを表します。

悔(かい) ~ 凶になり、残念がって悔やむことを表します。 おかした過失を謙虚に反省することで、吉へと進んで行けるのです。

吝(りん) ~ ものおしみする、ケチる、間違ったり過失をしても改める事を惜しむことです。 吉で調子に乗り、驕り高ぶり善意を冷静に判断できなくなって、改めることをしないうちに悪い方(↓凶)へ向かってしまうのです。 

咎(とが) ~ 過ち、災いを表します。 咎なし、とあるのは、後悔して、あるいは危ぶんで過ちを改めること、過ちがないようになることを表します。

厲(あやう)し ~ 危険、危ない、災い、激しいことを表します。

★爻の位、応、比について

☆大成卦の正位
初爻の陽、二爻の陰、三爻の陽、四爻の陰、五爻の陽、上爻の陰が正しい定位にあるとし、六十四卦の中では下に表しました卦の水火既済の卦だけが六爻全て正位を得ています。また、上下の爻は陰陽すべてが比しています。 そして応爻も陰陽応じています。疑うものはなにひとつない完璧な卦になります。それ故、既にととのうという、既済という卦名がつけられているのです。

スクリーンショット 2022-08-24 2.47.20

☆大成卦の三才 
初爻、ニ爻を地の位とし、五爻、上爻を天の位とします。そして地に足をつけ天を仰ぎ生きている私達が、三爻、四爻の人の位、人間なんです。 三才とは、天・人・地、人が天と地の恩恵を受け生活している姿を表します。

☆大成卦の応爻 
大成卦を上卦、下卦に分け、小成卦の三才の位の上で、地の位同士、人の位
同士、天の位同士各爻がそれぞれ応じ合うことをいいます。上卦の初爻(四爻)と下卦の初爻が陰陽となっている時は応じているといいますが、陰陰、陽陽の場合は不応、敵応、害応といいます。(初爻と四爻の他、二爻と五爻、三爻と上爻を応爻といいます。この応の中で二爻と五爻の相応ずるものを一番重く尊重します。相応じている時は、お互いが助け合え心が通じ合えることを意味しますが、不応の場合は通じ合えないのです。(上↑に表しました水火既済の卦は全て陰陽応じています)

☆大成卦の比爻 
例えば初爻と二爻ですとか、二爻と三爻というように、隣の爻と陰陽関係にある場合を「比している」、「比爻」といいます。(上↑に表しました水火既済の卦の爻は全てが比しています)隣の爻と陰陽になっていない場合より比している方が縁が深いとみます。応爻を親戚関係とすれば、比爻は近類関係ということになります。応爻の方が比爻より深い縁があるとみます。「承(しょう)」、「乗(じょう)」というのは比爻の関係で、下の爻から上の爻をみた場合、下の爻は上の爻を承(う)けるといい、上の爻から下の爻をみた場合、上の爻は下の爻に乗るといいます。陰の爻を中心に、「乗る」ですとか「承ける」というのです。

☆中と正      
易は陰陽定位を重視しますが、先にもお話ししましたように、更に中庸の「中」を一層重んじます。「中」とは大成卦では二爻と五爻、内外卦の中爻で、二爻と五爻は中を得ているといいます。 ニ爻は陰の定位ですから、陰爻の場合は「柔順中正」といい、陽爻の場合は「剛中」といって「正」にはなりません。
また、五爻は陽の定位ですから、陽爻の場合は「剛健中正」といい、陰爻の
場合は「柔中」といい、「正」とはいわないのです。二爻、五爻はどの卦に
おいても「中」を得ているわけなので、たとえ位が当たっていない場合でも
あまり悪くはみないのです。
「正」とは、大成卦の正位でもお話しましたとおり、水火既済の卦だけが
六爻全て正位を得、逆に未完成を表す火水未済の卦は六爻全て「不正」の
爻となります。 殆どの場合正は吉、不正は凶とみます。

