見出し画像

prologue


Marginal: 余白の 境界にある

Topos: ギリシャ語で“場所”を意味する



物の価値について、最近よく考える。

この間まで脚光を浴びていなかったはずなのに、いつしかトレンドになり、人気を博し、みんながこぞって欲しがるようになる。

オシャレな人や著名人がおすすめするものは、「きっと良い物に違いない」し、「流行っているし欲しいな」ってそんな風に思えてくる。

同じ物を他人も持っているという安心感や連帯感も確かにあるだろうし、ブランドのロゴやアイコニックなシェイプに大枚をはたくことも厭わなくなる。それくらい価値のあるものに感じられてくる。

そういう視点って大切だし、ミーハーであることって楽しい。

その一方で、何かを選択するという行為は、アイデンティティに直結しているのだから、イコール私らしさの表象といっても過言ではない。

メインストリームに追従することは決して悪いことではないのだけれど、自分なりの軸というか、価値観というか、信念を持って選択するということを大切にしたいものだ。

それが結果として流行に乗るというのなら清々しくて素敵だ。


話を元に戻すと

私にとって物の価値とは、

・見るものに想像を掻き立てる力を秘めているか

・造形的な魅力(姿・形の特異さやユニークさ)

だろうか。

作り手の想いや、過去に作られたのであれば、時代背景などに思いを馳せながら、そこに“私”という個人の経験や感情をオーバーラップさせることで、新しいnarrative“物語”が生まれてくる。

そうした体験を含むことで、物は私にとっての唯一無二の存在となり、愛着が湧いてくる。

さらに、物の佇まいというのか、人間と一緒で、そこに存在しているだけでオーラを感じられるってすごく大事だと思う。

そうそう出会えることではないが、出会えた時には心が震えるほど感動するし、現前する物の背後に凝縮された時間や密度を感じられるのは、至極の喜びだ。


Marginal Toposという名前に込めた想いは、

余白:解釈の余地があるということ、想像力を巡らせること

境界:何かと何かの狭間にあったり、辺境的・アウトサイダーであったりすること、それは古さと新しさや洋の東西といった区別や固定観念を越えること 

そういったマージナルな見地に立った時に生まれてくる時空間的な広がりを持つ場所(トポス)でありたい

というもの。

トポスは哲学の文脈においては、ある特定の記憶やイメージを想起するテーマやコンセプトなどを指すものであるが、

マルセル・プルーストにとっての“マドレーヌ”のように、
あることがきっかけで五感が刺激され、眠っていた記憶やイメージ・感情を喚起されるような、ロマンチックでセンチメンタルな瞬間を、物を介在して実現させることができたら、なんて素敵だろうか。


そうしたことを信条に、一つ一つ詩的な感覚で蒐集していきたいと思う。

今ある資源を大切に、それでいて新しい感覚で楽しめるもの、長く愛されるものを発掘していきたい。

私なりのペースではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。



Marginal Topos   

Erika

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?