5周年て

気づけば4月7日で5周年だった。
大事な周年祭を忘れるとか、そんなことある?
自問自答したところで、あったんだから仕方ない。
そう、これは決してボケが進んでいるわけではなくて、きっと忙しすぎるせいだ。

「忙しいという文字は、心を亡くすと書くのです」といったのは、歌人俵万智の母上だったか。
なるほど、それなら私は忙しいという言葉を使わないようにしよう。
そう決意したのは今から35年ほど前、私が高校生の時か。
その後の人生、「忙しい」という言葉を使わずには生きてこれなかったが、その言葉を使うたびに、少しずつ何かを亡くすような気がしている。
一種の罪悪感にも似たそれは、まるで呪術にかかったように、私の気力を削り取っていたのかもしれない。

なるほど、そう考えるとあながち「心を亡くす」というのは大げさな表現ではないのかもしれない。
確かに私は、心を亡くしていたのかもしれない。
少なくとも、5周年祭を忘れるくらいには。

毎年毎年「何周年です」といえば、優しい周りの方が「おめでとう」とお花を持って来てくださったりして、気を使わせてしまうのではないか。
1年持ちこたえたことによるお祝いは、自分の中でそっとしておけばいいことで、本来はそこまで支えてくださったお客様やスタッフ、取引先の方たちに感謝する日ではないのか。
あるときそう思ってからは、あまりめでたげにワイワイいうのはやめようと思い、それでもやっぱり節目の5周年は、それなりに大げさに祭り気分でやらかそうと思っていた。

それを、忘れるなんて・・・・
不幸せな・・・オ・レ!(嘉門達夫、アルバム「怒涛の達人」収録曲「家族の食卓」より)

実際、忘れたのには理由があって、3月末から当店はイベントラッシュだったために忘れたのだ。
いや、ただイベントラッシュだったからではない。
この時の私は、大変追いつめられ、視野が狭くなっていたのだ。
なので、全く周りが見えていなかった。
正確には「周りを見すぎて、周りが見えていなかった」のだ。

長くなりそうなので、続く・・・・

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