☆過、中、不及  
過とは、中を超えた三、上爻をいいます。  
中とは、内卦、外卦の中爻をいいます。
不及とは、中の下の初、四爻をいいます。 ただし過不及もその卦により例外がありますから固定的には考えません。

☆位に当たる  
陽位に陽が正しくある場合、陰位に陰が正しくある場合を、「位に当たる」といいます。反対に、陽位に陰がある場合は「位に当たらず」というのです。

☆卦極     
卦の一番上の爻、上爻のことです。 埒(らち)外といって、物事の行き過ぎを意味する場合と、運気の転換期、完成を見る場合があります。ですので
いちがいに悪いとは言い切れないのです。

★六爻の性質、吉凶について

初爻(初九) 
陽の位、第一爻目です。物事の始まり、出発、まだ何事も深くなく、善悪、吉凶どちらにもならない時点、場所。 そして不及の爻。 二爻と五爻の応爻は吉とみて重要視されますが、それに次いでこの初爻の陽です。 陽の上の陽爻は正位を得ていますが、三才からみると、地の下で、地上には出ていません。 全て事をする時は慎重にして貞に利し。
(初六) 
陽の上の陰爻なので鈍く、愚かで弱く、悪く見ることが多いです。

二爻(六ニ)
易では最も中庸@中を尊びます。この爻は下卦の中爻であって陰の位です。なのでここに陰で居るということは位が正しく中正であり柔順、中庸の徳があることになります。 人や時に素直に従い行く事が本分の時。どちらにも偏らず、中庸、中道を守る時です。
(九ニ)
陰の上の陽爻で居た場合は不正になりますが、たとえ不正でも中を尊ぶので悪く見ることはなく、中徳をもった臣として咎められることはないのです。

三爻(九三) 
内卦の極であり陽は正位を得ています。しかし、三才では人位になり、しかも人位の下位です。そして内卦から外卦へ移り進もうとしているところになります。 陽の上の陽爻ですから過剛の爻。何事も行き過ぎ、やり過ぎ、驕り高ぶる爻で、凶意が強いとみます。
(六三)
陽の上の陰爻で内卦の極。陰なので力が弱いのに高位にいるのでその進退が危ぶまれます。また、女性の場合は節操がないとみることが多く、戒慎を望む爻でもあります。

四爻(六四) 
五爻の天子の爻に接している爻で人位の上の爻で、大臣の場所になり、正位は陰です。 陰の上の陰爻の大臣は巽順ですが、その頼りなさを自覚した時に応爻である初九を引き上げ職務の責任を果たすのです。
(九四) 
陰の上の陽爻の大臣なので、その位に甘んじ驕り高ぶるり行動に節度を欠き、信用を失ってしまうことに。いずれにせよ人位は安泰を保つことが難しい爻となるのですね。

五爻(九五) 
外卦の中爻で天子の位です。陽の上の陽爻で、応爻の二爻と陰陽応じている陽の徳のある爻で二爻の従順中正に対し、剛健中正の天子として尊ばれます。
(六五)
陽の上の陰爻で不正だが、易では中庸、中を尊びますので、柔中の徳を持った天子として尊敬されあがめられる爻なのです。

上爻(上六) 
上爻は卦の極であって、陰が正位になります。 極は物事の終わりであり、解決の時ともみますが、変化波乱を含んでいる爻でもあります。過の爻なので行き過ぎとみたり、攻撃の的とされたり、後悔しても遅いともみますが、凶事は解けるともみます。 また、卦の極なので埒外にあるともみます。(上九) 
陰の上の陽爻で不正であって、五爻の天子の上の爻で、天子の師とみたり、傲慢で危ないともみたりします。
     
*ただし、何れの爻であっても、以上の性質吉凶についてはひとつの概念で、例えば二爻であっても水沢節の「門庭に出でず。凶。」もありますし、上爻であっても、水山蹇の「往けば蹇み、来れば碩いなり、吉なり。大人を
見るに利ろし。」のような例外もあります。
     
