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覚書

トーラスの事に思える。(Torus)(円環回転面・輪環回転面)

日本の神話資料は「古事記」などのような、歴史として著された書物のなかに体系化されている。個々の神話が時間的な継起関係によって一つの体系にまとめられている。しかも、

同一体系中に類似した筋の神話が何回も繰り返して現れる。

これが体系神話としての日本神話の大きな特徴である。日本神話の論理は、繰り返し現れる類似の構造の筋の中に自らを顕している。


日本神話の構造の最も基本的事実は、

その中心に無為の神を持つ。日本神話の中心は、空である無である。

これは、日本人の思想、宗教、社会構造などのプロトタイプではないか。何かの原理が中心を占めるということがなく、それは中空の周りを巡回していると考えられる。類似の事象を少しずつ変化させながら、繰り返すのは、中心としての「空」の周りを回っているのであり、永久に中心点に到達することのない構造であり、「正」と「反」は対立と調和を繰り返しつつ、あくまで「合」に達することがない。これが日本人の心の本質である。日本の神話の本質は統合ではなく、均衡である。対立する何かとの共存を許すことを意味する。正と反の巡回を通して、中心の「空」を体得するような円環的なモデルに成っている。


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