第2章-1 (#7) 恋の認識[小説]34年の距離感 - 別離編 -
あのときから朔玖のことは、密かにずっと気になっていた。あれ以来一度も、朔玖が長濱くんのことを口にすることはなかった。半年が過ぎ、わたしたちは3年生になっていた。
「帰りの会が終わったら、4階の踊り場まで来て」
斜め後ろの席から、一瞬の隙をついて、朔玖がこそっと耳打ちしてきた。なんだろう? 誰もいないところにわざわざ呼び出すなんて。
今日は土曜日だから授業は半日だ。ほとんどの生徒は、お弁当持参で早々と部活に散っていく。ちょっぴりドキドキしながら、人気のない校舎の階段