★ 爻位による配当

例えば、一卦を国家、会社、家族などに当てた場合、各爻をその中の部位にそれぞれ当ててみる方法があります。こちらでは基本的なものを紹介します。

スクリーンショット 2022-08-24 2.57.30

★帰魂の卦、遊魂の卦について
上卦(外卦)と下卦(内卦)が相等しくなる卦を八純卦といいます。(乾為天、坤為地、巽為風、艮為山、震為雷、坎為水、兌為沢、離為火の八卦) また、五爻が変じることによって八純卦になる卦のことを帰魂の卦といい(地水師、水地比、天火同人、火天大有、沢雷随、山風蠱、風山漸、雷沢帰妹の八卦)、帰魂の卦の下卦を裏返したものを遊魂の卦といいます。
(水天需、天水訟、山雷頤、沢風大過、火地晋、地火明夷、風沢中孚、雷山小過の八卦)
この、帰魂の卦、遊魂の卦というのは元来「断易」(五行易)の卦の見方から来るものですが、病占いの際、帰魂の卦を得た時は、その人の寿命の終わりが近いことを表し、重患の症とし長く患っている時は特に危ないと見ます。また、遊魂の卦を得た時は、死人が未だ成仏していないことを表しますので(霊魂がフワフワ宙に浮き迷う)速やかに仏事供養を生すべきとし、また、生きている人の場合はその人生は屍のようで、精神的に空虚、心此処にあらず、呆然自失の状態にあるということを表します。
また、天地否、雷山小過、沢地萃、地水師、雷地予は、墳墓の卦象とされますから、重患の際は注意して見ます。

★小人と大人とは
「小人」は徳がなく、目先の利益を優先して、軽々しく判断や行動を行う俗物で、度量や品性に欠ける、自分さえ良ければ良いという仁に薄い道徳心の乏しい人物。
「大人」とは小人の反対で、徳が高く、目先の利益などは問題外で、判断や行動を徳に従って行う卓越した人格者の事です。徳の高い立派な人物。
イーチンにはよくこの小人と大人(君子)が出てきます。

☆実際の占い方

立卦法、筮法には3種類あります。そのひとつの本筮法は、あまり立てる人はいないと思います。(筮操作にとても時間がかかります)
まず最初に一番簡単で初心者の方にも理解しやすい略筮法又は三変筮法からご紹介致します。
筮竹以外でも、日常的に外出中でもどこでも易を単に立てたいと思う方は、易占用の八面サイコロをお薦めしますが、六面サイコロ一つ、若しくはコイン6枚で充分占う事ができます。 後に、筮竹や算木などを使用した筮法も紹介ていく予定です。

☆サイコロでの立卦法 

筮竹を持っていない人や、外出先等で筮竹が手元にない場合は、いつでも易占ができるように、六面のサイコロを用意しておくと大変便利です。 
筮具はたとえサイコロであっても、占う場合は占う人も占ってもらう人も、筮竹で占うのと同じ敬虔な気持ちを失ってはいけません。
占い方は、手の中にサイコロを握り、心を静め、軽く目を閉じ、占う事を一心に念じ、精神統一ができた瞬間、サイコロを軽く投げてみます。 
1、3、5の奇数が出ましたら陽を置き、2,4,6の偶数が出ましたら、陰を置きます。その出た陰陽の記号どちらかを、紙に記入します。
最初は初爻として一番下に記し、二回目からは、順次出た数によって、陰陽の記しを下から上へ加えていくと、6回投げる事によって、大成卦を得る事ができます。(卦、爻、辞の解説に大成卦の象についてお話しています)
そして7回目に出た数が爻を示すのです。 1なら初爻、2なら二爻、6なら上爻です。

