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糖質ゼロ/カット...巧みな言葉の不思議〜人工食は健康なのか〜

昨今の糖質制限のブームで、糖質カットや糖質ゼロの商品が最注目を浴びています!魅力的なキャッチフレーズや広告・SNSで見かけたりすることもあり、なんとなく手に取ってみたり、その巧みな表記法に誘導されて購買力が高まったり....糖質制限の商品は何かと嬉しいような気がしますよね。

そこで!今回は、そんな糖質制限の商品が与える健康への影響を書いていきます。まず、読み進める前に知っておいて頂きたいのは、健康とはダイエットで体型を維持することや運動習慣だけではありません。病気にならないことも健康を維持する大切な要素です。この病気というのは、不摂生な食生活や太ってるからではなく、勿論、様々な要因から起こります。そのことを踏まえて読み進めてください。

糖質とはなにか

今回のトピックの理解を深めるためには、糖質が何を指すのか知っておく必要があります。「炭水化物」「糖質」「糖類」「増粘多糖類」「甘味料」色々な言葉を目にすると思いますが、それぞれ意味するものが異なります。

糖の分類

☆炭水化物

三大栄養素の一つ。炭水化物=糖質+食物繊維

数年前まで糖質に注目する必要がなく、糖質を含む食品の栄養成分表は「炭水化物」とだけ記載されることが殆どでした。そのため、炭水化物=糖質なのか?と、少し混乱することもあったかと思います。炭水化物と糖質はイコールではなく、糖質の一部に食物繊維を含んだものになります。

☆糖質

糖質とは、「多糖類・糖アルコール・甘味料」などに「糖類」を含めた物です。この辺りから分類が細かくややこしく分かれていきます。

多糖類:ごはんやパンなどに含まれるデンプンです。糖アルコール:キシリトールガムに使われるキシリトール。

☆甘味料:人工甘味料・天然甘味料      後に詳しく解説

☆糖類

糖類:「単糖類」ぶどう糖・果糖「二糖類」砂糖・乳糖

これらの分類は化学式の結合などにより分類されるものになります。炭水化物→糖類になるほど粒子は小さくなり、消化・吸収がしやすくなります=その吸収速度は早くなります。


増粘多糖類は何を表示しているのか

食品の添加物の欄に「増粘多糖類」という表記をみかけたことがあるのではないでしょうか?

「既存添加物」「一般食品添加物」に記載されている中で、用途欄に「増粘安定剤と記載された「多糖類」を2種以上併用する場合に使用される簡略名。

記載の仕方は何通りかありますが、以下のようにな記載となっています。

添加物表示:糊料(増粘多糖類):フルーツの懸濁安定・ゼリーなどのゲル化を目的「キサンタンガム」「カラギナン」

添加物表示:安定剤(増粘多糖類):アイスクリームなどの安定剤「スキシノグリカン」「カラギナン」

添加物表示:安定剤(キサンタンガム):ドレッシングの懸濁安定目的

添加物表示:増粘多糖類:増粘剤として使用「キサンタンガム」「タマリンドシードガム」

難しい名前はさておき、増粘多糖類の表記方法は上記のように様々ですので、多糖類であり糖質の部類であると気づかないかもしれません。


甘味料を掘り下げてみよう

甘味料の分類は上記で示したように、人工・天然が存在する糖質になりますが、甘味料という言葉の使われ方は、皆さんも知っての通り、砂糖の代わりに使うものや甘味を増すために食品に添加されるものという認識ではないでしょうか?

~甘味料の定義~

食品に甘味をつけるために使われる調味料。食品衛生法よる食品の表示にあたっては食品添加物に分類される。

糖質系甘味料・非糖質系甘味料の2糖質系に分類されます。

甘味料の分類

糖の分類でいう甘味料は人工・天然ともに非糖質系甘味料となっています。

①糖質系甘味料:糖質を原料にしてつくられたもの

②非糖質系甘味料:糖質を原料にせず、主に化学的に合成される甘味料

ダイエットや健康目的で、白砂糖の代わりにこれらの甘味料をご家庭でも使う方は増えていますし、本日のメインテーマである糖質制限の商品にも多く使用されています。砂糖より少量で、はるかに高い甘味を感じることができるのが特徴です。また、血糖値が上がりにくいという点も認識されていると思います。

①の場合は、ごはんやパンなどの食品由来が主となり安全性は高いです。しかし、先に述べたように甘味料として使われた場合は原材料ではなく「食品添加物」として記載されるため、下記の画像のような名称表記で見かける事がおいです。

