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なにかの力になれたことで、無力な自分が救われた

2011年3月11日。
都内で、ご自宅を訪ねて、インタビューをしていました。

↓こちらのインタビュー。「コスメ調合室 (株)フルフリ 代表取締役 杉 拓也さん」
https://oshigoto999.com/2011/04/21/post-0-21/

「あれ? なんだか揺れてますね」
「地震?」

小さな揺れはよくあることだったので、そのまま続行。ところが――。
「大きくないですか?」
「ストーブ止めたほうが!」
「止めます!」
「録音、ストップします!」

東日本大震災発生。

ぐらぐら揺れる中、2階に移動。窓から見ると、電線がゆらゆら揺れていました。

揺れがおさまり、インタビューの続きを終え、帰宅することに。

「電車、動いてないみたいですよ。バイク、貸しましょうか?」
調べてもらうと、歩いても2時間半くらいで自宅最寄り駅まで行けることが判明。
「歩くの好きなので、歩いて帰ります。ありがとうございました!」

テレビが観られなかったこともあり、その時はちょっと大きめの地震があったという認識でした。

帰宅してニュースを見て愕然とする

通りがかる駅は、すべてシャッターが閉まっていました。
ちょうど会社員の帰宅の時間に重なって、歩いて家を目指す人たち多数。

「家の中のもの、倒れてるかな……」
歩いて歩いて帰宅して、なにも倒れていないことにホッと胸をなでおろす。
この時でさえ、私はまだノンキでした。

そしてテレビを付け、初めて現実を知ったのです。

「なんなの、これ……。なにが起こってしまったの……」

無力感の中で、希望が見えなくなる

当時、私は失業中。
今後を模索しながら、いろいろなことに挑戦しようと思っていました。

でもあの時、画面を通してでも、あの光景を見た人たちは、みな傷ついたのではないでしょうか。
そして「なにかをしなくては。でも、なにができるのだろう」という無力感に襲われたのではないでしょうか。

地元のボランティアに通いつつ、今後を模索する希望を持つことすら不謹慎な気持ちになり過ごす沈んだ日々。

なにかの力になれていると感じられた瞬間、涙が止まらなかった

先日、ムビラ奏者の方のインタビューをさせていただきましたが、私もムビラ(アフリカ大陸南部、ジンバブエの伝統楽器)を弾いています。

ムビラ奏者:実近修平さん
https://oshigoto999.com/2019/02/12/mbira-player/

「練習、しようかな……」
部屋でぼんやりしながら、沈んだ心を抱えて、ムビラに手を伸ばし、ポロポロと弾き始めた、その時。

妄想と言われるかもしれません。頭がおかしくなったのかもしれません。

でも確かに、その瞬間、意識革命が起きたんです。

それは、次のような感覚でした。↓

周りに、傷ついている(正体不明の)モノがたくさんあって、そのモノたちは、傷ついたままは苦しいから立ち直りたいけれど、自分たちのチカラだけでは無理だと思っている。
そして、そのモノたちが立ち直るのに、今、弾いているムビラの音が役に立っているらしい……。

力になれている! 無力な私が弾くこの音が、力になれている!!! 弾き続けるんだ! 弾き続けなくちゃ!!!

夢中で弾きました。途中から涙がボロボロ出てきて、キーが見えなくなり、音を飛ばしながら、無我夢中で弾き続けました。

実は当時、ムビラを弾き続けることについて悩んでいました。「これ、やり続けてなんになるんだろう」と思っていました。

そんな私に意識革命が起きたのです。

下手とか、楽しいとか楽しくないとか関係ない。
とにかく、弾き続ける! 楽しいか楽しくないのかなんて、どうでもいい! 意味も考えなくていい! 弾くんだ! とにかく弾くんだ!!

無力な自分が、なにかの力になれてるかもしれないと感じられたことで、救われたのです。

意識革命が起きた後、ムビラを弾き続けることについて、なんの迷いも持たなくなりました。楽しいとか下手とか、どうでもいいことだから。

満たされない心が、自分から与えることで満たされることはあるし、意味なんてなくても「やり続けたい」という気持ちがあることこそ、大切なものなのかもしれません。

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