☆コインでの立卦法  

10円玉5枚と100円玉一枚を用意し、この全ての6枚の硬貨を両手の中に入れ、占うことを思い浮かべながら念じ、心を沈め、精神統一します。よく振り交え、精神統一ができた時、振ることをやめ、下から上へに縦に硬貨を並べて行きます。硬貨の表を陽とし、裏を陰とします。そして100円玉があるところが爻位となります。硬貨は年号のある面が裏(陰)、日本国と書かれてある面が表(陽)です。                   
例 : 兌為沢 初爻

画像12


☆略筮法 又は三変筮法 = 占事の可否、良否を見る時に用いる筮法 

赤と黒の八面体サイコロ2個と六面体のサイコロ1個、合わせて3個のサイコロを用意します。これは、同時に転がして出たサイコロの目で判断する方法で、八面賽占筮法として専門家の間でも普及している方法です。
この方法ですと、八面体に出たサイコロの目1・2・3・4・5・6・7・8を、乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤に対応させて、1=乾、2=兌のように、簡単に八卦二つが得られるわけです。(八面体サイコロの中には数字ではなく八卦の卦名が記されているものもあります)その場合、常に赤のサイコロを内卦(下卦)、黒のサイコロを外卦(上卦)として大成卦を作ります。
(何故赤が下卦で黒が上卦かといいますと、易を学び始めたばかりの若い頃師匠からそう教わったから私はそう決めて長いこと占ってます。赤は陽で黒は陰だから地天泰のように陰陽バランスが取れているからという説があります。ですが個人的にどちが上でも下でも良いと思います。例えばピンク色の八面サイコロや緑色の八面サイコロがあったとして、上下を決めるのは占うご本人です。ただし一度決めたらその上下は変えないことが大事です。)
同時に振って出た六面体のサイコロの目は爻に当てます。初爻から上爻までの六爻のどれかに当たりますから、例えば3が出れば、その卦の三爻を指すことになります。

『星マリアのイーチンオラクルカード』でも爻まで見る事が可能です。シャッフルして一枚カードを引いた後、六面体サイコロで爻を当てます。


☆中筮法 又は六変筮法 

占事の成り行きを見るときに立てる筮法です。江戸時代の易学者真勢中州先生は「真勢流」としてよくこの中筮法を用いています。

例: このふたりの結婚は良いか悪いか = 略筮法でみます。

このふたりの結婚後はどういう状態に成るか = 中筮法でみます。

中筮法の際の筮具も、筮竹がなくても八面体サイコロ2個(黒、赤)で可能です。六面賽は使いません。そのかわり算木も必要になります。

赤と黒のサイコロを一緒にふります。これを3回繰り返します。(3回繰り返すのは、一回目が地、二回目が人、三回目が天の、三才を示すからです)筮は下から初爻、二爻、三爻、四爻、五爻、上爻と、得卦して行きます。
六爻得卦できましたら正常の爻にして行きます。

例えば1回目が赤~初爻=乾、黒~二爻=巽、2回目が赤~三爻=巽 黒~四爻=兌、3回目が赤~五爻=坎、黒~上爻=乾だったとします。

そうすると、六爻得卦できましたから下から正常の爻にして行きます。これで本卦が風雷益になりますね。中筮の場合、乾と坤を得た時は、裏返しにします。陽が陰に、陰が陽に変化します。
乾と坤が得られたなった場合は、不変の卦といいます。現在と将来に変化がない事は、現在の状態が当分続く、という事になるのです。そうすると、得た風雷益を乾を裏返して変じると、水地比になります。この、裏返した卦を之卦といいます。現状は、風雷益で、成り行きは水地比となる、と、します。

この、中筮をとる時は、算木に八卦が書いてあるものを使います。八卦の書いてある算木は、加藤大岳先生の特許だとの事です。算木の左右に八卦が書かれてありますが、右側だけを使います。