ダイエットの面でみると、糖質系甘味料の中には砂糖・ブドウ糖由来がありますので、当然ながらGI値が低いとは言い切れません。つまり、甘味料=低GI値ではない。

人工甘味料 表記

②の場合はどうでしょうか?その中でも特に人工甘味料の使用はどうなのか解説していきます。

人工甘味料の安全性

人工甘味料に限ったことではありませんが、化学的につくられるものに対しては、試験をした上で使用量を定めることで、一生涯摂取しても影響がでないとしています。

一日当たりの量を体重1㎏に対して示した量を(ADI)と呼びます。

人工甘味料リスト

例えば、アスパルテームのADIの上限は40mg/㎏体重/日なので、体重50㎏の人なら毎日2gまで摂取し続けても問題ないという計算になります。アスパルテームの甘味度は約200で白砂糖でいうと400gに相当します。

砂糖を含む食品の砂糖含有量の目安(約で記載)※商品により差は大きいですが、一般的な量として参照下さい。

ホットケーキ2枚:30g プリン1個:16g サイダーやコカ・コーラ:26g

人工甘味料で上記の砂糖と同じ量を摂取するのは、基本的には難しいとされています。しかし、SNSをみていると、若い女性は特に体重を軽くすることに必死な印象を受けます。また、ご家庭での使用が増えれば、必然と子供も人工甘味料を長い間、摂取し続けることになります。

💊薬をイメージしてみましょう

子供への投薬禁止や飲む錠剤の個数が違ったり、大人と子供では違いますよね。人工甘味料も化学物質ですので同じです。

体重により規定量が異なるわけですので、体重の減少や子供の時から摂取し続けるという点では、「一生涯に摂取し続けても影響しない」という量は、あくまでも、人工甘味料の使用を許可するための試験から出した数値であり、その後の追跡調査をしている研究者がいたとしても、その結果は数年後など、まだ先になるかもしれません。

体重が減れば、大人でも身体的な処理量は少なくなり、逆に言えば、化学的に作られた成分の影響は薬と同様で大きくなります。糖質制限の影響で、人工甘味料が使われる商品の摂取が増えているのは想像できます。つまり、研究段階より多い量を早いスピードで摂取していることは否定できません。

甘味料などの使用により、糖質カット/ゼロなどの食品を食べても太りにくい点は、多くの方の喜ばれるわけですが、甘味料などで補う食品の摂取が良いとも言えないわけです。

GI値を気にする方も増えてきていますが、糖質制限の商品を選んだからこそ、逆効果をもたらす場合もあります。

解説↓

人工甘味料と糖代謝

最初に糖の分類で紹介したように、甘味料には糖質系と非糖質系があるわけです。非糖質系甘味料などはブドウ糖を含まないため、インスリン分泌がされず、血糖値の上昇をきたしにくい、また太りにくいという事が知られ、使用が広まってきました。しかし、糖代謝への関わりについては研究段階と言えます。

実は8年前にアメリカの研究チームは人工甘味料と糖代謝の変化について指摘をしています。それを受け、日本の研究チームが以下の栄養調査を実施しました。

~研究内容~

糖尿病のない35歳~55歳の男性2037人を対象とし7年間をかけて調査。そのうち、糖尿病の発症は170名。ダイエット清涼飲料水の摂取が1カップ/週(237㎖)以上飲む人は、飲まない人と比較し、糖尿病の発症リスクは1.7倍高いと研究結果を出しています。

とはいえ、食品関係の調査には様々な要因が複雑に絡んでおり、はっきりと言い切れない部分は多々あります。しかし、スウェーデンの研究でも、人工甘味料と糖代謝・脳への影響などをもとに、インスリン感受性を研究しています。これらに共通することは、人工甘味料は血糖値を上昇させないことが、本来の食品から摂取する糖(グルコース)の消化・吸収の脳からの伝達に誤信をきたし、糖代謝のシステムを狂わせる可能性が高いとしています。

人工甘味料は一生涯摂取しても影響がでない、その上限量の摂取も非現実的と説明してきましたが、それは、化学物質が体内に影響するかどうかの視点であり、糖代謝自体を狂わせるのであれば、日本グループの研究結果のように、たったの1カップでも変わってくるわけです。

高血糖=インスリン分泌=太る

ということで、積極的に血糖値の上昇がすくない甘味料を使うことが、逆に糖代謝の誤信により病気のリスクを上げてしまうかもしれません。

人工甘味料の吸収

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人工甘味料は、小腸で吸収されますが、腸内細菌叢に変化をもたらし、耐糖機能障害を引き起こす可能性が示唆されています。

つまり、脳に誤信をもたらす背景には、腸内細菌叢への影響もあるわけです。


糖質制限の商品の色々

本題の前に、糖の種類や表記について知って頂きたく長々と書いてきました。

ここでようやく本題です!

♢糖質制限の商品を色々なタイプ別の例を使って見ていきましょう↓

〜糖質10g以下の記載〜

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無印の「アーモンドショコラサブレ」糖質10g以下になっている商品です。ついでに、もう一つの注目「グルテンフリー」にもなっています。ダイエッターには夢のようなお菓子ですね!

