見出し画像

良心市


線香と良心市の菊一輪


家から歩いて5分ちょっと、ここに良心市があります。毎年、この時期になると菊の花が売られています。

父が亡くなったのは1月でした。何かに取り憑かれたかのように花と線香と蝋燭を買ってきては、父の写真にお供えして、ベソベソとしていました。

スーパーのお花コーナーで買ってくることもありましたが、大半はここの菊、一束200円でした。丁寧に育てられた菊の香りに癒されました。

午前中に隣の畑に植えられた菊を切り出し、束にして大きな桶にびっしりと突っ込まれています。

地元住民とお遍路さんしか通らない道です。誰が買うねん?と思うのですが、毎日、ほぼ完売です。ざっと計算しても数千円の儲け、これなら食費の足しになります。

良心市、まさに買う人の良心任せの店です。たまに不届き者が金の入った木箱や空き缶を盗むと聞きます。でも、あまりにも田舎で、見知らぬ人が良心市の周囲をウロウロすると気づかれます。田舎、万歳!

あたしの住むこの地区、自動販売機と良心市しかありません。100円玉を幾つかポッケに入れて散歩したら買い物ができます。

と言っても、買えるのは飲料水と畑の野菜、今なら柿でしょうか。たまに鉢植えの植物を見掛けますが、どう見ても庭の草花を引っこ抜いて鉢に植え替えました!という代物で、ちゃんと根が張っているかも微妙です。

それでも、微々たる小遣い稼ぎが生き甲斐の住民です。

ポッケの100円玉をちゃりん。


菊を売ってる良心市