国立歴史民俗博物館に設置 縄文人像に着装する衣装制作の記録

編布と赤漆を塗布した麻紐


縄文人は豊かな狩猟採集民であったと考えられています。縄文時代の遺跡から土器や土偶が出土していること、付着物から木の実や山菜採取して調理していたことがわかっています。また漆が塗られた赤や黒の土器も多くみつかっており、底には精製、貯蔵していたとみられる漆が付着していて、漆の工芸技術が発達していたことがわかっています。縄文人は狩りで仕留めた鹿を毛皮は衣服に、肉は内蔵まで食し、角や骨は道具やアクセサリーに、食料や道具としてすべて使用していたでしょう。 動物の骨や爪、ヒスイの珠のネックレス、漆塗りの櫛、土製のイヤリング、貝で出来たブレスレットをした人骨がみつかっています。編布の断片や糸玉も出土しています。そのような事柄から考案した縄文衣装は黒い鹿皮を下地に、カラムシ(苧麻)で実際に編んだ編布を所々に使用し、土偶や土器、木製器に見られる文様を再現、赤い漆で塗られた麻紐をブレード状に装飾することにしました。
出土している麻紐や編布には赤い漆が塗られていました。苧麻のブレードは漆伝統工芸士へ依頼、赤漆にベンガラを調合し、一本一本塗り付け作業して頂きました。縫い留め糸に使用した極細糸も同様です。苧麻のブレードと合わせて飾り付ける糸素材として出土している貝殻、子安貝を使用しました。縫い付ける糸も麻糸にこだわり、歴博の考古整理室の職員にすべて手作業で縫製して頂きました。
亀ヶ岡遺跡出土「遮光器土偶」や是川中居遺跡から漆塗り樹皮製曲物の縫製や文様、青森県立郷土館に展示されている「岩版」の文様、添山遺跡出土の土器の文様「工字文」から抜粋しデザインしました。


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