原材料から見ると、アーモンドとバター以外、表立った食材はないです💦原材料は含有量の多い順ですので、強いて言うなら、少量の小麦ふすま・大豆粉が入っている感じです。

まずは、1袋(6枚入り)の栄養成分は以下の通りです。

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糖質制限とあって、その代わりにほぼ脂質で締めていて、その割合は70%でかなり高いです。1袋全部を食べると脂質20gですが、グラムで書かれてもピンとこないですよね。脂質はオイルと同じです。オイルの大さじ1杯=12gなので、大さじ1+1/2を飲むようなものです。

脂質含有量に衝撃もありますが、今回は「糖」がテーマなので、そこに注目していきます!気になる糖質量はどうでしょう?

☆糖質の含有量は6.76g(一袋当たり)となっています。1枚だけなら1g程度の糖質量で、通常の小麦粉や砂糖使用の場合より、糖質量は格段に抑えられます。

糖質が少なく、ダイエッターやお菓子類を食べたい方には嬉しい限り。でも、待ってください!!先程、原材料に触れましたが、糖類になる食材は見当たらないですよね。

そう、この6gは増粘多糖類・甘味料など食品添加物からとなります。トレハロースは天然物なので、使用量の明確な上限はないですが、目安は体重kgに対し0.65g。ラカンカ抽出物は、羅漢果という果実から得られる糖で砂糖の300倍の甘さがあります。食品添加物ではありますが、幸い、どちらも天然由来で人工化学物質ではないので、食べ過ぎてもまだ安心と言えます。

*羅漢果の木:中国南部にしか育たない貴重な食物です。

上記の例とは異なった糖質制限の商品↓

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〜ゼロカロリー〜

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《カルピス ゼロカロリー》

エネルギー0kcal 脂質0g 炭水化物0.7g たんぱく質0.2g なので、ほぼ栄養素はないです。

含まれているのは:              脱脂粉乳(国内製造)、乳酸菌飲料、マルトオリゴ糖、食塩/酸味料、香料、安定剤(大豆多糖類)甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、アセスルファムK、スクラロース)

ゼロカロリーの場合、カロリーを主に考えているので、実際は糖の種類や使用量は言及されませんが、「0」を実現する為には、多くは甘味料に頼ることになります。糖としては、糖質・糖類ともに含まれている商品で、すぐ吸収される飲料です。

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《ロッテ:ゼロチョコレート砂糖ゼロ・糖類ゼロ》

エネルギー193kcal 脂質15.9g たんぱく質3.2g
炭水化物20.0g 糖質15.8g 糖類0g 食物繊維4.2g

マルチトール、カカオマス、乳等を主要原料とする食品(食物繊維、バター、分離乳たんぱく)、植物油脂、ラクチトール、ココアバター、ミルクペースト、食塩、カカオエキス、大豆胚芽エキス/乳化剤、光沢剤、増粘剤(アラビアガム)、香料、甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物、スクラロース)、ビタミンP

ものすご〜く嫌らしい書き方だと思うませんか!?

確かに、砂糖や糖類である単糖・二等類は使われていないのですが、人工甘味料がたくさん入っています。=糖質はしっかり含まれている商品です。甘味料なので、血糖値の上昇がしにくいのは変わりませんが、1袋を一度に食べると間食の目安(糖質10g)をオーバーします。

更に、原材料の一発目が人工甘味料って、私的には衝撃です。チョコレートは、それ自体に砂糖が入ってしまう為、カカオマス+甘味料で代用なのは理解できますが、人工化学食品と言ってもいいくらいの内容です。


まとめ①

人工甘味料と糖代謝で解説したように、食べ続けでも影響ないと言われている基準は、それぞれの人工甘味料に対しての摂取基準であり、それらを複雑に含む食品の積極的な継続摂取には言及されていません。また、小児からの長期摂取も懸念されるところです。代謝に与える影響は、病気のリスクを高める可能性も否定できず、糖質制限でダイエットに成功し、肥満による生活習慣のリスクを下げれても、将来、健康であるとは限りません。むしろ、ダイエットしたからこそ、体重に対する許容量は減るので、同じくらい病気のリスクを抱える可能性はあります。

まとめ②

グルコース=GI値上昇=インスリン分泌=太る

の流れを避けるために、グルコースを避ける方が増えていますが、脳はグルコースしか使いません。また、筋肉構築にもグルコースは必要です。欠如すると、グルコースを体内から生み出そうと必死になります。糖質制限の商品の活用は良い面もありますが、特に低糖質ダイエットなどで全てをこういった商品に頼るのは、痩せた代償にデメリットも大きいです。甘味料は吸収が早いのにエネルギーにならないので、何のために摂取するのか身体にとってのメリットがないです。普通に、適量のご飯(白米)をしっかり噛んで食べる方が、病気のリスクは遥かに少ないとも言えます。

まとめ③

商品の表記方法も多用なので、それが何を指しているのか知っておくことは、自身や家族の将来の健康を守ることになります。キャッチーな言葉だけに惑わされず、しっかり理解して上手に活用していく事が大切です。


最後まで読んでいただきありがとうございます☘








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