さて、ご参考までに、先程例としてあげました中筮法ですが、師匠の高井紅鳳先生の占例となります。ペナン島で巻き絵式の巻物を、売主と交渉して安く買い求めましたが、これを持って行って価値あるものなのか、と、中筮
(六変筮)で筮しました。すると、本卦風雷益~之卦水地比を得ました。本卦は現在、之卦は将来です。
この場合、初爻と上爻が乾なので、乾は裏返しになって、乾の陽が陰に変わり、風雷益から水地比となります。
師匠の占断は、占的の、「この絵巻は持っていて価値があるものか」に対して益卦ですので、益で大いに得をした、ということになります。そして之卦の比卦は、一陽五陰の卦であって、この絵巻の一陽五陰のおおくのものが仰ぎ随う事となり、「立派ですね」「私も欲しいわ」「素晴らしい絵巻ですね」と、多くの方々から言われたそうです。


☆(あまり立てる方はいませんけど一応)本筮法 又は十八変筮

本筮法は一卦(六爻)を出すのに十八回筮操作をします。ですのでとっても時間がかかります。占い館等の占い鑑定の現場では現実的に使えないです。
先ず筮竹五十本中、一本は太極として筮筒の中に立てます。そして四十九本の筮竹を扇形に開いて、占うことを無心に念じて気合を入れ二分します。右手に分けた筮竹は地策ですので机上のケロク器(筮竹台)の大刻(二凹)の右側に置きます。その中より一本取り出して、左手の小指にかけます。この一本が人策になります。左手に握っているのが天策です。
この天策を四払いします。余った本数かまたは、割り切れた場合は四本左手の薬指と中指の間に挟みます。数えとった右手の筮竹は大刻(二凹)の左側におきます。そして大刻の右側に置いてあった地策の筮竹を左手に握り、それを四払いします。
余った筮竹(割り切れた場合は四本)を左手の中指と人差し指の間に挟みます。そして小指と薬指と中指の間に挟んでいた筮竹を皆合わせてケロク器の第一小刻(三凹の一番右側)に置きます。これで第一変が終了します。
続いて第一小刻にある分を除いた四十本か四十四本の筮竹を持って、同じ操作で第二変を行います。第二変で得た数(左手の小指、薬指、中指に挟んだ筮竹)は第二小刻(三凹の中央、真中)におきます。
第一、第二小刻にある分を除いた筮竹で、第一、第二変と同じような操作で第三変を行います。そこで得た数を第三小刻に置きます。そうして第一、第二、第三小刻に置いた筮竹を合計して、十八変の、第一変が終了します。これを十八変繰り返して本筮法による卦が得られます。(ね?長いでしょ💧日が暮れちゃうわよ💦)
第一、第二、第三小刻においた筮竹の数は必ず、十三本か十七本か、二十一本か、二十五本となります。このケロク合計数によって、陰陽を区別し、一卦が成立します。
十三=老陽(49-13=36  36÷4=9) 九と称す  記号は四角の中に横棒一本
十七=小陰(49-17=32  32÷4=8) 八と称す   記号は四角の中に縦棒二本
二十一=小陽 (49-21=28  28÷4=7)  七と称す  記号は四角の中が空白
二十五=老陰 (49-15=24  24÷4=6)  六と称す 記号は四角の中に×

例えば本卦が雷山小過の場合⬇️

字が下手で読み辛くてすまん💧また改めてわかりやすいように書き直すね😓
立てる方はいないと思いますが知識として一応ね☯️


ここから先は

0字
このマガジンは、ノート1ページ毎200円ですので、六十四卦で12800円となりますが、マガジンとしてお求め頂くと1万円となり、2800円お得となります。

HPマリアの占い館六十四卦の部屋をマガジンにまとめました。 易経六十四卦の卦辞、彖伝、象伝、序卦伝、各爻辞、象伝等の詳しい解説、占考、運勢…

有難く頂戴致しましたサポートは、動物保護施設への募金及び易経研究の為に使わせて頂きます💓