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Oヘンリー短編集:四百万

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Oヘンリーの短編集『四百万』(原題:The Four Million)の邦訳をお届けします。
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【連載告知】O・ヘンリー短編集和訳

はじめまして。駆け出し翻訳者の柳田です。 翻訳業界って、未経験だと仕事を取りづらいですね…

柳田麻里
2年前
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【後編】春のアラカルテ

<前編のあらすじ> ある日の午後。ニューヨークでフリーのタイピストとして働くサラは、メニ…

柳田麻里
3か月前
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【前編】春のアラカルテ

 三月のある日のことだった。  小説を書くとき、絶対に、絶対に、このような書き出しで始め…

柳田麻里
3か月前
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【おまけ】キプリング作「ボンベイの街に捧ぐ」

私が先日訳したOヘンリー作A Cosmopolite in a Cafeで、キプリングの「To the City of Bombay…

柳田麻里
6か月前
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【訳者感想】私の考えるコスモポリタン

O Henry作"A Cosmopolite in a Cafe"を翻訳し、ドはまりしてしまいました。 本編よりも長い解…

柳田麻里
6か月前
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【調査報告】自称コスモポリタンの話のネタ

「とあるコスモポリタン」(原題:A Cosmopolite in a Cafe)の柳田訳、いかがでしたでしょう…

柳田麻里
6か月前
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【前編】とあるコスモポリタン

 真夜中のカフェは混んでいた。なぜかこれまで客の目を逃れたために私が座れることになった小さなテーブル席には、空席の二脚の椅子が到来するパトロンらにゴマをするように腕をのばしていた。  そのうちの一脚に一人のコスモポリタンが座ったので、アダム亡き後に世界市民と呼べる人類は存在していないという持説を試すときが来たと、私は嬉しくなった。昨今コスモポリタンの名を聞くようになり、手荷物の多くに外国のタグが目につくようになったが、その持ち主を見ても、コスモポリタンではなく旅行者ばかりだ

【後編】とあるコスモポリタン

<前編のあらすじ> ある夜。主人公はニューヨークのカフェで、初めて会うE・ラシュモア・コ…

柳田麻里
7か月前
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【前編】トビンの手相

 トビンと俺の二人は、ある日コニーアイランドに行った。その日は二人で四ドル持ちあわせてい…

柳田麻里
2年前
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【後編】トビンの手相

<前編のあらすじ> アイルランドから渡米予定の彼女、ケイティ・マホーナーが行方知れずとな…

柳田麻里
2年前
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【調査報告】コニーアイランドってどんなとこ?

О・ヘンリーの短編「トビンの手相」、お楽しみいただけましたでしょうか? 次の短編に移る前…

柳田麻里
2年前
6

【調査報告】「賢者の贈り物」に出てくる聖書の登場人物名

おかげさまで仕事が忙しくて、すっかり更新が空いてしまいました。ようやく訳文の準備ができ、…

柳田麻里
1年前
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【前編】賢者の贈り物

 一ドル八十七セント。たったこれだけ。しかも、うち六十セントは一セント硬貨。食料品店や八…

柳田麻里
1年前
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【後編】賢者の贈り物

<前編のあらすじ> クリスマス・イブ当日。デラは、愛する夫のジムにクリスマス・プレゼントを買うお金がなくて嘆いていた。そこで、膝下まである自分の長い髪を売って、プレゼント代を稼ぐことにした。ジムの懐中時計に合うチェーンを買ったまではよかったが、自慢の長髪が短くなってしまい、ちんちくりんな髪形になってしまったデラ。はたして、愛しのジムの反応は如何に……  7時には、コーヒーが淹れられ、フライパンはコンロで予熱されて、骨付き肉を焼く準備は万端だった。  ジムは絶対に遅れない。